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〔FEDフォーカス〕賃金デフレの可能性、景気回復に影
2009年7月21日 / 05:59 / 8年後

〔FEDフォーカス〕賃金デフレの可能性、景気回復に影

 [シカゴ 20日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)当局者はこのところ、経済について明るい見方を強めているが、依然として弱い労働市場と、賃金デフレの可能性が、景気回復に影を落としている。

 景気回復に雇用が伴わず、賃金も低下すれば、経済をめぐる暗いムードがあらためて広がる可能性がある。少なくとも、実質賃金が低下すれば、消費主導による景気回復はより厳しい情勢となるとみられている。

 政策当局者は、FRBの積極的な金融政策と大規模な景気刺激策は効果が上がっており、景気が転換する日も近いとの見方を維持している。

 しかし景気の回復は、消費支出が増加するかどうかにかかっている。

 フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は、2010年半ば以降も、ゼロ─0.25%に据え置かれる可能性がある、とみられている。

 サンフランシスコ地区連銀のイエレン総裁は、最近行った講演のなかで「賃金の伸びはかなり鈍化し、賃下げも一般的に行われている」と指摘。「失業率がすでに高く、今後も上昇するとみられるなか、賃金と物価の下振れ圧力は続き、強まる可能性がある」との見方を示している。

 賃金および給与は、米国民の個人所得全体の半分以上を占めている。

 ゴールドマン・サックスのエコノミストであるジャン・ハチュース氏はリサーチノートで、賃金が低下すれば「米家計は、支出の伸びに下押し圧力をかけずに、貯蓄を増やすことが難しくなる」と指摘している。

 消費が減退すれば、リセッション(景気後退)からの脱却につながる望ましい在庫サイクルが反転するという、最悪のシナリオもありうる。

 

 <雇用喪失止まらず>

 

 米連邦公開市場委員会(FOMC)は6月の政策会合で、2009年と2010年の成長率の中間予想値を上方修正した。民間の調査機関やエコノミストも、経済が今四半期にも成長を再開すると予想している。

 FOMCの予想値によると、2009年の実質国内総生産(GDP)はマイナス1.5─マイナス1%で、4月予想のマイナス2─マイナス1.3%を上方修正した。2010年の成長率については、プラス2─プラス3%から、プラス2.1─プラス3.3%に上方修正した。

 ブルーチップ・エコノミック・インディケーターズの調査では、第2・四半期はマイナス1.8%、第3・四半期はプラス1%の見通し。

 しかしGDPがプラスに転じても、多数の失業者にとっては、明るい材料ではない。米国では過去3カ月だけで、130万人が職を失った。

 米アトランタ地区連銀のロックハート総裁は20日、講演で、消費者信頼感の最近の低下や、消費に関するニュースがこのところ「大方暗い」ことを指摘したうえで、「今後の経済情勢、特に雇用情勢に関する見方が、(消費者の)信頼感の重しとなっている」との認識を示した。

 米国の失業率は6月は9.5%で、ほぼ26年ぶりの水準に悪化した。しかも雇用に関するその他の指標はさらに悪い内容になっている。

 サンフランシスコ地区連銀がまとめている、失業および非自発的なパートタイムの割合は、およそ16%でピークとなる見通しであり、1982年のリセッション時につけた比率を上回る、とみられている。

 6月雇用統計によると、時間当たり賃金は前月比横ばい。過去3カ月では0.7%増と、統計の集計開始以来で最も低い伸びにとどまった。

 キャピタル・エコノミクスの米国担当シニアエコノミスト、ポール・アッシュワース氏は「前年比の賃金伸び率は3%から2.7%に低下した。今後1年で、伸びがマイナスに転じる可能性が大きい」と述べた。

 

 <失業の慢性化>

 

 全米企業エコノミスト協会(NABE)が20日発表した7月調査では、労働市場の弱さが続く、との見方が根強いことが明らかになった。

 NABEの調査によると、回答者の18%が、賃金・給与が過去3カ月で減少した、と報告。増加したと回答したのは10%にとどまった。

 「ネットの賃金上昇指数」はマイナス8となり、これは1982年の調査開始以来で、最悪の水準だった。また、雇用が増加しているとの回答は6%にとどまり、これも調査開始以来で最も低い数字となった。

 失業期間が長いほど、再就職先の初任給は前職より低くなりがちだ。

 今回のリセッションで特徴的なのは、高給の製造業セクターの雇用情勢好転が見込めない中、慢性的に失業している人の割合が高いことだ。

 ノーザン・トラストの経済調査ディレクター、ポール・カスリール氏は「経済は変化しており、雇用の一部は戻らない。これらの人々は構造的に失業することになる。再訓練が必要だが時間がかかる」と述べた。

 

 (Ros Krasny記者;翻訳 吉川彩;編集 内田慎一)(aya.yoshikawa@thomsonreuters.com; 03-6441-1378; aya.yoshikawa.reuters.com@reuters.net)

  

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