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インタビュー:日本株を大いに悲観=松井証券社長
2009年10月8日 / 09:39 / 8年前

インタビュー:日本株を大いに悲観=松井証券社長

 [東京 8日 ロイター] 松井証券(8628.T)の松井道夫社長は8日、日本の株式市場の展望について「大いに悲観的」との見方を示した。個人や外国人投資家の売買が細り流動性が低下していることや、デフレの進行が予想されることが、株式投資から資金を遠ざけると話した。ロイターとのインタビューで述べた。

 10月8日、松井証券の松井道夫社長は、日本の株式市場の展望について「大いに悲観的」との見方を示した(2009年 ロイター/George Nishiyama)

 松井社長は、このままでは東証の売買代金が1兆円を継続的に下回るような状態になるとも懸念を示した。また、企業が大幅な希薄化を伴う公募増資で資本調達をする流れにあることについては「長期的に市場を騙すことはできない」と述べ、いずれ株価に反映されるとの見方を示した。

 インタビューの主な内容は以下の通り。

 ──目先の東京市場の先行きをどうみるか。

 「大いに悲観的だ。その理由は、流動性がどんどん細っていることにある。流動性を生んでいるのは、個人投資家と外国人投資家。個人の大半はデイトレーダー。月間100回以上約定する人をデイトレーダーと定義しよう。個人投資家の6─7割は彼らの流動性からきているが、個人の取引は枯れている」

 「外国人投資家も日本にあまり期待できないと思い、日本を素通りして中国やインドなどにおカネを向ける。これから流動性はますます細り、ちょっとした材料で乱高下する市場になるということを十分考えた上で株式投資をしたほうがいい。ずっとそのような流動性の枯渇が続くとは思えないが、知っているのと知らないのとでは投資のやり方は変わってくるだろう」

 ──日本の個人マネーが株式市場に来ないのはなぜか。  

 「日本の機関投資家がほとんど動かない。一方で、銀行の自己資本比率の規律など、国際的な議論はまだ決まっていないが、少なくとも持ち合いという日本独特の慣習を是認するルールにはならないだろう。そうなると、法人が株を持っているという前提が一気に崩れる。誰が日本の市場に来るだろうか。(東京市場は)開店休業になる。流動性がなくなるということは、機能を果たさないということだ。流動性に関しては大変な危機感を持っている」

 ──東京市場の流動性は、どの程度低迷すると見るか。

 「最近の東証の売買代金は1兆4000億円程度だが、いずれ継続的に1兆円を割ると思う。経済全体をみても、日本だけではなく世界的に、政策で何とか支えてきたものがそろそろ息切れして財政赤字が悪化する。デフレもまだまだ進むと思う。デフレ期は株ではなく、債券やキャッシュが(投資先として)好まれる。そういう中で、個人が株に向かわないのに決まっている」

 「内需拡大の政策がはっきり示されていればいいが、民主党政権の言っていることはどうもはっきりしない。円高についても、日本の産業をリードしていたような企業は壊滅的な状況になる。トヨタをはじめとして海外に出て行く企業が増える。そうすると、ますます日本の雇用は悪化する。外需頼みでずっと何とかだましだまし来た日本が、内需拡大といっても誰も信じない。外国人投資家はそれを見越している」

 ──このところ、大きな希薄化を伴う公募増資が多発している。このような資本市場をどう思うか。

 「長期的に市場を騙すことはできない。マーケットは一時的に騙されたふりをしているが、いずれ株価に反映される。そういうファイナンスをしても理論通り(株価が)下がるかと言えば、今すぐはそうでもない。それをみて、ではうちもと苦しい企業ほど(増資を)やってくる。余裕のあるところはじっと我慢するが、余裕のないところほど先にやってくる」

 ──オンライン証券界では、一部で手数料の引き下げ競争が再燃している。

 「ネット証券界に限らず、過去にも価格だけがすべてというところは見事に倒れた。では彼らが大もうけしたかと言えば、マーケットシェアを取りに行っただけで、今は跡形もない。(ネット証券の引き下げ競争も)本体がものすごく潤沢に資金を持たない限り、苦しくなるだろう」

 ──これからの10年間、どんな時代になると思うか。

 「今までと比較にならないくらい、大きな変化がくる。しかし、だれにもそれがどういうものか分からないで、行動しながら変えていくしかない。そのためには自分を身軽にすることが必要だ」

 「そのために本業に集中する。資金を最終的に持っているのは個人で、未来永劫リスクをとらないことはない。必ず、自己防衛のために、そういうことを一部やらなければいけない時代になる。世界に例をみないくらい、株式投資に興味のない日本があるということは、逆にいうと、その反作用がどこかの時点で必ずくるということだ。そのときに会社が存続し知恵もあれば、膨大なビジネスができる。そのための準備をしている」

 ──松井証券の株主構成について、どう考えているか。

 「上場している企業として私が過半数の株を握っているのは、決して誇れることではない。しかし、いろんな人に持ってもらうチャンスがなかっただけだ。いずれ、もしかすると持ってもらうかもしれない。でもそれをどこかの銀行に持たせることはない」

 ──銀行の子会社になる証券会社は、なぜうまく行かないと思うのか。

 「文化が違うからだ。銀行が悪いとは言っていない。文化が違う。銀行文化と証券文化は相いれない。三井住友フィナンシャルグループ(8316.T)と大和証券グループ本社(8601.T)のことでも、そのことははっきりした。大和の選択は正しいと思うが、ではあれで大和が生き残るかどうかは分からない。しかし、三井住友が大和を完全に牛耳ったとしても、大和が伸びて行くかと言えば、伸びて行かないと思う」

 ──松井証券は将来どうするのか。

 「少なくとも銀行傘下になるつもりは全然ない。提携はあるかもしれない。りそな銀行とも提携した。しかし、それは是々非々ではない。われわれがどこから資本を調達して助けてくださいと言う理由はない。ビジネスでは利益が上がっているし、潤沢に資金があるのでそれが続いている限り助けてくださいという必要はない。独立独歩でやるということは非常に大事なことだ」

 (ロイターニュース 江本 恵美、藤田 淳子、西山譲慈)

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