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一時76円台、円が史上最高値:識者はこうみる
2011年3月16日 / 23:24 / 7年前

一時76円台、円が史上最高値:識者はこうみる

 3月17日、ニューヨーク外国為替市場で円が対ドルで史上最高値を更新したのを受けて、当局が介入に動くかどうか、市場は注意深く見守っている。昨年9月撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)

 [東京 17日 ロイター] 16日のニューヨーク外国為替市場では、日本の福島原発の状況に対する懸念が強まるなか、円が取引終盤、対ドルで史上最高値を更新。電子取引システムEBSで、ドル/円は4%以上下落し、1ドル=76.25円をつけた。市場関係者のコメントは以下の通り。

●投機の円買い、長期的に円高トレンドと思わず

  <ステート・ストリート銀行 金融市場部長 富田公彦氏>

日本の保険会社が海外資産を売ってリパトリエーション(資金の本国還流)をやる、という観測をもとに投機筋が円買いを進めているにすぎない。

 保険会社の資産に占める外貨資産は1割もなく、実際にそんな動きはない。これはあくまで投機の動きで、目先は79.75円を突破すると思っていた。特にこの時間は流動性が薄いので、どうしようもなかった。

 長期的な円高トレンドになるとは思っていない。円高トレンドになるには海外投資家が円資産を買わないといけないが、それが見えない。2003年、2004年のころのように海外勢が日本株をどんどん買ってくれるような状況は考えにくい。

●少なくともG7声明、当局介入も

 <バークレイズ銀行 チーフFXストラテジスト 山本雅文氏>

 福島原発の状況悪化を背景にしたリスク回避が広がる中、前日の海外市場で米債高/株安となっており、円が買われやすい状況となっている。実際には出ていない可能性が高いとはいえ、リパトリエーション(本国への資金還流)をめぐる思惑があることも、円高につながっている。1ドル=80円を割り込む場面ではストップロスを巻き込んだ。海外時間で本邦当局による介入警戒が薄れた面もある。

 政府・日銀が何もアクションを起こさなければ株安、円高の流れが続きそうだ。急激な円高は株安を招きかねない。株安がさらなる円高を引き起こす悪循環に陥りかねない。こうした状況下で国際的な協力は得やすい。少なくともG7声明、当局の介入もあり得る。

●ドル/円の下値めどたたず、下げピッチ速すぎ政府の介入必要

  <三菱東京UFJ銀行 アナリスト 井野鉄兵氏>

 本邦勢のいない取引の薄い時間帯にスペック筋に売り仕掛けられたドル/円の急落だ。とりあえずストップロスは付け終わったようでいったん下げ渋っているが、史上最安値を更新したあとでは、今後の下値のめどはたてられない。あとは、いつ政府が介入で止めるかだ。ドル/円の下げピッチが速すぎ、スピードを和らげる意味でも、介入が必要だ。大震災や原発事故という状況を考えれば、介入に対する海外の理解も得られる。

●世界的な株安連鎖防ぐための為替介入は正当化される

  <外為どっとコム総合研究所 社長 植野大作氏>

現象面からみると、未明の商いが薄い中、クロス円を含めたストップの嵐でドル/円の急落に拍車をかけた。

 G7(主要7カ国)緊急会合の議題には、日本に対する金融・経済支援の一部として、市場安定化策が入るだろう。投機的な思惑にもとづいた円高が加速することは、日本の国益だけでなく、世界の金融市場の利益に合致しない。日本株は、前日のニューヨークダウ平均とドル/円相場によって、その日の前場が決まる。これ以上日本の株が崩落して、アジア株、欧州株、米国株に連鎖するリスクを避けるためには、いったん為替のボラティリティを抑える必要がある。そのための介入は正当化される。 

●急激な円高はテクニカル要因

 <JPモルガン・チェース銀行 債券調査部長 佐々木融氏>

 東日本大震災を受けたリスク回避行動が円高圧力になっているが、けさ急速に円が買われたのは想定外の動きだったのではないか。薄商いの中でストップロスが付いており、急激な円高はテクニカルな面が大きい。早朝の動きだったたけにいったんは戻す可能性が高いとみている。

 政府・日銀の対応は十分に考えられる。株も先物が売られており、急激な円高、株安は日本経済にも悪影響を及ぼす。為替介入によりいったん市場を落ち着かせる可能性がある。ただ、中長期的には緩やかな円高が続くとみられる。11年末には1ドル=75円程度で推移しているだろう。

●ドル77円台をキープできるか注視、原発状況改善がポイント

  <みずほ証券グローバルエコノミスト、林秀毅氏>

 早朝につけたドル/円の安値76円台は一時的なオーバーシュート。きょうは政府の対応や日銀のさらなる追加緩和などがポイントになるが、77円台をキープできるかどうかを注目している。震災と原発事故への対応に追われる政府がどう対応するかだ。ドル/円の下落の背景が原発事故によるリスク回避であるため、原発の状況が改善しないと海外時間に再びリスク回避の動きが強まる可能性がある。

●ドル/円の史上最安値で、協調介入や一段の金融緩和も

 <クレディ・スイス証券 チーフ通貨ストラテジスト 深谷幸司氏> 

 ドル/円が史上最安値をつけたが、ドル売りの主体は時間帯を考えれば海外スペック筋。懸念されていた日本の保険会社などの震災対応のためのリパトリではない。

 早朝のドル急落で、ポジションを切らされる参加者はすでに切らされており、いったんドル売りははけたようだ。ここからは政府のなどの対応次第。協調介入もありうる。日銀の一段の追加緩和の可能性もあり、ドル/円は76円台では下げ止まるのではないか。

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