追加利上げの機は熟した=藤原前日銀副総裁
[東京 19日 ロイター] 藤原作弥・前日銀副総裁(現:日立総合計画研究所取締役社長)はロイターとのインタビューで、物価も景気も上向き傾向が確認されており、追加利上げの機は熟しているとの考えを示した。現在の金融政策については、金利正常化の途上にあるとし、正常化に至る前にバブル的な状況に陥る可能性もありうるとの見方を示した。
ただ現在の経済情勢は、消費や物価についてかなり微妙な情勢にあるとして、見極めるべきファクターはきちんと点検すべきだとも述べた。
藤原前副総裁は、「まず金利を正常化して、その上で経済動向にあわせて金利をアップ・ダウンするのが本来の姿。正常な座標軸になるまでは利上げの方向にあるのは当然」だとした。「過去の苦い経験としてのバブルの教訓もある。当時は消費者物価は上がっていなかったので、物価以外のファクターもネグレクトはするべきではない」とした。その上で「このままでいけば金利が正常に戻る前にバブル的な経済状況になることも考えられる。利上げに際しては、一部の中小企業にはつらいだろうが、中央銀行はできるだけアクロス・ザ・ボードの政策をとる立場にある。マクロの経済状況に沿った金融政策をとることが息の長い経済発展に資するとの考え方がある」と述べた。
バブル時の教訓として「景気が良くなっているだけではなく、投機的なマネーもチャンスを狙っている。そういうものにつけこまれないよう、政策運営をしていかなえればならない。バブルの生成と崩壊ほど手痛い経験はない。あの愚は二度と繰り返してはいけない」と主張した。
藤原前副総裁は、現在の経済情勢について「消費と物価において、どんなに説明してもわからないような微妙な状況にある」との見方を示した。この点について日銀から、会見や国会答弁などを通してきちんと説明がなされているにもかかわらず、政府・政治サイドの様々な発言があったことは独立性を損なうとし、「1月に見られた状況は、日銀の市場との対話に水をかけた」と述べた。またメディアについても、決定会合前にそうした話題で政治家にマイクを向けるべきではないと批判した。
ただ政府の政策との整合性については法律でも定めがあり、「事前に明示的に通告や了解を得ることはありえない。ただ、普段からの意見交換によりだいたいのニュアンスは伝わると思う」と述べた。
日銀が金融政策上のメルクマールとする物価指標について、藤原前副総裁は「コアCPIだけでなく、原油価格の動向はどうするのかなど、色々なベースでの指標を入れるべきとの意見もあるが、新日銀法の施行以来、これまで常に採用してきたのはコアCPI。日銀はその時々でベースを変えるべきではない。変えるということは政策決定のファクターを変えるということになる。あくまでもコアCPIを維持すべきだ」との考えを示した。
もっともそのコアCPIがゼロ近辺で推移している中での利上げの必要性について、同前副総裁は「あれだけひどい経済からこれだけ立ち直ってきている。そういう状況でいかにも0.25%の金利では(低く)、為替など色々な面に影響が出ている」として「景気も物価もそして金利も同時並行的に、全体として正常化の方向に進んでいくことは、みな知っている」と指摘した。
2月の政策決定会合での追加利上げに関連しては、「10─12月の国内総生産(GDP)をみても機は熟したと、みな思うだろう。ただ、物価面では、デフレーターを見ると1月に逡巡した視点からまた議論があるかもしれない」と述べ、「中央銀行はフォワードルッキングに政策運営すべきだが、参考にすべきファクターはきちんと見極めなければならない」と付け加えた。
2000年8月のゼロ金利解除に対する批判があることについて、「あの時は、デフレ懸念払しょくの材料がそろっていたので、誤りとは思っていない。10月以降、米国でITバブルの崩壊についてFRB自身があの時点では大丈夫だと言っていたわけで、基本的なファクターにまでさかのぼって日銀が誤った判断をしたとは思っていない」と述べた。その上で「フォワードルッキングというのは機動的・柔軟に判断するということ。事態の変化に適切に対応すべきで、過去の過ちにとらわれる必要はない」との考えを示した。
© Thomson Reuters 2012 All rights reserved.





















