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バーナンキ発言の解釈で気迷い、相場のエネルギー高まらず
2008年6月5日 / 05:33 / 9年前

バーナンキ発言の解釈で気迷い、相場のエネルギー高まらず

 6月5日、同日の東京市場は前日とは一転して株安/債券高。米金融保証会社の経営問題が再び材料視されたが、投資家のリスク許容度の低下を指摘する声が出ている。写真は4日、講演を行うバーナンキ米FRB議長。ケンブリッジで撮影(2008年 ロイター/Adam Hunger)

 [東京 5日 ロイター] 5日の東京市場は前日とは一転して株安/債券高。米金融保証会社(モノライン)の経営問題が再び材料視されたが、毎日のように変わる相場の地合いに投資家のリスク許容度の低下を指摘する声が出ている。

 バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の発言の解釈をめぐっても為替市場では気迷いムードが出ており、相場が一方向に動くエネルギーは感じられない、という。6日の米雇用統計というイベントを前にしても先駆けてポジションを積極的に作る参加者は少ない。

 <株式需給は下支え要因>

 株式市場では日経平均が反落。これまでの上昇に対する反動で利益確定売りが先行したほか、モノライン大手2社の格付け見通しをめぐる不安から米国で金融株が売られたことも信用収縮に対する懸念につながった。

 ただ、「先物売りに押されているものの、海外勢は米系中心に買い先行。下値には国内機関投資家とみられる買いも入っている」(大手証券エクイティ部)とみられ、売り一巡後は下げ渋った。

 ある邦銀筋は「下値では年金筋の買いが継続して入ってくるので、大きく値崩れしない」と述べ、需給の改善が下支え要因になっているとみる。

 「個人はこのところの戻りで利食い売りを出している。こうした資金は再び市場に流入するとみられ、堅調な地合いが続くのではないか」(明和証券・シニアマーケットアナリストの矢野正義氏)との声も出ていた。

 <米信用不安の影響、ドル相場次第>

 ムーディーズ・インベスターズ・サービスは4日、米MBIA(MBI.N)とアムバック・フィナンシャルABK.Nのモノライン子会社の格付けを現在の最上級から引き下げる方向で見直す方針を表明した。

 これについてユナイテッド投信投資顧問シニアファンドマネージャーの高塚孝一氏は「金融機関にとって新たな評価損につながる可能性もありネガティブ要因ではある。欧米金融機関が損切りを進め体力が低下していることの表れであるが、それは同時に問題解決の進展を意味する」と指摘。「クレジット問題がパニック売りの引き金となるフェーズは過ぎており、現在の債券売り/株式買いのトレンドを崩すまでには至らないだろう。また日本株は脱デフレなど、欧米市場とは異なるポジションにいるため、さらに影響は限定的だ」とみている。

 ある欧州系証券の関係者は「金融不安はくすぶっているものの、それがドル安/円高につながらなければ日本株は売られにくい。1ドル105円台のレートでは企業業績は上方修正含みとなるため、目先の調整は買いとみている国内機関投資家も多い」と話している。

 準大手証券関係者は「東京市場の地合いは個別株でも買いから入って取れる地合いになっており、下がれば買いたい向きは多い。海外勢の買いに個人投資家が追随する形になっており、ここからの下値には限度があるとみている。基本的に短期売買が主体で、モノラインの格下げ問題も足元は大きな材料になっておらず、銀行株の下げにしても利食い売りの範囲内の動き」という。

 <尾を引くバーナンキ発言の影響、短期筋にはドル買い材料>

 為替市場では、ドルが広範な通貨に対して、短期筋を中心に買い進まれた。特に対ユーロ、豪ドル、NZドルでの買いが目立った。原油価格が一段安になっていることも、ユーロ売り/ドル買いの安心感を誘っているという。米原油先物は日本時間5日午前の電子取引で1バレル=121.85ドル付近で取引されており、NY時間から約50セント下落している。

 為替市場では、3日にバーナンキFRB議長がインフレとの関連で、ドル安に懸念を示したことについて、短期筋と投資家の間で見方が分かれている。

 バーナンキ議長は、ドル安が歓迎せざる輸入物価高、消費者物価高をもたらしており、ドルの価値変動がインフレ期待に与える影響に注意を払い政策決定を行うとし、インフレとの関連でドル安に対して懸念を示した。

 都銀の為替副部長は「バーナンキ議長はドル安がいけないと言っているわけではなく、ドル安が商品高、原油高に結びつき、最終的にはインフレを悪化させるというスパイラルに対して警告した、と受け止めている」とし「原油価格は小幅に下落しているが、ドルについては、掛け声だけで、米国に資金が戻るとも思わないし、ドル高が進行するとは思わない」と話している。複数の市場参加者によると、短期の投機筋は、中銀当局者のドル安けん制発言は異例との理由で、バーナンキ発言に乗ってドルの買い戻しを継続している。

 <投資家は信用不安再燃を懸念>

 他方、米国を含むグローバルな投資を行う大手投資家の動意は限定的で、インターバンク参加者を含む投資家の興味はむしろ金融セクターの信用不安再燃に向いているようだ。

 「格付け会社はモノライン子会社の格付けを一気に4段階引き下げる可能性があり、モノラインが保証する数十億ドルの債券が影響を受けることになる。欧米金融機関の損失は拡大し、いっそうの資本増強が必要になるだろう」と話している。折りしも、米リーマン・ブラザーズLEH.Nが、国内外の投資家に出資を打診したことが報道されている。

 <円債市場、乱高下後の調整続く>

 一方、円債市場は反発。株安を受けて短期筋の買い戻しが入った。株価が下げ幅を広げる場面では海外勢による株先売り/債先買いの裁定取引を巻き込んで一段高となった。市場では「米大手証券の信用不安を材料に、海外勢が先物買いを活発化させている」(国内金融機関)との声が出ている。

 スワップ市場では2年ゾーンに強いレシーブが入った。現物市場でも金融不安の高まりでより安全とされる中短期ゾーンを選好する動きが強まった。「スティープニングポジションを構築する動きが出ている」(邦銀)との声も出ている。2年利付国債利回りは5ベーシスポイント(bp)低い0.815%と5月23日以来の水準に低下。10年最長期国債利回り(長期金利)は4.5bp低い1.725%に低下した。

 インフレに対して強い警戒感を示した4日のバーナンキ議長の発言で米債市場では長期債を中心に急反落。米10年国債利回りは再び4%の大台に迫った。ただ、「インフレ警戒発言は、常識的に考えれば米金利はベアフラットで反応するはず」(日興シティグループ証券・チーフストラテジスト、佐野一彦氏)としてイールドカーブがスティープ化したことに違和感を感じた市場参加者は少なくない。「FRBが早期の利上げを視野に入れているわけではなく、インフレ期待を抑制するための口先介入の域を出ないと思われる」(外資系証券)という。

 三井住友銀行のチーフ・ストラテジスト、宇野大介氏は「国債先物にはヘッジした分の買い戻しが反映されているが、現物債を含め全ゾーンに波及するには至っていない。過去2カ月で大きく相場が下落したのですぐに回れ右とはいかず、方向転換には時間がかかる」といい、大荒れとなった4─5月にかなり痛い目を見てしまっただけに動きづらくなっている、と話している。そのうえで「10年金利が1.5%を大きく超えた水準というのは、景気、外部環境ともに良好であることでつける位置。実際の経済状況を考えると1.7%半ば─1.8%近辺というのは高すぎで、材料が出揃った後は徐々に1.5%に向けて下がっていく」とみている。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集:宮崎 大)

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