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パンチ Research Memo(3):グループ生産最適化とR&D強化により高収益化を目指す
2017年7月6日 / 06:37 / 3ヶ月前

パンチ Research Memo(3):グループ生産最適化とR&D強化により高収益化を目指す


*15:35JST パンチ Research Memo(3):グループ生産最適化とR&D強化により高収益化を目指す
■中期経営計画「バリュークリエーション2020」

パンチ工業6165は、2017年3月期より新・中期経営計画「バリュークリエーション2020」をスタートさせている。前中期経営計画(2014年3月期−2016年3月期)で取り組んできた「グローバル化」「新市場の開拓」「高収益事業モデルへの転換」をさらに深化させ、グローバル企業として金型部品業界でのトップブランドを確立すると同時に、製販一体企業としての優位性を生かした高収益企業を目指していくことを目指している。

1.基本戦略
中期経営計画の基本戦略として、「販売5極体制」「お客様サービスの向上」「高収益事業の推進とR&D強化」「働き方改革」の4つのテーマを掲げている。

(1)販売5極体制
同社の売上高は日本と中国で約90%を占めているが、グローバル企業として成長を目指していくためには、世界市場の約3分の1を占める欧米市場を開拓していくことが経営課題となっている。このため、2017年3月期まで販売代理店経由で展開していた米国市場を開拓すべくイリノイ州に販売子会社を設立、2017年4月より6名体制で営業活動を開始した。当面の顧客ターゲットとしては競争の激しい自動車業界ではなく、医療機器や電子部品業界を中心に、特注品の受注獲得に注力していく方針となっている。医療機器分野では注射針やカテーテル製造用をターゲットとしている。同領域では同社が得意とする高精度な技術が要求されるほか、ディスポーザブル(使い捨て)機器であるため生産数量も大きく、金型用部品も安定した需要が見込めるためだ。同様に電子部品においても高精度な仕様が求められるコネクタを主なターゲットとする。既に、代理店経由で取引実績のある顧客を中心に営業活動を進めていく方針で、直販体制を構築しながら取引規模を拡大していく戦略となっている。顧客は日系、外資系ともに増やしていく方針で、米国市場の売上高としては2017年3月期の約3億円から2021年3月期には約12億円と4倍の規模に拡大していくことを目標としている。

欧州市場については現在、英国、ドイツ、トルコに販売代理店を持っており、売上高としては2017年3月期で約10億円の規模となっている。今後は米国と同様、販売代理店との関係強化や現地に販社を設立し直販体制を構築していくこと等で拡販を進めていく戦略で、2021年3月期には17~18億円程度を目標としている。

欧米市場合計の2021年3月期の売上高は、約20億円と全体の4%を占めるに過ぎないが、販売体制を強化することで顧客開拓を推進し、更なる売上成長を目指していく考えだ。また、アジア地域についても東南アジアやインドを中心に売上を拡大していく戦略で、売上構成比で見ると日本、中国以外のその他地域では2017年3月期の約9%から2021年3月期には約13%まで上昇する見通しとなっている。地域別売上高の年平均成長率で見れば、日本が4.1%、中国が6.5%、その他地域が15.7%の成長率となる。

(2)お客様サービスの向上
顧客サービスの向上施策として、2つの取り組みを進めている。第1に、グローバルソーシング(最適調達)による顧客満足度の向上で、2016年4月にマレーシア子会社に専門部署を設け、欧米・アジアからの受注に対して、最適な生産拠点から調達・販売する体制を構築した。2017年3月期は欧州向けの売上が伸びるなど、既にその効果も出始めている。

第2に、リバースエンジニアリング事業※の育成が挙げられる。背景には、金型や金型用部品メーカーの再編、廃業によって金型用部品の図面が消失してしまい、その金型を使って量産してきた製品が製造できなくなるといったケースが増えていることにある。同社はリバースエンジニアリングによって金型用部品の設計図、あるいは金型用部品そのものを復刻するサービスを提供し、既存顧客のサービス向上や新規顧客の開拓につなげていくことを考えている。

※機械を分解したり、製品の動作を観察したり、ソフトウェアの動作を解析するなどして、製品の構造を分析し、そこから製造方法や動作原理、設計図などの仕様やソースコードなどを調査すること。ものづくりにおいては、3DCADや接触式、非接触式3次元形状データ測定器を使って対象物をスキャニングし、デジタル処理を行うことによって復元することを指す。


