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米ドル上昇で、米国の大型株から内需関連小型株へのシフト勧める声
2008年8月12日 / 07:55 / 9年前

米ドル上昇で、米国の大型株から内需関連小型株へのシフト勧める声

 8月11日、このまま米ドル上昇基調が続けば、投資家のマネーは米国の多国籍企業や新興国の企業から米国の内需関連小型株にシフトするとの見方が台頭。写真は米ドル紙幣。昨年11月撮影(2008年 ロイター/Herbert Tsang)

 [ニューヨーク 11日 ロイター] 外国為替市場で米ドルが上昇している。この基調が続けば、投資家のマネーは米国の多国籍企業や新興国の企業から、米国の内需関連小型株にシフトするとの見方が台頭している。

 米国の景気減速が欧州やその他の地域に飛び火し始めていることが明らかになったことで、主要6通貨に対するNY商品取引所(NYBOT)のドル指数は前週8日に、6カ月ぶりの高水準を付けた。

 また、小型株のベンチマークとして知られているラッセル2000指数は、7月半ば以来10%以上上昇し、同じ期間に6%上昇したS&P総合500種指数をアウトパフォームしている。

 米国の大手企業はこれまで、経済が好調な欧州とアジアへの輸出で業績を伸ばし、さらに輸出による収益をドルに交換した為替差益で利益を上げてきた。しかし米ドル高が続けばこうした構図は成り立たなくなり、投資戦略の変更を考え始める投資家が出てくるとの見方が台頭している。

 ボストンに拠点を置くメイフラワー・アドバイザーズのマネージング・ディレクター、ローレンス・グラザー氏は「これまではドル安が続くことを念頭に、多額の投資が行われてきた。市場参加者はそうした現状に安心しきっていた」と話す。

 しかしここにきて状況が変わってきた。シティグループ(C.N)の小型・中型株担当のストラテジストのローリ・カルバシナ氏は、欧州経済の先行き懸念を漏らす顧客が増えたと話す。そうした顧客は欧州の景気減速が自分の株式ポートフォリオに及ぼす影響を心配しているという。

 カルバシナ氏は、これまでに4─6月決算を発表した米大手企業の間では欧州の景気減速の影響はそれほど顕著に現れていないが、これから先の四半期決算では状況は変わるだろうと予測する。同氏は、欧州企業へのエクスポージャーの懸念から小型株投資を増やそうとしている顧客に対し、「こうした見通しはまだ不透明で、大きなリスクが隠れている」との警告を発している。

 カルバシナ氏は小型・中型株投資にあたり、まず銘柄を選別することが大切だとしながらも、消費財を扱う企業や、小売業者などを勧めている。また、産業機械、建設機械、農業機械などの機械セクターも注目に値するとしている。

 一方で、米大手企業から小型株投資に切り替えるのは時期尚早とみる向きもいる。

 ドルはこのところ上昇しているとはいえ、いまだ低い水準にある。対ユーロでは1ユーロ=1.50ドル近辺にあり、最安値の1.60ドルからは上げているものの、2005年末に付けた1.17ドルには遠く及ばない。

 シカゴに本拠を置くハリス・プライベート・バンクの最高投資責任者、ジャック・アルビン氏は「ドルはいまだ低い水準にある。自分自身はまだ優良株の投資に賭けるのが有利だと思っている」としている。

 住宅市場の低迷、失業者の増加などを受け、米国経済はリセッションの淵に立たされている。こうした状況のなか、現在のドル高は持続するのだろうかという疑問もある。

 トロントのスボッド・クマール・アンド・アソシエーツのチーフ投資ストラテジスト、スボッド・クマール氏は「今こそ多国籍企業への投資から米国の内需関連銘柄にシフトするべきだとは、はっきりと言えない」とした上で、むしろ今は、大企業であろうと小規模な企業であろうと、マネージメントがしっかりした企業に投資するのが有利だと話す。例として、日本の自動車メーカーや、米医薬品・健康関連用品大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)(JNJ.N)などを挙げた。

 前述のメイフラワー・アドバイザーズのグラザー氏も、大企業は低コストで資金調達できるなど、信用収縮下では特に有利な条件を持っていると指摘し、同様の見方示す。

 またハリス・プライベート・バンクのアルビン氏は、ドルの対ユーロでの下落も、欧州の投資家が米国株の割安感から米国への投資を拡大させれば、米大手企業に有利になることもあると話す。

 米コネチカット州のハートフォード保険のチーフ投資ストラテジスト、クインシー・クロズビー氏は、もしドルが堅調な地合いを保ち、さらに上昇すれば、米国の小型の内需関連銘柄が買われるだろうと予測する。しかしそうなっても、世界経済の減速が予測よりも緩やかなものになれば、米多国籍企業の世界市場での販売は下支えされるため、大型株の魅力は損なわれないと話す。

 ロンドンに本拠を置く上場投資信託(ETF)を専門に扱うSPA・ETFのストラテジスト、ニール・マイケル氏は、外国為替市場におけるトレンドの転換は「大きなタンカーが方向を変えるようなもの」で、時間がかかると述べた。

(ロイター日本語ニュース 原文:Steven C. Johnson、翻訳:広神 綾子)

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