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再送:〔特集:世界経済の行方・上〕日本は米欧より早期回復、対中輸出や財政効果で年内2%成長へ
2009年6月14日 / 23:19 / 8年後

再送:〔特集:世界経済の行方・上〕日本は米欧より早期回復、対中輸出や財政効果で年内2%成長へ

*この記事は11日午後3時06分に配信しました。

 [東京 11日 ロイター] 世界経済の悪化に歯止めの兆しが見える中で、株式市場や商品市場にリスクマネーが再び流入し始めた。しかし、動きの速いマネーに対し、実体経済は回復し始めた分野と悪化継続の分野、悪材料が目立つ国と追い風を受けた国など、まだら模様が目立っている。日本経済は先進国の中でいち早くプラス成長に転じる可能性が出てきたが、内需の先行き懸念など持続的な成長への確信が持てない状況だ。国内景気のエンジンである輸出からみた世界と日本経済の先行きを11日と12日の2回にわたって探る。

 欧米先進国の経済停滞が今年いっぱい続く可能性が高い一方で、日本経済はいち早くプラス成長に復帰し、年内は風速2%程度の堅調な成長が続くと予想されている。欧米に比べて急激に落ち込んだ反動という面が強いが、輸出ウェートの高い中国経済が政策効果で高成長を持続しているほか、国内総生産(GDP)比5%程度の財政を動員した政府の経済対策も下支え効果を発揮している。ただ、設備投資の停滞と失業率の上昇など内需に期待が持てないこともあり、新興国を中心とした外需に依存しながら先進諸国の景気回復を待つことになり、来年以降も持続的に回復できるのか、展望は開けていない。

 <日本は一足先にプラス成長へ>

 日本経済は4─6月に早くもプラス成長に転換する公算となった。今週始めに発表された6月エコノミスト調査(内閣府フォーキャスト調査)では、4─6月期に前期比年率1.6%のプラス成長への転換が見込まれており、7─9月期、10─12月期は2%を超えるまでに成長率が高まる見通し。1─3月に前期比年率15.2%減と先進国の中で最悪の落ち込みを演じた日本経済は、一気に潜在成長率(1%前後)を上回る水準に浮上、欧米よりも早期に、しかも高い成長を実現する格好だ。

 もっとも、主因はこれまでの落ち込みが相対的に大きかった反動にある。日本は欧米と比べて自動車・一般機械・電子デバイスといった輸出型主要産業が約5割を占めるほどウエートが高く、世界的な需要の減少に伴ってこれまでに大規模な在庫調整に追われた。ここにきて在庫調整のめどが付き、実需の減少を上回る減産圧力がなくったことで反発力も大きく出た。加えて需要が減少し続けるという局面が終わったことが重なり、急反発となったことがうかがわれる。

 エコノミストや日銀内の一部では当初、反発は7─9月期になると想定していた。4─6月期に早まった背景には、国内や中国での財政出動が予想以上の効果をあげた可能性も指摘されている。

 日本の実質輸出に占める中国のウエートは16%にのぼり、米国の17.5%と肩を並べるほど。中国の影響を受けている東アジア全体では47%にのぼる。中国への実質輸出は2月、3月と前月比増加に転じた。4月には電子部品、樹脂、非鉄などの出荷が増加。台湾や韓国などは半導体関連部品の需要が回復し、日本の電子部品・デバイスの出荷は他産業にさきがけて2月に出荷が回復し始めていた。

 過去最大規模となった2009年度補正予算など国内経済対策による下支え効果も大きい。一連の経済対策の財政規模はGDP比で5%に上り、米国の4%をしのぐ。公共投資部分は7─9月期に効果が最も表れるとみられ、エコノミストが夏場には2%に成長が高まると予想する根拠になっている。高速道路料金の割引や環境対応車購入への補助、省エネ家電へのエコポイント導入などが消費の下支えの役割を果たした。5月景気ウォッチャー調査では、こうした政策効果が寄与したとの声が多く、現状判断は5カ月連続で上昇した。

 <米の底打ち未確認、欧州に回復の芽乏しく>

 一方、欧米経済には底打ち感が明確に出ておらず、景気回復時期が日本より遅れる可能性が大きい。国際通貨基金(IMF)の見通しでは、2010年に日本はプラス0.5%成長に浮上するが、欧米はマイナス幅こそ縮小するものの、引き続きゼロないしマイナス成長が見込まれている。09年後半からの成長率上昇により10年度成長への段差にあたる「ゲタ」もプラスに寄与するとみられ、日銀では2010年の日本の成長率を1.2%と見ている。

 米国では5月雇用統計で雇用者数の減少幅が予想ほど悪化せず、景気悪化ペースが和らいできたとの見方につながった。GDPの悪化幅も4─6月以降、縮小傾向をたどるとの大方の予想に沿った動きが確認されたといえる。

 しかし、「米国経済が下げ止まったというのは時期尚早」(日本の政策当局者)との見方が根強い。背景には、1)消費者信用の悪化が収束せず、今後も金融機関の損失は拡大する可能性がある、2)景気悪化の原因となった住宅投資は引き続き減少が続いている、3)生産は今後GMやクライスラー破たんの影響で減少することが確実と予想される──ことなどが指摘できる。プラス成長に転じるのは日本より半年程度遅れ、今年後半以降になるとの見方がエコノミストなど市場関係者の間で広がっている。先の政策当局者は、こうした見通しは、今回の雇用統計をみても大きく変わらないと指摘している。

 欧州は、金融機関の痛み方が大きく、融資先である中東欧経済の停滞により、輸出も悪化しており、「自律的な回復の芽の可能性は小さい」(内閣府)のが現状だ。財政出動の規模もGDP比で英国が1.4%、フランスが1.5%、ドイツが3.4%と日本や米国を下回る。欧州経済の回復は、米国よりさらに遅れて2010年に入ってからと内閣府は分析している。

  

 日本経済は欧米経済に先がけてプラス成長に転換する可能性が高まっているが、当面は欧米経済というけん引役が不在のまま、中国やアジア新興国の成長と財政政策効果でしのぐことになりそうだ。設備投資や雇用の調整圧力との綱引きになるため、どの程度のテンポでいつまで回復が持続できるのか──。答えはだれにも見出せない状況だ。

(ロイター日本語ニュース 中川泉記者;編集 田巻 一彦)

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