改正金融機能強化法、低まる公的資金注入のバー

2008年 12月 17日 19:48 JST
 

 村井 令二記者

 [東京 17日 ロイター] 金融機関に公的資金を予防的に注入する改正金融機能強化法が17日に施行され、金融庁は国内の金融機関の破たんを未然に防ぐ手段を手に入れた。「中小企業金融の円滑化」を目的とする新しい公的資金制度の資本注入要件はあいまいで、自己資本不足の懸念がある金融機関への早期注入も可能。

 金融庁は、巨額の公的資金枠とともに与えられた「裁量」で、2009年3月末にかけて金融機関の自己資本を手厚くしたい考えだ。ただ、金融機関の救済に公的資金を投入すれば行政の規律を損なうおそれもあり、監督行政は難しいかじ取りを迫られている。

 「危機ではないが平時でもない。あえて言えば非常時だ」――。金融庁幹部は、国内の金融システムの現状をこうたとえる。世界的な金融危機が、日本の株価下落と実体経済を通じて金融機関の経営に影響を与え、国内の金融機関経営については「何が起きるか分からない状況で、先行きを見通せば、十分に資本があると言い切れるところは少ない」として資本充実の必要性を強く意識している。「10年前と違って世の中は公的資金に寛容」(同幹部)との考えもあり、改正強化法を使って、金融機関の資本不足懸念を解消したい考えだ。

 旧金融機能強化法は、公的資金を注入する金融機関の経営責任を問うルールが明確で、厳しさゆえに制度の利用は2件にとどまったが、改正法は注入要件を大胆に緩和した。早期是正措置の対象となる自己資本比率4%割れの銀行(国内基準行)への注入には「ずさんな経営」の場合に限って経営責任を問うが、4%を超えた銀行にとっては、圧倒的に公的資金を入れやすくなった。

 <制度の理解に揺れる金融庁>

 ただ、金融庁の多くの幹部は「健全な金融機関に中小企業融資を積極的にやってもらうための制度だ。不健全な金融機関に健全性を回復しろと注入する趣旨とは違う」と繰り返し強調する。もっとも「健全性の基準を下回っているところにも注入できるし、結果的にそうした趣旨になるケースも否定しない」と認めている。さらに「健全性の基準を上回っていれば、ずさんな経営でも責任は問われない。これを理解して、本当に自己資本が不足する前に入れてもらいたい」とストレートに指摘する声もある。

 別の幹部は「外的な要因で弱っている金融機関が倒れたりすると、預金者や借り手の被害が今よりさらに大きくなって、マーケット全体が、がたがたになる」との懸念を示す。金融庁は、預金の全額保護の必要性を否定しているが、非常時の金融システムで、当面は金融機関の破たんを回避させたい意図ものぞかせている。  続く...

 
 
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