新エネつなぐスマートグリッド、需要制御にはプライバシーの問題も
伊賀 大記記者
[東京 22日 ロイター] 次世代送電網「スマートグリッド」が脚光を浴びている。オバマ米大統領が景気対策の柱のひとつとして打ち出したことで一気に注目が集まった。
天候次第という不安定な発電方法である太陽光や風力からの「質の悪い」電気を安定させるほか、電力需要をコントロールし省エネにつなげるという究極の送配電システムだ。ただ日本ではすでに世界最高レベルの「スマート化」が進んでいるほか、需要コントロールには個人のプライバシーに抵触するなど問題も多い。短期的には新興国などへの技術輸出がビジネスとして有望視されている。
<新エネルギー普及が電気を「質悪」に>
緯度40度より北にある土地は冬に偏西風が吹きやすく風力発電に適している。東北電力(9506.T: 株価, ニュース, レポート)はその地域特性を活かし風力発電を拡大させており、現在47万キロワットの風力発電を電力網に組み込んでいるが、蓄電池を付けて電力を平準化したとしても118万キロワットを超える規模になると現在の送配電システムでは問題が生じる可能性があるという。風の強さで発電量が変化する風力発電からの「逆流」で周波数が安定しなくなり「電気の質」が落ちるためで、製紙パルプ工場などでは紙の品質が不ぞろいになるおそれがある。
費用対効果に関し議論はあるが、CO2排出量削減のため太陽光発電や風力発電など「ECO」なエネルギーは政府の後押しもあり、今後も増加する見通しだ。麻生太郎首相は2020年の温室効果ガス削減の中期目標について2005年比で15%減の削減を目指すと先日表明した。2020年に太陽光発電を現行の20倍にすることを目指すという。
だが、このまま新エネルギーによる分散型電源が増加すれば、現状の送配電システムでは、いずれ問題が生じる可能性がある。
日本の太陽光発電は2008年3月末で約192万キロワット規模。世界最高レベルの送配電システムを持つ日本でも太陽光発電で1000万キロワットまでは対応できるが、それ以上導入が進むと不安定化のおそれがある。さらに電力の不安定化が進むと欧州でみられたように大規模停電の可能性も出てくると想定されている。 続く...













