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GSE支援策でも警戒感払しょくできず、投資家責任のあり方に関心
2008年7月14日 / 06:23 / 9年前

GSE支援策でも警戒感払しょくできず、投資家責任のあり方に関心

 7月14日、米政府・金融当局によるGSE支援策の発表も市場の警戒感は払しょくできず。写真は米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の本社。13日撮影(2008年 ロイター/Larry Downing)

 [東京 14日 ロイター] 米ベアー・スターンズBSC.N救済時と同様、米政府・金融当局が日曜日に米政府系住宅金融機関(GSE)の支援策を発表し、金融市場の一段の混乱防止に動いた。週明けの市場はドルが買い戻され、日本株も金融関連中心に反発。

 とりあえず、支援策の実効性を見極めようとのムードになっている。ただ、日経平均が午後にマイナスに落ち込むなど警戒感は払しょくされていない。今後はGSEへの公的資金注入額や時期、その際の投資家責任のあり方がポイントになる、との見方が出ている。

 <株式は買い戻し中心、海外実需勢の動き鈍い>

 株式市場では日経平均はもみあい。GSE支援策の発表で足元の金融不安が後退し、午前は銀行、証券、不動産などを中心に買いが入った。ただ、「売り込まれていたセクターの買い戻しが中心で、海外の実需勢の動きは鈍い」(準大手証券)といい、午後にはマイナスに転じた。

 連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)FNM.Nと連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)FRE.Nの株価が前週に急落し、両社の経営不安が金融マーケットの焦点になっていたが、「米国の金融問題は依然残っている。米当局の今後の動きを見極めるまで株価の上値は重い」(東海東京証券・エクイティ部長の倉持宏朗氏)との指摘もある。

 大和総研投資戦略部シニアストラテジストの成瀬順也氏は「GSE救済策は、詳細が詰められていない。ファニーメイやフレディマックの株価が下落し、足元の資金繰りが危なくなり、市場の催促を受けて、また、NYタイムズ紙に米議員がリークしてしまったので、緊急に支援策だけ打ち出した感じがある。この先、具体的にどのように支援していくか不透明感が強い上、クレジット問題の抜本的な解決策にはなっていない」と話している。

 商業銀行と異なり破たんを想定したスキームがない投資銀行の処理問題について、米政府内での議論が活発化している。「投資銀行が抱える証券化商品の実態や、破たんに備えたスキームが見えてこなければ、株価の戻りは限定的だ。海外勢もリスク商品への本格的な資金シフトには動きにくいだろう」(米系証券)との声も出ている。

 一方、円債市場は小幅安。米国の金融システム不安がいったん和らいだとの見方から、質への逃避を巻き戻す動きが出た。「ロングポジションになっている海外勢がいったん国債先物に利益確定売りを出した」(国内金融機関)といい、中心限月9月限は一時32銭安の135円67銭に下落した。ただ、取引は閑散で今晩の米国市場動向を見極めたいとして、様子見ムードが広がっている。信用不安がくすぶる米金融機関の決算を控えて、下値を売り込むこともできず、地合いの底堅さを感じる相場展開だ。株価が伸び悩むにつれて切り返す場面もみられた。

 <投資家責任、株式と債券で違い>

 三菱UFJ証券投資情報部長の藤戸則弘氏は今回の支援策について、「両社が資金繰りに詰まり破たんすることは当面ないが、一方で必要ならば両社の株式を取得する一時的な権限も保有するとしている。公的資金を投入し全面的な管理下におけば株主資本はゼロになる可能性が大きい。米国市場の反応を見るまでは評価は難しい」という。

 東海東京証券・チーフエコノミストの斎藤満氏は「今回の対策の中心は、連銀の窓口貸し出しという短期流動性の供与であり、経営安定化策としては心もとない内容だ」と指摘。「国有化しても株式のき損は避けられず、資本注入すれば、株が希薄化するため、両GSEの株主は救済されないだろう。アジア市場では、外為も株式市場も、支援策を一応好感しているようだが、きょう予定されるフレディマックの30億ドルの短期債発行に対する市場の反応が、本当の試金石となろう」とみる。

 一方、債券・クレジット市場では受け止め方は異なり、ある大手証券筋は「GSEの債券は暗黙の政府保証を前提にしている、との受け止め方が一般的。この前提が崩れればシステマティック・リスクが発生する」と話しており、クレジット市場の反応は限られている。

 日本のクレジット市場も「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、米政府のクレジット危機回避への強い表明を素直に評価し、目先タイト化の方向で推移する可能性が高い」(トヨタアセットマネジメント投資戦略部シニアストラテジストの濱崎優氏)という。

 <ドル買いに弾みつかず>

 為替市場では朝方、ドル買いが優勢となったものの、その後は動意薄。GSE支援策の発表直後は、ドル/円が106.10円付近から106.71円まで上昇、ユーロ/ドルも1.5960ドル付近から1.5882ドルに下落するなど、ドル買いに転じる動きがみられた。「欧米金融機関の決算を控え、とりあえずは負のスパイラルを断ち切った」(クレディ・スイス証券エコノミスト、小笠原悟氏)「少なくともドル売り材料でもなく目先、ドル売りは回避された」(ドイツ証券シニア為替ストラテジスト、深谷幸司氏)との声が出た。

 ただ、両氏ともにドルの本格反発とはみていない。

 小笠原氏は「中長期的には公的資金注入も選択肢になり、米国の財政赤字拡大など、新たな懸念につながる要素もある」と話しており、深谷氏は「短期的には105―108円のレンジ内で右往左往する値動き」を予想している。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集:内田 慎一)

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