2016年4月のサービス開始以降、引き合いは旺盛で当初は金型業界やその顧客からの需要を想定していたが、実際には全く異なる業界からの引き合いも増えている。例えば、古い建築物のレリーフを3Dスキャニングにより復刻したいというニーズや、ヒトの臓器を3Dスキャニングして造形するといったニーズが出ている。現在、営業体制は8名体制で名古屋事業所に拠点を置いているが、今後も需要が拡大していくようであれば営業拠点を増やしていくことも検討しており、将来的には中国でのサービス展開も視野に入れている。今後の展開によっては想定以上に伸びる可能性もあり、その動向が注目される。

(3)高収益事業の推進とR&Dの強化
同社は中期経営計画のなかで、売上高営業利益率を2017年3月期実績の5.4%から7.0%まで引き上げていくことを目標としている。営業利益率を引き上げるための施策として現在、グループ生産体制の最適化に着手しており、2019年3月期までを先行投資期間と位置付けている。

具体的には、2016年10月からベトナム新工場を稼働開始している。同工場は「お客様に見せられるハイテク工場」をコンセプトに、工場内ではiPadを用いて図面管理を行うペーパーレス化を実現しているほか、IoTの活用により生産効率を高めた工場となっている。現状は工場スペースの3分の2に製造設備を搬入して、従来、中国の工場で行っていた標準品(カタログ品)の前工程プロセスを移管し、半製品に仕上げてから日本の工場へ出荷している。効率的な生産ラインとなっているほか、人件費も中国と比べて3割強から半分程度の水準と安くなるため、生産コストの低減につながる。2017年3月時点で従業員数は88名だが、2018年3月までに100名強まで増員し、生産量を段階的に引き上げていく予定となっている。

中国の工場では、空いたスペースで特注品や戦略製品を生産していくほか、工場の増設(投資額約400百万円)も発表している。2018年3月に完成予定となっており、戦略製品の生産ライン新設や研究開発スペースの拡張、将来の設備増強に向けたスペースを確保しておくことが目的となっている。

またベトナム工場では、次のステップとして、2019年3月期からは日本で生産している標準品(カタログ品)の生産移管も進めていく計画となっている。国内工場では空いたスペースで付加価値の高い特注品を生産していくことになる。ベトナム工場の生産規模は2021年3月期で10億円規模を目標としており、工場スペースがフルになれば同敷地内で工場の増設も視野に入れている。このように、ベトナム工場を起点としたグループ生産体制の最適化を進めることで原価率の低減とリスク分散を図り、高収益化を実現していく考えだ。

R&Dの強化としては、食品・飲料、医療機器、航空宇宙産業関連の市場開拓を目的とした研究開発投資に注力していく方針となっている。これら3つの業界については、景気変動の影響を受けにくい業界であると同時に、着実な成長が見込まれるためだ。既に、食品・飲料や医療関連では規模は小さいながらも売上高が増え始めている。

航空宇宙産業分野では、世界標準の品質マネジメントシステムであるAS9100認証を中国子会社で2015年1月に取得し、また、2016年3月には同子会社が航空宇宙産業における特殊工程である「熱処理工程」においてNadcap※の認証も取得した。ただ、同市場は非常に高い安全性と信頼性が要求されるため参入障壁も高く、今回の中期経営計画では顧客と商談ができるレベルまでの関係構築を目標としている。なお、航空宇宙産業以外でも鉄道車両向けの金型用部品についても製造に関する規格認証を取得しており、今後の進出を検討している。

※航空宇宙産業における特殊工程や製品に対する国際的な認証制度のことで、米国のPRI (Performance Review Institute)が審査機関として運営している。世界の航空宇宙関連企業である機体、エンジン及び搭載機器のプライムメーカー各社がサプライヤーに発注する製品に特殊工程が含まれる場合に、製造委託する条件としてNadcapの認証取得を義務付けている場合が多い。


(4)働き方改革
働き方改革では、「パンチスピリット~創業者精神への回帰~」(チャレンジ×創意工夫×自由闊達)をテーマに、社員重視の経営による組織力の強化を進めていく。40名強のメンバーで「働き方改革委員会」を発足し、「ものづくり」や「売り方」「働き方」などに対する考え方を創業時の原点に戻って一から見直し、社員の意識改革を図っていく。また、「人事制度」についてもグローバル企業として成長していくために適した人事制度の構築に取り組んでいく計画となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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