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コラム:「スーパースター企業」時代でも有効な投資方法
2017年5月30日 / 06:31 / 4ヶ月前

コラム:「スーパースター企業」時代でも有効な投資方法

 5月29日、フェイスブックやアマゾン・ドット・コムといった「スーパースター企業」が活躍する昨今だが、それでもインデックス投資の考え方は依然として有効だ。写真は2016年11月、東京で撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

[29日 ロイター] - フェイスブック(FB.O)やアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)といった「スーパースター企業」が活躍する昨今だが、それでもインデックス投資の考え方は依然として有効だ。

ジョン・バン・リーネン氏ら5人のエコノミストが最近まとめた研究論文は、ごく一部の少数企業がいかに産業セクターの大きな部分を占め、売り上げシェアを拡大させているかを詳細に描き出している。そこでは企業が高収益を上げる一方で、労働者の取り分である労働分配率は下がっている。

この研究では、産業の集中が進み、リーネン氏らがスーパースター企業と呼ぶ企業は実入りが良く、大幅な利益を上げている姿が浮き彫りにされている。それ以外の企業は苦境に陥り、経済全体として見ると、対GDP比で見た労働者の取り分の割合が低下する結果を招いている。

論文は、こうしたスーパースター企業が経済や社会、政策に与える影響に的を絞って論じているが、投資への影響という側面も自明なこととは言えず、興味深い。

数少ない勝者とそれ以外の多数の敗者がいるような市場の場合、アマゾンのようなスター企業を見つけ出して投資するというのがコツだと考える向きもあるかもしれない。しかし、それは言うはやすしというものだ。

前出の研究によると、わずかな勝者への集中は技術革新が急ピッチな産業で進むとされる。これは問題だ。急激な技術革新はフェイスブックのように大勝ちした少数の強者が支配する構図を生み出す。しかし、そうした企業は将来、他の技術に取って代わられるリスクがあるということでもある。

よく知られたスーパースター企業、米小売大手のウォルマート・ストアーズ(WMT.N)を見れば分かるだろう。実店舗を中心に事業を展開していたが、いまやネット小売のアマゾンにかつての地位を奪われようとしている。米IBMもそうだ。かつてはスーパースターだと言われたかもしれないが、IBM株といえば、いまやリターンの高さではなく、自社株買いで知られる存在だ。

こうした「勝者総取り」の社会は、投資家にとっても実にハイリスクだと言える。誰が勝ちそうか把握するなどという単純な問題ではない。スーパースター企業に集中的に賭けるというのは極めてハイリスクである可能性が高い。集中投資はリスクが高いという理論上の話にとどまらず、実際、技術の変化が極めて速いためだ。

これに対し、インデックス投資の場合、集中が進んだ経済に特有の、高い伸びを示し高水準を維持する企業利益というものに投資することが可能になる。これは悲しいかな、賢明な投資とはアマゾンやフェイスブック株の上昇に賭けるのではなく、「労働者」に売りを仕掛けることだという言い方もできるだろう。

一握りの勝ち組と賃金の下落という現象は新しいものだと言えるが、株式市場で生み出されたマネーの大半は、これまでも企業価値が急騰した少数企業によりもたらされてきた。

アリゾナ州立大のHendrik Bessembinder氏による最近の研究では、ここ90年超にわたり生み出されてきた16兆ドルもの富は、わずか86銘柄によってもたらされてきたと指摘されている。これはこの期間に全ての企業という企業が生み出した富のおおむね半分に相当する額だ。

それ以外の約2万6000銘柄が、残りの16兆ドルを生み出したことになるが、実際は全体の4%に満たない上位1000銘柄が86年間で稼ぎ出したものだ。

スーパースター企業の登場や労働分配率の低下の背景には、グローバリゼーションの進展や政治的、規制的な背景があったことも注目に値する。グーグルやアマゾンなども今後、新たな政治的な障害や規制問題に直面することが十分考えられるからだ。実際、中国では既にそういう事態が生じている。

そこで突き詰めると選択肢は3つある。1つ目はスーパースター企業をいくつか事前に見極めるよう試みるというもの。幸運を祈る。

2つ目は、実際に頭角を現したスーパースター企業の株を買い、その後も好業績が維持されることを願うという選択肢だ。ただ、この戦略では、それまでの株価の上昇分は得られない。賭けた企業が没落する大きなリスクを抱えることにもなる。

そして3つ目が、広い範囲をカバーする株式市場の指数に投資し、緩やかに利益を拡大させていくという手法だ。そこには成長初期の銘柄も含まれている。

この第3の選択肢の考え方は、企業利益と労働コストのバランスが変化していったとしても有効だろう。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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