COLUMN-〔インサイト〕金融危機が波及した中東湾岸諸国、高まる政治改革への圧力=名古屋市立大 永野氏
<中東湾岸諸国の信用収縮>
11月に入り、ドバイ原油価格は1バレル=60ドルを割り込み、すでに2005年上半期の水準まで下落している。今年7月に1バレル=140ドルまで原油価格が上昇した際には、石油消費国から中東産油国への資本の流れは「富の移転」と称されたが、この石油輸出収入はすでに4割近くまで縮小したことになる。市場経済化が遅れ、マクロ経済に占める公的部門の占める割合が高い中東湾岸諸国では、高石油価格時代において、潤沢な財政収入を背景に政治システムも安定するが、低価格時代には10%を超える失業率を背景に、市場経済化と民主化を求める国内外からの圧力が高まる傾向がある。
加えてこれらの地域では現在、株価や不動産価格の下落が、国内流動性の収縮に拍車をかけている。石油価格高騰時に膨張した石油売上高の多くが不動産投資市場へ流入したが、不動産価格の下落に伴って、富の喪失が発生しているためである。アラブ首長国連邦ドバイの一部の不動産価格が、40%を超える下落率を記録しているとの報道もある。ロシアなど1990年代に新たな石油供給者が台頭したことにより、石油輸出国機構(OPEC)の産出量シェアは30%台後半に低下した。このため減産による価格調整が難しい今後は、一転して経済環境の悪化によって、この地域の政治リスクを高める可能性がある。
<世界金融危機伝播の3つの要因>












