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先行きの不安感示す短観、日銀は利上げ時期模索へ
2007年10月1日 / 04:36 / 10年後

先行きの不安感示す短観、日銀は利上げ時期模索へ

 [東京 1日 ロイター] 9月調査日銀短観では、注目された米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の影響が、足元では確認できなかったものの、先行きの企業マインドの悪化となって表れた。

 10月1日、9月調査日銀短観では先行きの不安感が示され、日銀はフォワードルッキングな視点で利上げのタイミングを探ることになりそうだとの声が。写真は7月に都内で撮影(2007年 ロイター/Yuriko Nakao)

 一方、中小企業の景況感悪化は一段と強まり、内需関連も磐石とは言えないことも露呈された。日銀は10月末に「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を発表するが、今回の短観を1つの材料と位置づけながらも、今後の米経済指標など世界経済の減速につながる兆候が出てくるかをより注視している。日銀は米経済や世界的なマーケットの動向をにらみつつ、フォワードルッキングな視点で利上げのタイミングを探ることになりそうだ。

 <サブプライム問題の影響はこれから>

 9月短観での米サブプライム問題の影響について、日銀は発表前の段階で、足元には表れずむしろ先行きの企業マインドにどの程度影を落としているか注目していた。

 結果は、大企業製造業のマインドが先行きにかけて大幅に悪化し、2004年12月以来の悪化幅となった。大企業に関しては輸出比率の高い加工業種の悪化幅が目立つことから、サブプライム問題に端を発した金融市場の混乱で円高が進行したことや、米経済の減速懸念が膨らんだことなどが影響していると日銀ではみている。先行きの海外需給判断が悪化していることも、こうした見方を裏付けていると日銀は分析している。

 もっとも今のところ売上や収益、設備投資計画など事業計画の見通しに関し、足元では堅調さを維持。特にサブプライム問題の影響は見られなかった。4─6月期法人企業統計で設備投資が前期比減少となったものの、短観では計画が上方修正となり、引き続き設備投資が堅調であることが確認された。

 為替レートは、足元の相場の動きと整合的なものとなっている。上期が116円と円安方向に修正され、下期は114円となっている。現状程度の為替相場で推移すれば、収益には中立要因となりそうだ。

 <目立つ中小企業の景気悪化、建築規制強化の影響も>

 一方、中小企業では足元のマインド悪化が続いている。須田美矢子委員が27日の講演で「ここにきて気になるのが中小企業の状況」と指摘しているように、大企業に比べて収益環境が厳しさを増していることが確認された。日銀内でも「中小企業のマインド悪化は避けられない」と見ていた幹部が多く、大企業における海外経済に対する不安だけでなく、国内経済においても景気拡大持続の足取りが順調とはいえない面がうかがえる。

 詳細をみると、素材業種の悪化幅が大きい。原油価格の高騰などコスト高が影響したせいか、製造業の経常利益計画が下方修正されている。非製造業も個人消費関連業種を中心に大幅にマインドが悪化したほか、改正建築基準法施行の影響もあってか建設や不動産業での悪化が目立つ。日銀では建築規制強化の影響は今後も続くと見ている。

 <展望リポートシナリオは海外経済次第>

 短観の内容は先行き懸念や中小企業の弱さを露呈したものの、事業計画は引き続きしっかりしており、エコノミストからは「日銀は展望リポートのシナリオに自信を深めたと見られる」(JPモルガン・チーフエコノミスト・菅野雅明氏)と受け止められている。

 ただ、日銀では9月短観にはサブプライム問題の影響が足元には明確に表れていないと見ており、あくまでもシナリオ判断の1つの材料にすぎないと位置づけている。

 むしろ8月に大きく落ち込んだ米雇用統計が9月も同様の動きを見せるのか、比較的堅調さを保ってきた米個人消費関連指標が年末商戦に向けて悪化傾向を強めないかなど米国経済指標を注視していく姿勢だ。須田委員が「不確実性の高い経済にあってはフォワードルキングな漸進主義が望ましい」と講演で指摘しているように、日銀としてはこうした材料を踏まえた上でシナリオに確信が持てれば利上げ時期を模索していくことになりそうだ。

 ただ、今後の米経済指標次第では、展望リポートで2%成長持続のシナリオを維持できるのか、維持したとしても海外経済の不確実性をどのように位置づけるのかなど、利上げ判断に至るにはこうした点を見極める必要がありそうだ。菅野氏は「第4四半期の米経済が相当悪化する可能性もあり、クリスマス商戦を見極めないと日銀も最終判断ができないだろう」と見ている。

(ロイター日本語ニュース 中川 泉)

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