Reuters logo
中村日銀審議委員会見の一問一答
2008年11月13日 / 08:51 / 9年前

中村日銀審議委員会見の一問一答

 [松山 13日 ロイター] 日銀の中村清次審議委員は13日、愛媛県金融経済懇談会後に記者会見を行った。詳細は以下の通り。

 ──金融機関の現状について。

 「国内景気の停滞により信用コストの増加や証券化商品など有価証券投資への損失から、業績見通しを下方修正する金融機関がみられており、金融機関の経営を取り巻く環境は厳しさを増している。さらに10月に入ったのちは、国際金融資本市場の緊張感の高まりのもと、株式市場も極めて不安定な動きを示しており、金融機関の財務面への影響は決して小さくないレベルに達している。もっとも、わが国金融機関全体としてみると、かつてに比べ不良債権残高は大きく減少しており、自己資本の水準が相応に高いのも事実。いずれにせよ、わが国金融機関の収益動向については、引き続き注意してみていきたい」

 ──今後、金融市場や実体経済にさらなる下押し圧力がかかった場合の金融政策の選択肢についてはどう考えるのか。政策金利を下げるのか、政策金利を下げないで量的緩和効果を目指すような政策を打つのか。あるいはオペの手段をもう少し多様化するのか。

 「これ以上の金融緩和はあるのか、あるとしたらどういう手段があるのかということだが、一般論を述べると、景気が大幅に落ち込んだ場合の中央銀行としての対応については常に検討しなければならないわけで、具体的にどういう措置を講ずるかはその時々の経済・物価情勢や金融市場動向を踏まえて総合的に判断していくことになる。しかし、極めて金利水準が低いもとでは、短期金融市場の円滑な機能の確保の観点からさまざまな問題が生じる可能性が高い。先行きの金融政策にあたっては、これらの点も踏まえて適切に判断していかなければならない」

 「金融緩和の水準ではなくて、緩和のことについて言えば、今回も水準と同時にできるだけ緩和的な政策を行っていくということで一連の当座預金に対する付利もやったわけなので、引き続き水準と同時に緩和的な基調というか、必要な資金を潤沢に供給していくことは続けていきたい」

 ──超過準備への付利のデメリットについてどう思うか。

 「どういうことをデメリットというのか、たぶん市場機能を損なうのではないかということか。それは基本的にはコール市場をむしろ活性化していくということなので、その機能を損なうことは考えていない。今の0.1%よりもコール市場は高い水準だと思うし、付利をやることにおいても決して市場の機能を損なうことがないように配慮していかなければいけない。今の(0.1%という)水準であればそういうことはないと思うし、今回の導入にあたってもその点についてはかなり配慮した」

  ──きょう日経平均が一時8100円台まで下落し、円高も進んでいる。市場は不安定な度合いを強めてきているとの見方ができると思うが、足元の経済・金融情勢をみて政策金利0.3%という水準についてどう思うか。また、追加的な利下げは必要か。

 「10月31日に利下げを決定したわけだが、金融政策は実体経済に波及して実効が上がっていくのは相当長い時間がかかる。その時の認識と今が大きく変わっているかと言えば、それはあの時も金融・為替市場とか、株式市場も確か10月24日か、バブル(崩壊後最安値をつけた)の2003年4月28日のレベルを割ったりとか、そういうことがあったと思うが、状況についてはそれほど変わらない。別に株価対策をやっているわけではないし、直ちにアクションを取らなければいけない状態とは思わない。先般行った金融政策の変更もやはり実効性の浸透を見守っていくということをやりたいと思っている。ただ、今回の金融の問題はいろいろな問題が起こっているわけだし、14、15日とG20が行われる。これはやはり日本だけの問題ではなくて、世界の金融危機ということで、いろいろなファクター絡んでいると思うので、成り行きを少し注視していきたい」

 ──10月31日の決定会合で0.2%引き下げたが、中村委員はそれに反対した。のちに0.25%の引き下げを主張していた審議委員がいたことだったが、世間では中村委員も0.25%の引き下げを主張していたとのもっぱらの評判だ。0.2%の利下げは何が不満だったのか。

 「金融政策決定会合の議論の詳細については、次回の金融政策決定会合後に発表される議事要旨をみていただくということしかないし、その内容について私から話をする立場にはない」

 「ただ、白川総裁が会合後の記者会見で話した通り、先行きの経済情勢が厳しいということについては全員が同じ見方をしていた。そのうち、利下げを行うべきかどうかについては、7人が利下げを主張し、1人が据え置きを主張した。利下げを主張した7人は政策金利を引き下げた方がいいという点で同じで、市場機能の維持に十分配慮する必要があるという点についても意見は完全に一致していた。その上で、どのような組み合わせがいいか、つまり政策金利引き下げ後の政策金利水準から市場における事実上の上限、下限金利とのスプレッドをどのように設定するかということについての意見が分かれたということ。票決だけをみると、4対4の賛否同数で議長が決したということで意見が大きく分かれているという感じを持れたかもしれないが、基本的な考え方などについては大きな差はなかった」

 ──午前の講演の中で10月6、7日の決定会合以降に経済・物価情勢に大きな変化があったので31日に利下げに踏み切ったという趣旨の説明があったが、米欧など6中銀が協調利下げに踏み切った時点でここで指摘していたような金融危機に端を発する世界経済の調整が一層厳しさを増したとか、インフレリスクが低下したというのは、米欧中銀も言っていた。その時点ではなぜ、日銀は同様の判断には至らずに、半月遅れになってしまったのか。

 「これは白川総裁も言っているが、協調して金融政策をやっていくことは必要だが、それは同時期に下げるということではない。それぞれの国の経済・物価情勢に対応してもっとも最適な金融政策をとるということであり、今回の利下げについても協調利下げという観点からのアクションではないということは理解いただきたい」

 「10月31日に金融政策を変えたが、(講演では)この間にこういうことがあったということで、この理由から利下げしたとは申し上げてない。事実関係を申し上げた。ただ、この間、例えば日本経済においても、具体的に出てきた統計資料としては輸出の鈍化というか、これまで日本経済をけん引してた輸出が頭打ち傾向になったというのは新しい数字として出てきた。生産も3四半期連続でマイナスというのが出てきた。また、金融市場がこの間、為替とか株とか大きく乱高下したのも事実かと思う。(だからといって)これを理由に利下げしたということで(これらの事実を)記載しているわけではない。この間にこうしたことがありましたということ。理由うんぬんというのは議事要旨をみてもらうしかない」

 (ロイターニュース 志田義寧)

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below