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展望リポートは「リスク」に日銀の本音、欧州債務問題長期化を懸念
2011年10月21日 / 15:17 / 6年後

展望リポートは「リスク」に日銀の本音、欧州債務問題長期化を懸念

 [東京 21日 ロイター] 日銀が27日、「経済・物価情勢に関する展望」(展望リポート)で示す2013年度までの実質GDP(国内総生産)や消費者物価指数(CPI)の見通しは、欧州債務問題が早期に一定の収束をみることが前提となる。

 10月21日、日銀の展望リポートは、後半のリスクシナリオに本音がにじみ出るとみられる。写真は都内の日銀本部。4月撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)

 しかし、日銀内部では欧州債務問題の長期化は不可避との声も出ており、むしろリポート後半のリスクシナリオに本音がにじみ出る見通しだ。日本経済は震災からの復興需要が一巡する12年度後半以降に厳しい局面を迎える可能性も懸念されている。

 展望リポートでは、12年度の実質GDPの前年度比伸び率予想を従来の2.9%から引き下げる。日銀に考え方が近いとされる民間エコノミストなどは2%台前半を見込んでおり、大幅に引き下げられる可能性がある。現在の日本経済を下支えしている自動車業界による震災後の減産分取り戻しがなくなり、金額の大きい復興関連支出は上期に集中するとみられるため、12年度下期に急減速する可能性が懸念されている。

 11年度も欧州債務問題による世界経済の減速や円高の長期化で輸出が下押しされつつあり従来予想0.4%を若干引き下げる方向だ。消費者物価指数は、従来ともに0.7%としてきた11年度と12年度予想を、8月の基準改定を受けて0%近辺とし、13年度も0%台半ばを軸に検討する見通し。

 ただこれらの数値はあくまで欧州債務問題がギリシャ一国の問題に事実上限定されることが前提で、他の南欧諸国への飛び火や、欧州金融機関の経営不安連鎖、ひいては欧州と関係の深い米国金融機関などに波及する可能性などは織り込まれていない。むしろ行内の視線は欧州問題の動向に絞られており、欧州金融機関の資本増強が各国財政負担の拡大を招き、各国の国債を保有する金融機関の体力がさらに消耗する悪循環も懸念され、情報収集に努めている。

 ギリシャ債務の削減を受けてギリシャ国債が債務不履行(デフォルト)と認定された場合、ギリシャ国債や、同国債を保有する金融機関の「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」を売った金融機関にどのような影響が出るのか見極められず、予断を許さない状態だ。

 白川方明総裁は21日に開かれた全国信用組合大会でのあいさつで「世界経済の下振れリスクを回避するうえで、欧州ソブリン問題の動向が当面の焦点」と強調。欧州政策担当者の努力を強く促した。

 日銀が欧州債務問題が収束しない、との前提でシナリオを発信すれば、欧州当局者の政策に対する信認に傷をつけてしまう。このため欧州債務問題が収束するとの前提は崩せないのが実状。「長期的な視点からのリスク」という記述に、今後想定しうる欧州不安長期化の影響が詳述される見通しだ。

 (ロイターニュース 竹本能文;編集 石田仁志)

 

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