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焦点:出口見えない福島原発危機、解決には数十年か
2011年3月31日 / 09:41 / 7年前

焦点:出口見えない福島原発危機、解決には数十年か

 [ニューヨーク/ワシントン 30日 ロイター] 巨大地震と大津波で被災した東京電力(9501.T)福島第1原子力発電所からの放射能汚染が広がる中、一段の深刻化を防ぐため現場で対応に追われている作業員らは、悪夢のようなシナリオに直面している。

 3月30日、東日本大震災で被災した福島第1原子力発電所からの放射能汚染が広がる中、現場で対応に追われている作業員らは、悪夢のようなシナリオに直面している。20日に撮影された同原発の提供写真(2011年 ロイター/Air Photo Service)

 あらゆる取り組みは生命の危険を伴い、福島原発危機が最終的に収束するには数十年かかる見通しだ。専門家らは、それまでに多くの挫折や失敗、恐ろしい局面を迎える可能性があると指摘。現時点では、金銭的なコストや作業員らが健康面で被る代償がどれほどのものになるのか、予想すらおぼつかない。

 30日に記者会見した東京電力の勝俣恒久会長は、深刻な状況が続く福島第1原発1─4号機は「客観的に考えて廃炉にせざるを得ない」と言明。しかし、燃料棒の多くは依然として非常に危険な状態が続いており、廃炉までには長時間を要するとみられる。

 差し当たっては原子炉内への注水作業を継続し、使用済み燃料棒プールの高温化を防ぎつつ、冷却装置の復旧に取り組まなくてはならない。楽な選択肢はどこにもない。

 原発産業に30年近く携わっているフェアウィンズ・アソシエーツのチーフエンジニア、アーニー・ガンダーソン氏は「彼らは原子炉に水を入れては流す状態(feed and bleed)に陥っている」と指摘。冷却装置が正常に稼働しない限り、容器内の圧力低下には放射性物質を含んだ蒸気を外に逃す必要があるが、蒸気が出ればさらに水を供給しなくてはならない。

 放射性物質を含む水の一部は、地震やその後に起きた水素爆発で損傷を受けた可能性がある原子炉や格納プールからも流れ出ている。汚染水は原子炉内外の予期せぬ場所から見つかっており、そのことが、作業員の原発修復作業を一層困難なものにしている。

 <原子炉冷却と汚染水漏出防止の綱引き>

 世界各地で環境や安全対策の強化を提言している非営利団体「憂慮する科学者同盟(UCS)」のエド・ライマン氏は「原子炉の冷却と汚染水の管理という相反する問題が存在している」と指摘する。東京電力は28日、汚染水の漏出を最小限に食い止めるため、2号機への注水量を半分に減らしたが、結果的に、原子炉内の温度上昇を招いた。 

 米原子力規制委員会(NRC)の元委員長で、現在はカーネギー研究所の所長を務めるリチャード・メザーブ氏は、ロイターの取材に「核燃料を冷やすために注水は継続しなくてはならないが、一部で水は漏出しており、建物内の汚染が広がっているため作業員が中に入るのは難しくなっている」と述べた。

 放射性物質で汚染された水を原子炉内にとどめておくことは、周辺環境への汚染拡大を食い止めるためには死活問題。国際原子力機関(IAEA)は30日、福島第1原発から40キロの村で、避難基準を超える放射性物質が観測されたことを明らかにした。また、同原発ではこの日、近くの海水からこれまでで最も高い濃度の放射性物質が検出された。

 第1原発1─3号機では、タービン建屋外の「トレンチ」と呼ばれるトンネル状の構造物からも放射能を帯びた水が見つかっている。

 東京電力はトレンチに貯まった水を復水器と呼ばれる設備に移す計画だが、そのためには復水器に入っている水を空にしなくてはならない。もし汚染水を貯めて処理することがうまくできなければ、海に流れ出てしまう危険がある。

 <海水から高濃度の放射性物質>

 汚染水が太平洋に流れ出ることは誰も望んでいないが、福島第一原発周辺の海水からはすでに、国の基準の3000倍を超える放射性物質が検出されている。

 ただ専門家の多くは、現在原発周辺で濃度が高まっている放射性物質は、少なくとも海水で希釈されるとの見方で一致している。フランス原子力安全当局(ASN)のアンドレ・クロード・ラコステ会長は、汚染水処理の別の選択肢として、新たな格納方法を見つけるか、「海に廃棄する」ことも可能性として挙げている。

 福島第1原発は大地震と津波に襲われてから約3週間が経ち、一部で電気の供給が回復するなど光も見え始めたが、修復作業の進展を邪魔する放射能汚染を封じ込める有効な手立てにはまだたどり着いていない。

 <さらに難しい選択肢を迫られる可能性>

 これまでのところ、福島第1原発の復旧をあきらめて廃棄するという思い切った措置を求める声は目立っていない。それはつまり、日本が同原発からの長年にわたる放射能漏れを受け入れることも意味する。

 UCSのエド・ライマン氏は、今の段階で作業員らは「置かれた状況で最善を尽くしているが、状況はますます困難になりつつあり、簡単な出口はなくなりそうだ。さらに難しい選択肢を迫られるかもしれない」と指摘する。

 JPモルガン証券のイェスパー・コール株式調査部長は、福島第1原発危機の継続は日本経済に打撃を与え続けるとし、「最悪のシナリオは、それが1─2カ月や半年では済まず、2年もしくはいつまでも続くことだ」と語っている。

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