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個人投資家の口座開設が急増、株価大幅下落の中で=マネックス社長
2008年10月16日 / 10:55 / 9年前

個人投資家の口座開設が急増、株価大幅下落の中で=マネックス社長

 [東京 16日 ロイター] マネックスグループ(8698.T)の松本大社長は16日、ロイターとのインタビューに応じ、日経平均が8400円台まで急落するなど国内株式が大幅に下落している中で、個人投資家からの証券口座の開設の申し込みが通常の5倍程度に急増しているという現象が起きていることを明らかにした。株価下落で損失を抱えている既存の個人株主とは対照的に、安値とみた新規購入者が増大しているとみられる。

 インタビューでは、金融不安の影響で景気後退が確実視されている米経済の行方にも言及し、景気回復までに今後2-3年はかかるとの見通しを示した。

 また、2つの米大手投資銀行が銀行の管理下に入ったことの影響について、レバレッジの比率を下げることになるため、積極的にレバレッジをかけなかった1980年代─90年代半ばの投資銀行の姿に戻ると述べたが、いずれは収益性を追求するビジネスモデルが復活する可能性があると語った。

 インタビューの主な内容は以下のとおり。

 ──株式相場の急落で追証を抱える個人投資家がいる一方、買いに動く投資家も出てきたと聞く。

 「(マネックス証券では)口座開設の申し込みがものすごい勢いで増えている。10月10日から14日は口座開設の申込みの請求が通常の5倍くらいに増えた。相場がこれだけ下がったので、新しく投資を始めようとする人が関心を示すのだと思う。テレビで株価や経済に関する報道が目に見えて増えると、アテンションが上がる。(投資に)興味を持つ人が増えるのだと思う」

 ──欧米の各国政府が金融機関の破たん回避のため公的資金を注入すると表明したのに相場の変動が激しい。いまのマーケットをどう見るか。

 「投資銀行が銀行持ち株会社化し、レバレッジを下げて行くようになる中で、当然、彼らが提供できるサービスもレバレッジを下げて行くことになる。ヘッジファンドもレバレッジを下げて行くようになる。15日のニューヨーク株式相場はその典型と言えるだろうが、こうして金融機関がレバレッジを下げなければならない中で、アンワインド(巻き戻し)が起きているということだろう。世界中でデレバレッジの流れにあるのだと思う」

 ──世界経済を支えている米経済はどうなると思うか。

 「2─3年すれば回復すると思う。デレバレッジ、デフレ圧力から景気後退が起き、ある程度トンネル抜けるまでに2─3年かかるイメージを持っている。米国の国力や人口増加などの潜在的な基盤を考えると(回復に要する期間は)最大で3年程度だろう」

 「日本の場合、経済が回復するのに10年はかかった。しかし、10年デフレが続いても世界経済に強烈なストレスを与えることはなかった。一方で、米国のデフレ、物価下落は大恐慌以来のことになる。米国のGDPの3分の2は個人消費で構成されるということを考えると、世界経済にも一定の影響を与えることになると思う」

 ──GDPへの寄与度が日本より高い米国の金融業も、投資銀行を中心にモデルが変わろうとしている。 

 「リーマンが経営破たんした9月15日と、ゴールドマン・サックス(GS.N)とモルガン・スタンレー(MS.N)が銀行持ち株会社に移行した9月21日は、歴史に残る日となった。ここ10年で米国の投資銀行はヘッジファンド化し、大きく変わってきたが、今回そのヘッジファンド的なところが否定された。今後は銀行化し、レバレッジ比率を下げることになる。つまり1980年代─90年代半ばくらいの、元の投資銀行に戻っていくことになるだろう」

 「ただ、自己資金投資ビジネスを巨額に手掛ける期間も、当面のことだと思う。人は常に欲望を持っている。また、同じようなことを繰り返すと思う。投資銀行の経験者は、かつてLTCM(ロング・ターム・キャピタル・マネジメント)のようなヘッジファンドを立ち上げ利益を得たが、ロシア危機で崩壊した。こうした事象が発生するたびに(当局は)規制を導入した。今回も優秀な人がリスク管理しているから平気だろうとレバレッジを効かせ、巨大なポジションを形成したが最終的に崩れた。常にこのような繰り返しだ」

 ──政府管理下に入った金融機関などが上場を維持し、市場の規制は強化され、流動性や自由を重視する市場規制ばかりではなくなった。これまでのような金融資本市場の論理は通用しなくなるのか。

 「日本が、りそなホールディングス(8308.T)を一時国有化した時と同じ議論だと思う。会社は株主のものであり、公的機関は関与すべきではないが、銀行は社会的なインフラの一部でそうは言っていられない。会社は誰のものか、株主のものなどという考えや資本市場の根っこは、崩れることはないと思う」

 ──野村ホールディングス(8604.T)は米リーマン・ブラザーズLEHMQ.PKの一部事業を買い、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T)はモルガン・スタンレーに出資した。海外の人材をマネージし国際化できると思うか。

 「野村はできるかもしれない。野村は明らかに人とシステムを買いに行った。三菱UFJはおカネを入れ、ブランドやネットワークに関心を示したようだ。危機に直面した米国の金融機関を買いに行くという意味では同じだが、野村と三菱UFJではやっていることは全く違うと思う。野村には、異なる人材をマネージし共存しようという覚悟があるようだ」

 「海外の人材をマネージ出来るか否かは、大した問題ではないと思う。米国人は決してスーパーマンではないし、日本人も金融に対する理解が(米国人と)天と地ほど違うかと言われればそうではない」

 ──米政府がリーマンを救済しなかったのは失敗だったか。

 「結局、ルールがクリアでなかったことが問題だった。ベアースターンズはつぶさずにリーマンつぶした。ワシントン・ミューチュアルWAMUQ.PKはつぶしてワコビア(WAC.N)は再編させた。例えばベアーとリーマンの債券を両方持っていた投資家にとっては、ベアは返ってくるがリーマンはゼロ。ポールソン財務長官の頭の中にはクリアなルールがあったかもしれないが、債券の運用担当者には分からない。分からなければ全部売るしかなく、スプレッドの拡大、コストの拡大につながった。そういう意味で間違いだったと思う。みんなには分からず、結果としてコストが急増した。あれは彼の失策だったと思う」

(ロイターニュース 江本恵美 記者、 藤田淳子 記者)

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