物価上昇でも景気後退に対応した利下げ有効な場合ある=日銀総裁

2008年 05月 12日 15:57 JST
 

 [東京 12日 ロイター] 白川方明日銀総裁は12日、都内で講演し、世界的な物価上昇についてインフレへの臨界点が近づいているとの認識を示し、今後本格的なインフレになるかどうかは各国の金融政策での対応が重要になると指摘した。

 ただ物価が上昇しても、経済の悪化を招く場合には金利を据え置くことが適当、との考えを示した。交易条件悪化に伴う景気後退の場合には、利下げをすることが適当な場合もあるとも指摘。現在のように不確実性の高い状況においては、下振れリスクに留意して政策運営を行う方針を示したが、一方で現在のゼロ%近辺の実質金利は極めて低いとの認識を示し、上下両方向のリスクを点検し機動的に政策運営を行うと述べた。

 <リスクシナリオを十分綿密に検討>

 白川総裁は景気見通しについて「不確実性が通常より高い状況。こうした状況では、標準見通しだけでなく、見通しが上下にぶれる可能性、つまりリスク・シナリオについても十分綿密な検討が必要」との認識を示した。

 リスクとして海外経済や国際金融資本市場の動向をあげた。「米国経済は減速傾向が強まっており、当面、停滞あるいは緩やかに後退する可能性が高い」と指摘し「米国経済がいつごろ、どの程度のスピードで回復するかは、住宅市場の調整がいつごろ完了するか、また金融環境の悪化にいつごろ歯止めがかかるかということに大きく依存している」と述べた。ただ「今のところ、住宅価格は下げ止まっておらず、金融市場の動揺が収まる兆しはみられない」と述べた。

 不確実性の第2に、エネルギー・原材料価格の動向をあげた。「仮に国際商品市況がさらに大幅に上昇する場合には、各国でインフレ圧力の一層の高まりにつながるリスクがあり、インフレ抑制のための金融引き締めなどを通じて、その後の世界経済の下振れ要因となる」とした。さらに「国際商品市況の上昇は、日本にとっても、物価面での上振れ要因となる一方、海外への所得流出が増加することから、実体経済面で下押し圧力がかかる可能性がある」とした。 

 一方で白川総裁は、「世界経済や日本経済を覆う霧が薄れてくる場合には、上振れ方向のリスクの重要性が増してくることも意識しておく必要がある」とも指摘。「そうしたケースでは、現在の低金利がより強い景気刺激効果を発揮することになる」と述べた。総裁は、現在の実質短期金利はおおむね0%近辺だと指摘して、潜在成長率を比較すると極めて低い水準にあるとも述べた。

 <世界の物価動向はインフレへの臨界点に近づいている>  続く...

 
 
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