日銀は市場の行き過ぎ警戒、「協調利下げ」に引き続き距離

2008年 10月 7日 20:02 JST
 

 志田 義寧記者

 [東京 7日 ロイター] 米国発の金融危機に対して打つ手が限られる中で、日銀は市場の行き過ぎに警戒を強めており、現時点で利下げをするような局面ではないと判断している。市場には日米欧が協調利下げに踏み切るのではないかとの観測もあり、認識にギャップが生じつつある。

 日銀も経済の下振れリスクが強まっていることから、利下げの選択肢を排除しているわけではないが、「協調利下げ」からは引き続き距離を置いている。流動性の問題に対し利下げで対応しても、あまり効果がないとの見方も背景にある。金融政策はあくまで自国の経済・物価の先行きをみて判断するものとの考え方から、国内金融システムの安定性が脅かされたり、景気が底割れしたりするリスクが顕現化しないかどうかが、利下げの判断基準となりそうだ。

 <米経済は金融・実体経済の負の連鎖深刻化>

 米証券大手リーマン・ブラザーズ(LEHMQ.PK: 株価, 企業情報, レポート)の経営破たん以降、国際金融資本市場で起こっている出来事は日銀の予想をはるかに上回る展開となった。米国では信用収縮が実体経済にも波及。9月米雇用統計では、非農業部門雇用者数が5年半ぶりの大幅減となり、米経済が深刻な状況にあることをあらためて裏付けたほか、コマーシャル・ペーパー(CP)市場も機能不全に陥り、経済の血液にあたる資金循環も完全に凍りついた。

 米連邦準備理事会(FRB)が2日発表した週間統計によると、1日時点の米CP総発行残高は、949億ドル減の1兆6070億ドルとなり、3週連続で減少。この3週間の減少額は2080億ドルにも達した。資金調達が難しくなった企業は設備投資を抑制。これに減税効果のはく落や株安の逆資産効果による消費の冷え込みも加わり、日銀が懸念していた「金融市場、資産価格、実体経済の負の相乗作用」は深刻化する様相だ。

 <日本も景気回復は後ずれ>

 これに対し、日本経済は企業が雇用、設備、負債の「3つの過剰」を抱えていないことから、深い景気後退には陥らないとの見方が一般的だったが、9月の全国企業短期経済観測調査(短観)結果を見る限り、そうも言えなくなってきた。在庫の積み上がりに加え、設備にわずかながら過剰感が出てきたことや人手不足感が和らいでいることも確認された。典型的な景気後退期にみられる需給悪化も見え始めた。  続く...

 
 
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