白川日銀総裁記者会見の一問一答

2008年 09月 17日 19:54 JST
 

 [東京 17日 ロイター] 白川方明日銀総裁は17日、金融政策決定会合後に記者会見を行った。詳細は以下の通り。 

 ──景気認識は停滞を維持し、また利下げしないとの決定となったが、理由を教えてほしい。 

 「(前略)金融調節方針の決定の背景については、まず第1の柱のポイントだが、わが国の景気は停滞していると判断した。輸出は増勢鈍化傾向がはっきりしてきた。設備投資は、企業収益が減少するもとで、足元幾分減少している。雇用者所得の伸び悩みや物価上昇を背景に個人消費は弱めの動きとなっている。住宅投資は横ばい圏内で推移している。こうした内外需要のもと、生産は弱めに推移している。先行きをみると、当面、景気は停滞を続ける可能性が高いとみられる。しかし日本経済は、設備、雇用面での過剰を抱えているわけではないので、国際商品市況が落ち着き、海外経済も減速局面を脱するにつれて次第に緩やかな成長経路に復していくと予想される。物価面では、除く生鮮食品ベースでの消費者物価の前年比は、エネルギーや食料品の価格上昇などから足元2.4%と、消費税率引き上げで物価が上昇した1997年度を除くと、92年6月以来の高い伸びとなった。先行きは当面、現状程度の伸び率で推移した後、徐々に低下していくと予想される。わが国経済はここしばらくは、景気停滞、高めの物価上昇という状況が続くが、先行きは物価安定のもとでの、持続的な成長経路に復していくという姿が想定される」 

 「次に第2の柱、リスク要因をみてみると、引き続き上下双方のリスクがあると判断した。米国金融機関をめぐる情勢を背景に世界的に株価が下落しているほか、欧米の短期金融市場の緊張感が高まっているなど、国際金融市場は不安定さが増しており、世界経済は下振れリスクがある。また、これまでの交易条件の悪化が、国内民間需要をさらに下押しするリスクもある。このように、設備・雇用面の調整圧力がないとはいえ、景気の面で下振れリスクに注意する必要がある。一方、物価面では世界的にインフレ圧力が高い状態が続いている中で、わが国の物価もエネルギー・原材料価格の動向、消費者のインフレ予想や、企業の価格設定行動の変化など、上振れリスクに注意が必要だ。この間、景気の下振れリスクが薄れれば、緩和的な金融環境の長期化が、経済・物価の振幅をもたらすリスクが高まっている。金融政策運営の考え方については、経済・物価の見通しと、そのがい然性、上下両方向のリスクを丹念に分析しながら、機動的に金融政策を行っていく。この間、日本の金融市場は安定的に推移してきたが、日銀としては、最近の米国金融機関をめぐる情勢と、その影響を踏まえ、引き続き円滑な資金決済と金融市場の安定確保に努めていく方針だ」 

 「なぜ利下げしないかとの質問だが、金融政策の運営にあたっては、その効果の波及にタイムラグがあることを念頭に置いたうえで、経済の置かれた状況や、それらをもたらす要因の性格に照らして、どのような政策が有効か、望ましいかを判断する必要があると考えている。先進各国ではサブプライムローン問題に端を発する、国際金融市場の不安定さが増すなかで、景気の停滞と物価の上昇という難しい状況に直面している。こうした中で、各国中央銀行はどのような政策を選択していくかという共通の難しい課題に直面しながら、政策運営を行っている。日本経済について言うと、景気は当面、停滞が続くものの、その後は、緩やかな成長経路に復していくと予想される。物価面では、消費者物価の前年比は当面、現状程度の伸びで推移した後、徐々に低下していくというのが、相対的にがい然性の高い見通しだ。先行きの不確実性は高く、景気には下振れリスクがあり、物価には上振れリスクがあり、それら双方に注意が必要なことは申し上げたとおりだ。こうした中で、中長期的にみて、物価安定のもとでの持続的な成長を確保していくという観点から、現在の調節方針を維持するすることが適当と判断した」 

 ──米国ではリーマン・ブラザーズLEH.Pの破たん、ニューヨーク連銀によるAIG(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)への支援と極めて大きなイベントがたて続けに起きたが、米当局の対応をどうみるか。クレジットクランチが今後改善するのか深刻になるのか。見通しは。 

 「非常に大きな問題なので、どこから答えたら良いか少し迷うが、最初に現在の米国の金融システムが置かれた状況を説明し、その上で当局の対応についての考えを申し上げる。振り返ってみると、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題が表面化してから1年強が経過した。この間、金融システムの安定確保のための対応が進んだ面もあるが、依然として問題解決に向けて険しい道のりが続いていると判断する。やや具体的に言うと、住宅価格の下落が続いているため、関連する証券化商品の損失は、なお拡大している。また、米国経済のデータを反映して、商業不動産ローンや消費者ローンについても延滞率が上昇しており、全体として金融機関の損失処理は、なかなかめどがたたない状態が続いている。このため、今週初の短期金融市場もそうだが、例えばターム物金利と短期国債金利のスプレッド、あるいは信用リスクの価格であるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアムなどからみても、金融機関に対する市場の評価は厳しさを増していると思う」 

 「一方で、金融システム問題への対応の枠組みも整備されてきていると判断している。まず、連邦準備理事会(FRB)による流動性供給の枠組みが大幅に強化された。また、先般の政府系住宅金融機関(GSE)2社に対する公的管理や公的資金の注入などの措置、さらにはAIGに対する公的な管理が導入・決定されたことは、金融システムに対する信認を確保する上で重要な決定だったと思っている」   続く...

 
 

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