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再送:〔焦点〕サミット合意に新興国の壁、環境・経済とも具体策欠く
2008年7月9日 / 13:27 / 9年前

再送:〔焦点〕サミット合意に新興国の壁、環境・経済とも具体策欠く

 *この記事は9日午後10時24分に送信しました。

 [北海道洞爺湖 9日 ロイター] 主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の議長国として、日本には、2050年の温室効果ガス半減や世界経済の安定化に向けた国際協調のとりまとめが託された。しかし、実際の首脳討議は、中国、インドや産油国など発言力を増す新興国の動きを無視できず、温暖化対策のみならず、世界的なインフレ懸念の元凶である原油・食料の高騰という緊急課題についても具体策は示せなかった。サミットを足がかりに政権浮揚を狙った福田首相にとって、G8合意は支持率回復の決定打とはならず、厳しい政権運営が続くとの見方が多い。

 

 <福田首相は成果を強調、排出量削減目標の「世界共有」は持ち越し>

 

 「G8の中でも色々な立場を乗り越えながら共通の認識を示し、国連交渉の進展に弾みを付けることができた」。サミット終了後の記者会見で福田首相は、2050年までに温室効果ガスを50%削減するという長期目標を世界で共有していくことでG8が合意したことをあげ、議長国としての手腕を強調した。

 ブッシュ米大統領が地球温暖化対策について「大幅な進展があった」と評価したように、日欧と米国の利害対立の中で、「米国を含めたG8諸国が目標に合意」(福田首相)したことは前進といえる。宣言には日本が提案したセクター別アプローチの有益性も盛り込まれ、福田議長が一定のリーダーシップを発揮したことがうかがえる。

 

 しかし、米国が合意の前提としていた中国やインドなど新興市場国の同意は得られず、G8と新興国との溝の深さも鮮明になった。9日午前に開かれた主要排出国会合(MEM)の各国首脳協議では、長期目標共有への「支持」こそ取り付けたものの、「共有」までに至らなかった。

 フランス大統領の側近が、9日のG8と新興市場5カ国首脳との会合後に「中国とインドは差し当たり、2050年までに50%を削減する目標には従わない」と明らかにしたように「長期目標の世界全体での共有」は2009年12月のコペンハーゲンにおける国連の気候変動枠組み条約締約国会議に持ち越されることとなった。

   

 <原油・食料高の抑制に有効策打ち出せず、サミット拡大論も>

 

 新興国が台頭する中で、こうしたG8の枠組みの限界は、経済分野でも露呈した。世界的なインフレ懸念や貧困国を中心とした社会不安の原因にも指摘されている原油・食料価格の高騰という緊急課題でも有効策を打ち出すことができなかった。

 原油・食料高騰に「強い懸念」を表明したものの、中東の主要産油国などが不在の中、原油高抑制の具体策は需給両面におけるこれまでの取り組みを追認したに過ぎず、9日のG8と新興市場5カ国首脳との会合で新興国側から原油・食料高の一因との指摘が相次いだ投機資金に関しても、G8首脳会合で目立った指摘はなく、国際機関への分析要請などにとどまった。

 

 こうした中で、世界経済分野の議論では、首脳の1人が「もろもろの問題への対応・解決にあたっては、G8以外の他の諸国の協力が必要」と主張し、「21世紀の現実に適応したかたちでのサミットが必要だ」とサミット拡大論を展開した。新興国の台頭など世界の経済構造が大きく変化する一方、地球規模の課題への対応が迫られるなかで開催された北海道洞爺湖サミットは、その存在意義と新たな枠組みの構築の必要性を問う象徴になったともいえそうだ。

 <サミット成果はニュートラル、追い風にならずの声>

 一方、サミットを政権浮揚の足がかりに期待した福田首相にとって、今回の結果は支持率回復の決定打にならなかったようだ。市場からは目立った成果がなかった一方、特にマイナスもなく「ニュートラルな結果」(ドイツ証券・シニアエコノミストの安達誠司氏)との指摘が聞かれ、衆院解散・総選挙も「当面なさそう」(同)との見方に変わりはない。

 一定の成果を上げた地球温暖化問題に対しても、最も影響が大きい財界から日本経団連の御手洗冨士夫会長が「歓迎」する一方、経済同友会の桜井正光代表幹事は「世界経済の展望に関する不安を払しょくするような、具体的な対策が明示されなかったことは残念」と評価はまちまち。

 衆参の与野党勢力が逆転している「ねじれ国会」が続く中で、今後も福田政権は厳しい国会対応を迫られる。民主党の鳩山由紀夫幹事長は自身のメールマガジンで、今回のサミットにおいて温室効果ガス削減の中期目標を明示できなかったことを指摘し「福田首相が日本の中期目標を示すことができないまま、G8の議長役を引き受けざるを得なかったことに起因している。福田首相の指導力欠如が問われるのは当然」と批判。「福田首相が議長役としてリーダーシップを十分に発揮できなかった」との見解を示した。

 (ロイター日本語ニュース 伊藤 純夫記者;編集 北松 克朗)

(sumio.ito@thomsonreuters.com; 03‐6441‐1832; ロイターメッセージング:sumio.ito.reuters.com@reuters.net)

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