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再送-〔アングル〕新生プリウスの「脱エコカー」に壁 新設計手法の狙いに狂いも
2015年11月18日 / 11:44 / 2年前

再送-〔アングル〕新生プリウスの「脱エコカー」に壁 新設計手法の狙いに狂いも

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[東京 18日 ロイター] - トヨタ自動車 は新しい設計手法を採用した最初の車として新型プリウスを来月発売する。ハイブリッド車(HV)の先駆けとして18年前登場したプリウスだが、かつての先進性は薄れており、同社は新型車をエコカーとしてではなく、走りや感性に訴える車として一新したと自負する。だが、新設計手法の狙い通り新たな魅力で客層を広げられるかは不透明だ。   新設計手法「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」では、複数の車種でプラットフォーム(車台)や部品を共通化し、設計から開発、生産、人員配置まで車づくりのプロセスすべてを刷新した。低重心化を図り、操縦安定性や乗り心地を向上させ、走る、曲がる、止まるといった車の基本性能を高めた。   TNGAによる新型プリウスは別の車種と共有する部品を採用したため、現行プリウスとの共通部品がほとんどなく、現行車に比べて原価は高い。仮に現行車と同じ台数を売っても「もとは取れない」(トヨタ幹部)ため、新型車の販売台数を現行車より増やすか、新たなTNGA車を継続投入して量を確保して利益を追求しなければならない。   同社幹部によれば、新型プリウスの生産は来年は月4万台、年50万台前後となる見込み。現行プリウス発売翌年の販売ピーク時と同じ規模だ。正式な価格は未発表で、オプション設定にもよるが、燃費や走行性能の改善、最新安全技術の搭載を反映し、全体では現行から10万―20万円ほどの上乗せになりそうだ。

<メジャーな車でなくてよい>

  「エコカーとしてではなく、TNGAで生まれ変わった車本来の価値で買ってもらいたい」。開発責任者の豊島浩二氏は新型プリウスの狙いをそう語る。車体のイメージカラーをこれまでのエコカー的な青色ではなく、「走りやエモーショナルさを感じられる」赤色に変えたのもそのためだ。

  デザイン開発の過程では、奇抜なファッションで知られる歌手のレディー・ガガ、多機能性を内に秘めながらもデザイン性を極めたアップル製品やオーディオ機器のバング&オルフセンなどを参考にしたという。カローラのような「メジャーな車」ではなく、特定の客層の心をつかむ車にしたいとの思いが透けて見える。   新型プリウスの燃費はガソリン1リットル当たり40キロと最高水準を実現したが、トヨタ幹部も自ら認めるように、従来のプリウスは燃費が良くても「走っていてつまらない」「躍動感がない」などと酷評されてきた。他社からも同様のHVが投入されている今、プリウスがデビュー当時に誇った先進的な存在感はモデルチェンジを重ねるごとに後退し、販売台数も頭打ちだ。

<ユーザーの期待>   ある国内販売店の話では、プリウス購入者の7割以上が残価設定クレジット(残クレ)を利用し、うち約3割が新車に買い替えており、今回も「その3割が買い替えてくれれば」と期待を寄せる。事前予約も堅調で、「あとはプリウス以外のトヨタ車や他メーカーからの乗り換えをどこまで促せるかが勝負」と話す。

  残クレとは新車価格の一部をあらかじめ残価(下取り価格)として設定し、たとえば3年のローンで新車と下取りの価格差を支払う方法で、顧客は3年後に所有車をそのまま購入するか売るか、新車に乗り換えるかの3択から選ぶ。プリウスの場合、3年前に設定した中古車価格は3年後高くなることが多く、新車に買い替える確度が高い。   ただ、ユーザーからは厳しい声も上がる。「いかにもデザインしましたという感じ。高齢者にはちょっと派手過ぎる」。千葉県在住の渡辺正明さん(67)は新型車の印象をこう語り、「プリウスは安全性と燃費を追求してくれれば十分」と話す。「初代プリウスを乗り続けて10年以上になるが、まだ乗れるので新型車は購入しない」という。   「前よりカッコいい。シャープで早く走れそう」。車好きを自認する東京都在住の渡辺弘一さん(35)は新型車に好印象を持つが、やはり購入はしないという。都心の生活に車は不要と2年前に現行の3代目プリウスを手放した。新型プリウスには関心があるものの、駐車場代など車を所有する金銭的な負担を上回る魅力があるとは考えていない。   独立系調査会社TIWの高田悟シニアアナリストは「トヨタの狙いは空振りする恐れがある。走りやデザインを求める客はもっと趣味の色が強い別の車を選ぶ」と予想する。「トヨタ車は長く乗っても壊れず、海外でも中古車価格は高い。燃費や安全性に惹かれる堅実な客や既存ユーザーは取り込めるため、販売が苦戦するとは思わないが、新たな顧客獲得は難しいのでは」とみている。

  新型プリウスは来年、海外でも発売され、プラグインハイブリッドタイプも投入するが、ガソリン安の逆境下ではHVも選好されにくく、どれだけ販売を伸ばせるかが課題だ。「安全と燃費」だけから「走りとデザイン」への脱皮で、どこまで顧客をいい意味で裏切るのか。トヨタの挑戦が吉と出るかどうかプリウスで初めて試される。 (白木真紀 編集:北松克朗)

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