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UPDATE2: シナリオ狂うリスク高まれば、早めの対応必要=日銀総裁
2008年2月22日 / 05:59 / 10年前

UPDATE2: シナリオ狂うリスク高まれば、早めの対応必要=日銀総裁

 [東京 22日 ロイター] 福井俊彦日銀総裁は22日、都内で講演し、金融政策運営について、経済シナリオを狂わせるリスクが高まれば、必要な政策を早めに打って、将来のダメージを小さくすることが必要だ、との認識を示した。

 また、国際協調に関しては、認識は共有するが政策はそれぞれの国の経済・物価情勢に応じて行うことが重要だと指摘した上で、米国と同じタイミングで同じ幅の金融政策をやることが世界経済にとって最適だとは思わない、と強調した。

 <金融政策は各国がそれぞれ判断>

 福井総裁は、金融政策運営について「経済のグローバル化が進展する中で、国内の経済・物価情勢の判断を行う上で、海外の経済や金融市場の動向の影響がますます重要になっている」と指摘。「金融政策は、金融市場や金融機関の行動を通じて効果を発揮するものなので、各国の金融政策がグローバルな金融市場を通じて、お互いに影響を与えるということも生じている」との認識を示した。

 ただ「金融政策の目的が自国の経済と物価の安定であるという基本は変わらない」とも述べ、「適切な金融政策によって、それぞれの国の経済・物価の安定を図ることが、全体としての世界経済の安定につながるというというのが、世界の中央銀行の共通認識だ」と原則論を繰り返した。

 一方、経済・物価の安定を達成するためには「物価指数や成長率を見ているだけでは不十分だ」として「長い目でみた経済や物価に影響を与える可能性がある要因──例えば、資産価格や金融市場、金融システムの状況など──にも目配りする必要がある」との認識も示した。

 福井総裁は「認識を十分すり合わせてシェアするが、実際の政策はそれぞれの国の経済・物価情勢の先行き見通し、金融資本市場の状況に最も適した対応をしていく。その政策の打たれた効果が、国内にどういう効果が出るかだけではなく、国境を越えて他国の経済あるいはグローバルな金融資本市場にどう影響するかも含め、政策判断していく」と重ねて説明。こうした認識から「いま米国はかなり思い切った金利引き下げをやっているが、あれとまったく同じタイミングで同じ幅の金融政策をやることが世界経済にとって最適だとは考えられない」と語った。

 <シナリオ狂うリスク高まれば早めに対応>

 信用収縮と金融政策との関係については「さまざまな金融環境の変化が企業・家計の行動にどういう変化をもたらし、マクロ経済として先行きの標準的な見通しをどれくらい狂わせるものになるのかを正確に読み取らなければならない」と指摘。「シナリオを狂わせるリスクが高まり、そのリスクが顕現化する度合いが感じられるようになった場合には、やはり必要な政策を早めに打って、将来のダメージを小さくしながら、極力標準的なシナリオを保全していく政策が取られていく」との考え方を説明した。

 <米経済は当面低成長見込まれる>

 福井総裁は、米国について「減速傾向が一段と強まっている」と指摘。「住宅投資が大幅に減少しており、住宅販売の減少と在庫の積み上がり傾向にはまだ歯止めがかかっていない。住宅価格の下落も続いており、なお底が見えない」との見方を示したほか、「雇用や生産関連に弱めの動きが見られるほか、金融面でも、銀行の与信態度が住宅向けだけでなく、商業用不動産や一般企業・消費者向けについてもタイト化している」と警戒感を示した。

 こうした状況を背景に、米国経済は「当面、低成長が見込まれる」としたが、その後に関しては「住宅市場の調整に底入れ感が出て、金融環境のタイト感が和らいでくれば、政策面の措置の効果とあいまって、潜在成長率近傍の成長パスに戻っていく」との見通しを示した。

 ただ「住宅市場の調整や金融資本市場の変動の影響が予想以上に大きい場合には、資産効果や信用収縮、企業や家計のマインド悪化などを通じて、景気がさらに下振れるリスクがある」とも付け加えた。

 世界経済についても同様に「全体として拡大しているが、国際金融資本市場の動揺が続く中で不確実性が増している」とした上で「国際金融市場の変動や米国経済の下振れの程度によっては、新興国など他の地域の経済も影響を受ける可能性がある」と慎重な見方を示した。

 一方、国際金融市場については「なお不安定な状態が続いている。これはリスク再評価の過程なので、調整には時間を要すると考えられるし、その過程で金融機関などの損失が生じることは避けられない」との見方を示した。

 <日本経済は成長メカニズム維持>

 福井総裁は、日本経済について「当面減速が続くものの、生産・所得・支出の好循環メカニズムが基本的に維持される中で、物価安定のもとで息の長い成長を続けるがい然性が高い」とあらためて説明。先行きが懸念されている生産については「在庫と出荷が概ねバランスのとれた状態にあることを考えれば、基調としては増加が続く」との見通しを示した。

 12月の全国消費者物価(除く生鮮食品)が前年比プラス0.8%と急上昇するなど、一部に個人消費への影響を危ぶむ声がある。福井総裁は「足もと、食料品やガソリンなど身近な商品が値上がりする中で消費者マインドの悪化がみられており、その影響については、注意深くみていく必要がある」と警戒感を示した。

 先行きの金融政策運営に関しては「基本的な考え方は、これまでと変わらない」とした上で「経済・物価の見通しのがい然性を見極めるとともに、上下両方向のリスクを丹念に点検しながら、適切な政策運営に努めていく」との考えを重ねて協調した。

 一方、福井総裁は財政再建問題にも言及し、再建のためには「何らかの所得分配の見直しを行っていく必要がある」とし、そのためには、経済の実質成長率を高めていくことが重要だと訴えた。

 (ロイター日本語ニュース 志田義寧記者)

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