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〔焦点〕松下<6752.T>が10月に「パナソニック」へ、世界企業への脱皮に課題
2008年9月26日 / 07:55 / 9年前

〔焦点〕松下<6752.T>が10月に「パナソニック」へ、世界企業への脱皮に課題

 [東京 26日 ロイター] 松下電器産業(6752.T)が10月1日、「パナソニック」に社名変更する。大坪文雄社長の「世界的な優良企業を目指す」との号令のもと、「最も日本的な企業」といわれた松下が看板を書き換え、し烈なグローバル競争で勝ち残りを目指す。近年、薄型テレビなどの販売拡大で順調に業績を伸ばしてきた松下だが、世界市場での存在感はソニー(6758.T)や韓国サムスン電子(005930.KS)といったライバルに及ばない。米国発の金融危機が世界の家電販売にマイナスの影響を与える可能性も高く、世界企業への脱皮を目指す新生パナソニックの船出は波乱含みとなりそうだ。

 

 <ブランド力でライバルに遅れ>

 

 今月16日、都内のホテル。松下はパナソニック・ブランドとして国内で初めて投入する白物家電の新製品を披露した。国内では白物家電などに「ナショナル」ブランドを、テレビなど音響・映像機器にはパナソニックを使い分けてきたが、社名変更に伴いナショナルを廃止しパナソニックに統一する。壇上に現れた大坪社長は「松下、パナソニック、ナショナルに分散した価値を結集する」と述べた上で、「日本国内で『松下』や『ナショナル』と呼ばれるときに消費者がイメージすることを、『パナソニック』で世界中の国々でも理解されるように取り組む」と、社名変更に込めた思いを強調した。

 

 大坪社長の「パナソニックで世界中に理解されるように」との言葉は、松下が売上高などの事業規模で世界屈指の電機メーカーであるにもかかわらず、ブランド力が相対的に低いことの裏返しともとれる。米コンサルティング会社、インターブランドによると、パナソニックのブランド価値は2008年で78位。サムスン電子(21位)やソニー(25位)に水を空けられている。

 

 松下の牛丸俊三副社長は今月24日、ロイターとのインタビューで「私の感覚では、北半球でパナソニックが有名ではないかといえば、そんなことはない。有名だ」と評価に不満を示す。その一方で、同副社長は「世界レベルのニュースを発表する際、海外メディアが『松下が』と報じることは(ブランド向上の点では)もったいないことだった。社名変更で(デメリットが)解消される」と期待感を示す。

 

 <国内依存の是正が課題>

  

 中村邦夫・前社長(現会長)が「破壊と創造」を掲げて推進した経営改革を通じて、松下は2002年3月期に4277億円の連結当期赤字を計上した後に業績のV字回復を達成。大坪氏が06年6月に社長を引き継いだ後も、薄型テレビの販売拡大や後発だったデジタルカメラの躍進、国内トップシェアの白物家電の好調などにより業績拡大は続き、09年3月期の当期利益は過去最高の3100億円を見込む。収益拡大の勢いと売れ行きの良い製品をコンスタントに送り出す安定感は国内の大手電機メーカーでは随一といえる。

 

 松下の最大の課題は、高い国内依存度の克服。売上高に占める海外比率は50%弱(08年3月期)で、ソニーの83%(08年3月期エレクトロニクス部門)やサムスンの85%(07年度)に比べ内弁慶ぶりが目立つ。今年度はBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)にベトナムを加えた5カ国で前年比25%増の5000億円以上に引き上げることなどで海外での販売拡大を狙うが、松下の地域別売上高の14%を担う米州は中核の米国市場が金融危機に直面しており、家電販売にも影響必至だ。米国での景気後退が欧州や新興国の実体経済にも波及すれば、松下の海外増販のシナリオが停滞する可能性も否定できない。

 

 <世界首位の商品育成も必要>

 

 松下のもう一つの課題は、世界市場で圧倒的な存在感を見せる主要製品に乏しいことだ。最重要カテゴリーの薄型テレビでは、08年1─6月期の世界シェアは7.4%で6位(08年1─6月期台数ベース、米ディスプレイサーチ調べ)止まり。プラズマテレビは世界首位だが、市場規模でプラズマを大きく上回る液晶で出遅れたため、首位のサムスン(20.2%)、2位のソニー(11.5%)などの後塵を拝している。携帯電話は他の国内メーカーと同様、年間出荷5000万台程度の国内市場に限定したビジネスとなっており、世界で4億台以上を売り上げるフィンランドのノキアNOK1V.HEなどのグローバルプレーヤーには遠く及ばない。オーディオ分野でも、ソニーの「ウォークマン」や米アップル(AAPL.O)の「iPod」といった、ライフスタイルに変化をもたらすような独創性に溢れる商品を出せていない。

 

 国内ではトップの白物家電も、冷蔵庫や洗濯機といった主要商品は欧米市場で販売していない。冷蔵庫を例に取ると、松下の世界シェアは3%(06年、米ゴールドマン・サックス証券推計)に止まる。省エネ性能や静音技術などで強みを持つ松下も、性能や技術面といった差別化だけで急速に事業を拡大することは難しそうだ。牛丸副社長は「白物家電は国ごとに使い方、求められるデザインや機能が違う。欧州でも東南アジアでも国ごとに違う。中長期的に考えないといけない」と語る。大和総研アナリストの三浦和晴氏は「海外でシェアを一気に伸ばすのであれば、M&A(合併・買収)も選択肢の一つ」と指摘している。

 

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 (ロイター日本語ニュース、浜田健太郎記者、取材協力:竹中清記者;編集 石田仁志)

 

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