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アングル:返還20年、中国への「愛国心」薄い香港の若者
2017年6月27日 / 02:58 / 4ヶ月前

アングル:返還20年、中国への「愛国心」薄い香港の若者

[香港 26日 ロイター] - 香港の学生活動家Chau Ho-oiさんは、このアジア有数の金融ハブが中国に返還された20年前に生まれた。彼女はかつて、中国本土を誇りに感じたことがあったと振り返る。

2008年、11歳だった彼女は両親と並び、誇らしい気持ちで北京五輪をテレビで見た。そして、中国の選手団が、どの国よりも多い48個の金メダルを獲得するのを見て「心から興奮」したという。

「中国は素晴らしいと思った」とChauさん。「もしその時に、自分は中国人かどうか聞かれたら、はい、と答えただろう」

だが9年経った今、かつて英国領だった香港の「返還後の第一世代」は、加速度的に中国本土に背を向けつつある。

「今は、自分が中国人だとは言いたくない」と、2014年の民主化デモで拘束された経験があるChauさんは言う。「とてもネガティブな気持ちになる。100回聞かれても、同じ回答をするだろう」

香港大が20日公表した調査によると、18歳─29歳の若者120人のうち、自分が「広義の中国人」だと認めた割合は、わずか3.1%だった。半年ごとに行われているこの調査が開始した20年前は、この割合は31%だった。

ロイターがChauさんを含む1997年生まれの香港の若者10人に行ったインタビューでは、中国本土から移住した1人を含め、全員がまず「香港人」と自認し、この街に忠誠心を持っていると答えた。

香港は、19世紀に段階的に英国植民地となった。中国返還に際しては、「一国二制度」の仕組みが採用され、少なくとも50年間は、香港は独立司法や表現の自由を含めた広範な自治を認められることになった。

取材に応じた20歳の若者たちは、北京の共産党指導者が香港の自由を締め付けにかかっていることを示唆する一連の疑わしい策略を目にして、態度が硬化したと語った。

2012年、当時15歳の学生黄之鋒(ジョシュア・ ウォン)氏が、義務教育のカリキュラム内容が、中国への愛国心を育成する「洗脳教育だ」として反発し、数万人規模のデモを行った。行政側は、カリキュラムの撤回に追い込まれた。

2年後の反政府デモ「雨傘運動」では、ウォン氏を先頭に、香港行政長官選挙の民主化を中国政府に要求。79日続いた路上での抗議活動の末、最終的にこの要求は無視された。

複数の香港の書店主が2015年に中国本土の工作員に拉致され、香港独立を支持する若手政治家2人の議員資格が2016年に取り消されたことで、「一国二制度」への信頼がさらに揺らいだ。

学生のキャンディ・ロウさんは、香港がさらなる管理下に置かれることになるのではと懸念する。

「中国では、大衆の監視が広がっている。もし香港が悪くなるなら、そういう風になるのかも知れない」と、彼女は言う。「それは、目に見えない恐怖だ」

キャンディ・ロウさん。香港で6日撮影(2017年 ロイター/Tyrone Siu)

<愛国心>

香港では、自決権や、さらには独立まで求める若者が増えており、中国政府は警戒している。

中国共産党序列3位で、香港問題を管轄する張徳江氏は先月、「愛国者」型にはまるよう、「香港の若者に、国家と法律の教育を強化し、若い時から国について正しい考えを育てる必要がある」と述べた。

次期香港行政長官の林鄭月娥(キャリー・ラム)氏は、中国の新華社に対し、「自分は中国人」という意識の養成を保育園レベルから進めると述べた。

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新華社によると、返還20周年記念式典の一環で、12万人以上の香港の若者が、中国関連の交換プログラムに参加する。うちいくつかは、香港行政府がスポンサーとなっている。

だがこうした愛国心の押しつけは、より大きな反発を招く可能性がある。

「なぜ中国政府は、香港の人に中国を愛せと強要すればするほど、大きな反対を招くだけだということが分からないのだろうか」と、学生のジョジョ・ウォンさん(20)は言う。

政治に関心がないと言うフェリックス・ウーさんのような、より穏健な学生さえ、中国の漢民族である前に、香港人だという意識を持っている。

「中国はかなり大きな市場で、香港はこの市場に統合する必要があるだろう。だが政治的には、50年間は何も変わらないと約束した。その約束に少し逆行しているように思える」とウーさんは言う。

ビジネスを専攻し、公務員志望のルドウィック・チャンさんは、自分は第1に香港人だと考えるが、そのアイデンティティーは、中国人であることと矛盾しないと考える。

「2つの異なる文化は、共存できる。香港と中国は統一されるべきだと繰り返すのではなく、双方が、お互いを理解するよう努めるべきだ」とチャンさんは語る。

香港で学ぶ中国本土出身の学生の中には、明るい見方をする人もいる。

「20年は、始まりでしかない」と香港に来て3年になるビジネス専攻の学生ヨシ・ユエさんは述べた。「(中国への)帰属意識はゆっくり育つだろう。政治ではなく、文化から来るものだ」

(Venus Wu記者、Tyrone Siu記者、翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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