武田の業績低迷に長期化懸念、M&A必要との見方も
[東京 29日 ロイター] 武田薬品工業(4502.T: 株価, ニュース, レポート)が米国で承認申請していた糖尿病治療薬に追加試験が課せられたことで、同社の業績先行きに不透明感が増している。
米国で売り上げの大部分を支えていた既存の大型薬の特許切れを間近に控えているが、現在開発段階にある新薬のパイプラインをみても、有力新薬の販売開始には時間を要することが予想されている。市場では、豊富な手元資金を活かし、M&Aや有望な新薬の導入などを進める必要があるとの指摘が出ている。
<特許切れの業績への悪影響が現実に>
今回、追加試験が必要となった糖尿病治療薬は「SYR―322」。武田は27日、審査終了目標日を26日に迎えた同薬について、米食品医薬品局(FDA)から「追加試験実施が必要」との通知を受け取ったと発表した。追加試験には2年間かかるうえ、その後の審査にはさらに半年程度が必要とみられる。このため、同薬の承認は「2011年度以降になる」と広報担当者は説明する。
「SYR―322」は、2011年1月に米国で特許が切れる糖尿病治療薬「アクトス」の落ち込みをカバーするとして期待されていた新薬。09年3月期の「アクトス」の米国での売上高は3017億円で、武田の米国全体での売上高の52%を占めている主力薬だ。その後継薬としての期待がかかっていた新薬だけに、販売開始が特許切れに間に合わない事態は、武田の収益低迷長期化への懸念につながる。外資系証券のアナリストは「開発中の医薬品の上市時期は不透明だが、特許満了時期は確実にくる」とし、先行きの不透明感が増していると指摘する。
FDAは今年3月、武田に対して08年12月公示・施行した「新糖尿病治療薬の心血管系リスク評価についてのガイダンス」の統計的要件を十分に満たしていないと通知。この時点で、何らかの追加試験が必要となることは予想されており「承認が遅れることはほぼ織り込み済み」(複数のアナリスト)だ。ただ、追加試験がまだ始まっていないことなどから、大和総研アナリストの宮内久美氏は29日付のリポートで、発売は従来予想よりもさらに1年遅れて2012年度になるとの見方を示した。アクトスの特許切れから「SYR―322」の販売開始までに発生するタイムラグが、糖尿病領域での競合品やジェネリック品との競合を引き起こし、同社業績にマイナス影響を与えることは確実。大和総研では「SYR―322」発売後の売上拡大ペースやピーク時売上高の従来予想を下方修正する方向で検討しているという。
アナリストもこうした状況を織り込むかたちで、11年3月期以降は営業減益が続く見通しを示している。トムソン・ロイター・エスティメーツによると、過去30日間に主要アナリストが出した営業利益の予測平均値は、10年3月期の4084億円(アナリスト13人/会社予想は3950億円)に対して、11年3月期が3758億円(同13人)、12年3月期が2845億円(同12人)となっている。09年3月期に買収したミレニアム社の研究開発費負担などの一時的費用がなくなるため、10年3月期は大幅増益となるものの、実質的には減益。その後も利益水準の低下が見込まれており、成長戦略が描けていない状況を浮き彫りにしている。
<手元資金での買収や研究開発強化が急務> 続く...












