〔縮む個人消費〕力不足の総合経済対策、自律回復に不透明感

2008年 08月 28日 17:12 JST
 

 [東京 28日 ロイター] 「消費に点火していれば、景気拡大はもっと長く続いただろう」(農林中金総研・主任研究員の南武志氏)──。1960年代後半の「いざなぎ景気」を超えて戦後最長となった今回の景気拡大局面を振り返り、専門家にはこうした見方が少なくない。

 内閣府の調査によると、今拡大局面での消費の伸びは年率プラス1.5%で、いざなぎ景気のプラス9.6%、バブル景気のプラス4.4%と比べて大きく見劣りする。 景気拡大にブレーキがかかっている現在、個人消費を回復させる環境づくりは一段と難しくなっている。 

 消費が伸び悩んでいる最大の理由は、賃金が上昇しなかったことだ。給料の伸びを比べると、いざなぎ景気の114.8%増、バブル景気の31.8%増に対し、今回の景気拡大期では逆に0.8%減少した。「所得が伸びないのに消費が落ちなかったのは、貯蓄を削ってきたため」(連合総合生活開発研究所 鈴木不二一副所長)。内閣府によると、96年度に10.4%あった貯蓄率は、その後徐々に低下、06年度には3.2%まで落ち込んでいる。 

 <下押し圧力、さらに強まる可能性> 

 先行きについても、個人消費への逆風はさらに強まる可能性が高い。内閣府が13日に発表した4─6月期国内総生産(GDP)は、13四半期ぶりに財貨・サービス輸出が前期比マイナスに転じ、比較的底堅く推移していた消費支出も06年7─9月期以来の減少になった。消費縮小の主因は、ガソリンや食料品の急激な値上がりだ。 みずほ総研シニアエコノミストの太田智之氏は「4─6月期消費は、うるう年要因を除いても弱い。電力やガソリンの使用量、外食も減少している」と物価高の影響を指摘する。  

 仮にガソリンや食料品価格の上昇が一段落したとしても、消費者の購買力がどこまで高まるかは不透明だ。消費の先行きを占う要因のひとつである企業収益をみると、これまでの拡大を支えてきた外需に急速に陰りが出てきており、輸出や生産の増加は当面期待できない。また原油などの資源価格が、やや落ち着いたとはいえ高水準で推移する状況が続けば、今後、企業収益の悪化、設備投資・雇用の引き締めなど、消費や景気の下押し圧力が強まる可能性が高い。  

 それに加えて、将来の生活への不安が家計のやりくりに影を落としている。都内で勤務する40代の男性は「これからリストラの波が来るかもしれず、先行き不透明なので、無駄な出費は極力避けている。ゴルフは完全にやめた」と話す。年金問題や後期高齢者制度をめぐる混乱は、潜在的な雇用不安とあいまって、消費者心理を冷え込ませ、財布のひもをさらにきつく締めさせる作用をもたらしている。  

 <総合経済対策、効果は未知数>   続く...

 
 
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