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情報BOX:軍事緊張あおる北朝鮮、高まる核拡散リスク
2009年5月28日 / 06:26 / 8年前

情報BOX:軍事緊張あおる北朝鮮、高まる核拡散リスク

 [シンガポール 27日 ロイター] 北朝鮮は25日に核実験を実施したと発表、27日には兵器レベルのプルトニウム抽出のため、寧辺(ニョンビョン)の核施設を再稼働させたとの情報も伝わった。世界の安全保障にとって深刻な脅威となり得る核拡散への懸念が広がっている。

 5月27日、北朝鮮の核実験により核拡散への懸念がさらに広がっている。写真は38度線非武装地帯にあるパジュで、北側を監視する韓国軍兵士(2009年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 ◎核拡散で北朝鮮が果たす役割は

 武器輸出は北朝鮮にとって貴重な外貨獲得手段であり、西側諸国と敵対する「ならず者国家」とのつながりを深める手段にもなっている。こうしたことから、北朝鮮は、核兵器の製造技術や材料、知識をより高い値段で他国に売ることを強く望んでいる。2回目の核実験実施で、北朝鮮の核に対する潜在的買い手の関心は、さらに大きくなるとみられる。

 米国のシンクタンク、外交政策分析研究所による今年の調査では、北朝鮮のミサイル輸出額は年間15億ドル前後に上ると推測されている。北朝鮮のミサイル技術はすでに、パキスタンやリビア、イラン、シリア、エジプトに輸出されている。

 ◎北朝鮮から核の支援を求めそうな国はどこか

 西側当局が最も警戒するのは、核保有能力に意欲を示すイランとシリア。米政府は北朝鮮がすでに、ミサイルとミサイル技術をイランに、核関連技術をシリアに輸出したと指摘している。

 イスラエルは2007年にシリアで複数の施設に空爆を行ったが、米政府は後に、この施設が北朝鮮の支援を受けた原子炉だったとの疑いを示している。シリアはこの見方を否定しているが、国連の査察団は同施設からウランの痕跡を発見。シリア側は本格的な調査を拒んでいる。

 専門家らによると、シリアは核兵器の製造を目的にプルトニウム生産炉を建設していた可能性が高いという。

 イランは自国の核開発プログラムを民生目的と主張するが、国際社会からは批判を受けている。イランは一部のミサイルに北朝鮮の技術を使用したことがあり、専門家は核兵器の開発でも北朝鮮がイランを支援する可能性を懸念している。

 また、イランとシリアの核への野望が、中東での軍拡競争につながる可能性も指摘される。イスラエルは核兵器を保有するが、専門家はイランとシリアからの脅威に対抗するため、サウジアラビアやエジプト、湾岸諸国も核保有を模索する可能性があるとしている。

 ◎アジアでの軍拡競争は

 北朝鮮の2回目の核実験は、日本や韓国で、米国の核の傘に収まるよりむしろ、独自の核抑止力を持つべきとの議論を呼び起こす可能性がある。しかし専門家らは、日韓が実際に核開発を行い、米国の不興を買うリスクを犯す可能性は極めて低いとみている。ただ、通常ミサイルの増強は行われるかもしれない。

 もう1つのリスクは、既存の核保有国が北朝鮮による実験実施を理由に、自国でも核実験を行う可能性。最も懸念されるのは、パキスタンが核実験を行った場合、インドとの緊張がさらに高まり、南アジア情勢が一段と不穏になることだろう。

 ◎核のノウハウが武装勢力の手にわたる可能性は

 米国は北朝鮮がすでに、通常兵器に関する技術をスリランカの反政府武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ( LTTE)」や、レバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」に提供していたと考えている。アルカイダ系グループは核関連物質や核のノウハウを探し求めているとされるが、専門家の間では、北朝鮮がその提供元になる可能性が指摘されている。

 北朝鮮は、代価が支払われる限り、同国の核関連物質や技術が行き着く先にはこだわらないとみられる。むしろ、アルカイダが核技術を獲得することで西側諸国がかく乱する事態は歓迎するだろう。

 専門家の多くは、アルカイダや非国家組織が核弾頭を搭載したミサイルを手に入れ、発射する可能性は当面は低いとみている。しかし、核弾頭に比べはるかに製造が容易な「汚い爆弾」により、放射能汚染による深刻な混乱が引き起こされる恐れはある。

 ◎北朝鮮発の核拡散を防ぐ方策は

 北朝鮮非核化の試みから学んだ教訓の1つは、制裁と脅しはほとんど効果を生まず、北朝鮮の挑発的な態度を助長させただけという点。一方、多くの専門家は、北朝鮮の挑発行為と瀬戸際外交に断固とした対応が取られていないことから、核保有を目指すほかの国を勢いづかせる可能性があると指摘する。

 韓国は26日、米国が主導する大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への全面的な参加を表明。これに対し、北朝鮮はPSIに伴う船舶の臨検に対しては軍事攻撃で対応すると警告した。PSIによって核技術の輸出が難しくなるとしても、すべての海上・航空輸送を監視するのは不可能であり、専門家らは、核拡散を阻止するのは難しいとみている。

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