作家の宮部みゆき、「日本がどんな国か伝えたい」

2007年 12月 13日 13:12 JST
 

 [東京 12日 ロイター] 5冊目となる英訳本の出版を行った作家の宮部みゆき氏がロイターとのインタビューに応じ、著書を通じて「日本がどんな国であるか、どんな国になろうとしているのか」伝えたいなどと意気込みを語った。

 宮部氏は先日、女性たちの変死事件を解決しようと試みる少年を描いた「魔術はささやく」の英語版「The Devil's Whisper」を出版。同氏の作品はこれまで、中国語、ハングル語、タイ語、フランス語、ロシア語など11の言語に翻訳されている。

 宮部氏の作品にとって最初の英訳本、多重債務に苦しんだ末殺人を犯す女性を主人公にした「火車」の英語版「For All She Was Worth」について「私は非常に日本的なことを中心に書いており、英語のマーケットに入ることは無理だろうと思っていたので、『火車』の英語版が出たことはとてもすばらしい記念になると思った」と語った。

 また、すでに海外でも知名度が高い作家の村上春樹氏について尋ねられ「村上氏が書いているのは純文学だが私はエンターテインメントの作家であり、またそういう作家でありたいと思っている。そして日本がどんな国であるか、どんな国になろうとしているのかということを、私の本を通じて少しでも伝えることができれば本当に幸せだと思う」と述べた。

 宮部氏は、東京の下町にある曾祖父母の代から住んできた土地に居をかまえる。幼い頃の思い出を振り返り「私が生まれ育った地域では、みんなが自分の手を使って仕事をしていた。書き物をしたり、机で働いているような人たちはいなかった。私は読書が大好きだったけれど、その頃の私は私自身が作家になるとは全く思っていなかった」という。

 現代の日本そして東京が抱える暗さを濃密に描くとも評される同氏は、東京には2つの顔があると語る。「ひとつめの顔はみんなが知っている東京で、経済力と政治の力が結集していて実力を持った人たちが集まってくる、明るく輝いている場所としての東京。そして、ふたつめの顔は普通の人々が生活する場所としての東京で、そういう普通の人たちは国際都市の東京というものには縁がないし、明るく輝く東京を少し怖がっている。私はそういう、もうひとつの顔のほうの東京を書いている」と締めくくった。

 
 
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