COLUMN-〔インサイト〕中国にスタグフレーションの足音、高まる物価上昇圧力と景気減速の影=野村資本市場研 関氏

2008年 04月 9日 13:30 JST
 

  中国では、流動性の膨張を背景に、インフレが加速している。2008年2月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年比プラス8.7%と、1996年5月以来の高い水準となっている。天安門事件が起きた1989年のように、インフレの高騰は社会を不安定化させる要因になりかねないだけに、それを抑えることは当面のマクロ経済政策の最優先課題となる。

 <インフレめぐり並立する「楽観論」と「慎重論」>

 中国におけるインフレの今後の見通しをめぐって、楽観論と慎重論が交錯しているが、後者が主流になりつつある。楽観派は、次の理由から、インフレが一時的な現象であり、今後加速することはないだろうと見ている。 

 まず、インフレの主因は食料品の価格の上昇にあり、それを除けば、インフレ率は低水準にとどまっている。食料品の価格は、天候などに左右されやすいため、変動が激しいが、持続的に上昇する可能性は低い。実際、先進国においては、金融政策の運営に当たり、消費者物価全体よりも、食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率が重視されている。

 第2に、人民元切り上げのペースが加速しており、それによる輸入価格への抑制効果が期待される。中国では石油をはじめとする原材料の輸入依存度が高いが、ドルで見た国際商品市況の上昇は、人民元レートの上昇によって、ある程度相殺できる。

 第3に、景気循環の観点から、中国経済は過熱の状態から「ソフトランディング」に向かいつつある。中でも世界経済の成長が減速しつつある中で、海外における中国製品への需要、ひいては中国の輸出が鈍化している。  続く...

 
 

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