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総合電機の当期赤字、09年度も続く公算
2009年4月27日 / 04:54 / 8年前

総合電機の当期赤字、09年度も続く公算

 [東京 27日 ロイター] 日立製作所(6501.T)や東芝(6502.T)など総合電機5社の2010年3月期は当期赤字が続く公算だ。

 4月27日、総合電機の当期赤字は2009年度も続く公算。写真は都内の家電店。1月29日撮影(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

 世界経済危機に直撃された半導体や自動車関連ビジネスで回復のめどが立っていない上に、コンピューターシステムなど比較的堅調だった事業にも不況の影響が波及する可能性が高い。東芝など一部の企業では財務体質の悪化も深刻で、公的資金を活用した一般企業への資本注入制度の利用を希望する声も業界から上がっている。政府は、公的資金を電機業界再編の起爆剤としたい意向で、これまで限定的だった同業界での再編が加速するかかどうかも焦点となる。

 <V字型回復は望み薄>

 トムソン・ロイター・エスティメーツによる主要アナリストの予測平均値では、2010年3月期の当期損益は5社が赤字の見込み。08年度の当期赤字は日立と東芝が過去最悪でNECが過去2番目に悪い水準だったが、09年度のアナリスト予想では赤字幅は大幅に縮小する一方、売上高は減収基調が続くとの見方だ。アナリスト側は、前年度後半に本格化した世界の金融・経済危機が09年度は年間で影響する可能性を考慮したとみられる。日立の川村隆会長兼社長は20日の就任会見で、2010年3月期(09年度)の最終損益について「09年度はいろいろな部門に手当しないといけないし、市場の状況からいってもかなり厳しい。回復基調になるのは2010年度から」との見通しを語った。

 総合電機5社の09年3月期の当期損益予想の合計額は、1兆3800億円の赤字。ITバブル崩壊に直撃された2002年3月期は5社合計で1兆5102億円に上ったが、03年3月期から04年3月期にかけて「V字型」の回復軌道を示した。09年度も同様の回復軌道に乗るかどうかについて、いちよし経済研究所・企業調査部の張谷幸一・主任研究員は「01年度以降にV字回復した要因は、デジタル家電が立ち上がっていたことと、自動車向けが堅調だったからだが、今回は両方とも苦しい」と、その可能性は低いと指摘する。

 <09年の半導体売上高は2割強のマイナス>

 前年度の業績悪化の大きな要因となった半導体事業は、09年度も引き続き厳しい環境が続く見通し。特に08年度に同事業の営業赤字が2800億円と最も深い傷を負った東芝の立て直しが注目される。同社の村岡富美雄専務は17日の会見で、半導体事業について「09年度は上期に赤字が残るが下期で黒字にし、年度で赤字が残る」と見通しを語った。主力製品であるNAND型フラッシュメモリーの動向が焦点だが、市況が一時に比べ上昇しているのは好材料といえる。

 東芝は今年1月から同メモリーを3割減産しており、4─6月も継続する計画。こうした減産が市況回復の一因となっている。ただ、高額な最先端装置で生産するNANDフラッシュは、本来はフル稼働かそれに近い状態でないと採算確保が難しい。需要拡大に伴うフル稼働という本格回復に移行できるかどうかが、黒字化のかぎを握る。

システムLSIなどロジック(頭脳)系半導体分野も明るい材料が見あたらない。JPモルガン証券・アナリストの和泉美治氏は「(2009年の)半導体市場は世界で前年比20%ダウンする」との見方を示した上で、その影響について、NECエレクトロニクス(6723.T)を例にこう説明する。「NECエレは09年度に600億円のコスト削減を計画しているが、売上高が2割減だと同社では1000億円のマイナス。その場合、(売上高から変動費を引いた)限界利益は600億円くらい減るので、コスト削減と同程度の悪化要因になる」と試算する。

 和泉氏は、09年3月期で2060億円の最終赤字を見込む半導体大手・ルネサステクノロジに出資する日立(55%)と三菱電機(45%)、100%出資半導体子会社を抱える富士通(6702.T)の各社にとっても、半導体事業が収益上のリスクとの見方を示す。

 富士通、日立、NEC(6701.T)が手掛ける企業や官公庁向けのコンピューターシステム、ITサービスは「景気悪化の影響が遅れて出る傾向がある」(張谷氏)ため、富士通などの09年度の業績動向にじわりと影響しそう。また、三菱電機の主力事業のファクトリー・オートメーションも、半導体や液晶パネルの製造用などで回復は期待できない状況だ。

<東芝は資本増強も課題に>

 東芝と日立は、急激に悪化した財務の改善が経営課題になっている。特に東芝の場合、09年3月期末に自己資本比率は8.2%(同17.2%)と初めて10%を割り込み「自己資本の毀損(きそん)は十分に認識している」(村岡専務)という状況。6月にも5000億円規模の資本増強を実施するとの見方が広がっており、5月8日の決算発表と併せて、具体的な発表が行われるかどうかが焦点になっている。

 日立は08年3月期に20.6%あった自己資本比率は08年12月期で17.4%に低下し、09年3月期には14%弱の水準に落ち込む見通し。川村社長は「昔に比べ財務状況は随分と悪くなっている」と語り、資本増強について「新たな事業を短期に成長させる場合や、新しい構造改革を進めるために増資が必要なケースも出てくる」と述べている。

 <公的資金で再編進展するか>

 一方、公的資金を使って一般企業に資本注入する新制度を盛り込んだ改正産業活力再生法が、国会で成立した。同制度は、当初から電機業界を想定しており、業界の09年度業績予想が出そろう決算発表のタイミングと合わせたかのように、今月30日にも同改正法は施行される。

 すでにエルピーダメモリ6665.Tが資本注入を申請する意向を示しているほか、経営状況が深刻なパイオニア(6773.T)も同様の方針。日立も公的資金の利用について「コモディティー(量産品)などの分野で検討対象に入っている」(20日の会見で川村社長)と明らかにしたほか、東芝も「今は考えていないが、(選択肢として)排除しない」(17日の会見で村岡専務)と可能性に言及した。日立の場合、ルネサスを通じての申請を想定しているとみられる。

 そのルネサスはNECエレと経営統合する。経済産業省幹部は公的資金を注入するかどうかの審査で「供給構造の変革が行われているかどうかがポイント」と、業界再編の必要性を示唆しており、ルネサスとNECエレの統合も政府の意向を汲んだ上での動きとの見方も可能だ。今後は、システムLSIの分社化の検討を進めている東芝、かねて半導体業界の合従連衡に前向きな姿勢を示している富士通が業界再編に踏み切るかどうかが焦点となる。半導体以外では、携帯電話など過当競争体質で国際競争力がない事業分野で、公的資金活用をにらんだ業界再編が進むかどうかも注目される。

 (ロイター日本語ニュース、浜田 健太郎;編集 田巻 一彦)

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