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米FOMC、25bp利上げ:識者はこうみる
2017年3月15日 / 20:30 / 6ヶ月前

米FOMC、25bp利上げ:識者はこうみる

 3月15日、米FOMCが25ベーシスポイントの利上げを決めた。写真は記者会見に臨むFRBのイエレン議長。ワシントンで同日撮影(2017年 ロイター/Yuri Gripas)

[15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は15日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ0.75─1%とすることを決めた。

だが将来の利上げペースが加速するとの兆候は示さず、追加利上げは「緩やかに」とどまるとした。FRB当局者の政策金利見通しは、年内さらに2度の利上げ、2018年は3度で据え置かれた。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●来年の金利見通し、今年より上振れる公算

<バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(ニューヨーク)の米短期金利戦略部門責任者、マーク・カバナ氏>

FRB当局者の政策金利見通しは、来年の中央値が上方シフトするとの見方があったが、3回の利上げを示す水準に据え置かれた。(据え置かれた今年の利上げ回数見通しとともに)市場が失望する可能性もあるが、来年の見通しの方が今年分の予想より上振れる公算が大きいとみている。

●極めてハト派、金利見通しは19年の小幅引き上げのみ

<BMOキャピタル・マーケッツの金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏>

金利見通しの引き上げは2019年のみで、かなりハト派的だ。インフレの上振れリスクに一段と配慮しているが、文言もかなり均衡が取れている。

また米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁が唯一、反対票を投じた。だがあまり知られていないこともあり、市場はそこまで注目していない。

ドットチャートが引き上げられるとの見方が広がっていたが、19年の小幅な上方修正だけで、大きな材料ではない。かなりハト派色が強い。

●強気姿勢みられず、年内あと2回の利上げ予想

<LPLフィナンシャル(ボストン)の投資ストラテジスト兼エコノミスト、ジョン・カナリー氏>

市場では、米連邦準備理事会(FRB)が強気な姿勢を示すのではないかとの不安があったが、実際の声明では強気な姿勢はみられなかった。利上げは織り込み済みで、FRBメンバーによるドットチャート(=今後の政策金利の推移を点で示したグラフ)にも大きな変化はなかった。FRBは今後も緩やかな対応を継続するだろう。タカ派的な向きには、今回の声明は想定よりもややタカ派的な内容に欠けると映ったかもしれない。今後の利上げ回数は、年内があと2回、来年は3回を予想する。

●物価オーバーシュート許容で19年利上げ加速も

<アリアンツ・インベストメント・マネジメントの投資ストラテジスト、チャーリー・リプリー氏>

経済見通しでは、インフレ率が目標の2%に達すると見込まれているが、米連邦準備理事会(FRB)は若干のオーバーシュートを許容し、2019年に利上げペースが速まる可能性がある。

経済指標が想定内なら6月、9月の追加利上げを見込む。債券市場は一部で見通しの中央値が引き上げられるとの観測が浮上していたが、実際には起こらなかったため、価格が大幅上昇している。

●バランスシートへの言及なし、様子見姿勢

<スタンディッシュ・メロン・アセット・マネジメント・カンパニーの副最高投資責任者(CIO)兼グローバル債券責任者、ラマン・スリバスタバ氏>

ドットチャートの中央値は今年も来年も動かなかった。これに加え、ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は反対票を投じた。バランスシートの正常化に関する言及もなかった。起こりえたすべてが一切実体化しなかったのは様子見ムードを示唆しており、ハト派的なアプローチだ。

●利上げペース加速のリスクなし

<マニュライフ・アセット・マネジメントのシニアエコノミスト、フランシス・ドナルド氏>

声明にさほど多くのサプライズ要因は見当たらない。

市場では、年内に3回の利上げが実施される見通しだが、米連邦準備理事会(FRB)が現段階で利上げペースを加速させるリスクはないとの理解が広がっている。

米連邦公開市場委員会(FOMC)前には、FRBが年内3回以上の利上げ実施に向けた一段の緊急性を示すとの懸念が台頭していたが、声明、見通し、ドットチャートはすべて、FRBがこれまでの軌道を維持し、タカ派色を強めているリスクは呈していない。「パンチボウル」を片付けつつあるが、まだ空っぽにしたわけではない。

●「対称的」なインフレ目標に注目、財政政策次第

<ウエルズファーゴ・ファンズマネジメント(ウィスコンシン州)の首席ポートフォリオ・ストラテジスト、ブライアン・ジェイコブセン氏>

米連邦準備理事会(FRB)がインフレ目標についてシンメトリック(対称的)であると明言したことが最大のニュースだ。これは物価が目標をオーバーシュートすることも、アンダーシュートすることも、いずれも望ましくないという意味だ。FRBとしては、フェデラル・ファンド(FF)金利が3%に到達するまで、向こう3年間で年3回の利上げを行う計画だろう。ただしイベントは付き物だ。多少の財政刺激策でFRBが利上げペースを速めるだろうし、財政政策面で破たんすれば、FRBは動きを緩めるだろう。FRBの政策は指標次第ではなく、財政政策次第といえる。

●レトリックのタカ派的なエスカレートなかったのは意外

<ボヤ・インベストメント・マネジメント(アトランタ)の債券部門首席投資責任者(CIO)、マット・トムズ氏>

政策決定は予想通りだった。市場ではFRBのレトリック、もしくは見方がタカ派的な方向にエスカレートするのではないかとの懸念が出ていた。こうしたエスカレートがなかったのは意外だった。

●米株市場よりは冷静な現状認識を示す

<マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表 亀井幸一郎氏>

トランプ政権の景気刺激策に対して、今なお楽観的な見方を持ち続けている米国の株式市場に比べ、米連邦準備理事会(FRB)はインフレの加速も特に見込んでおらず、現状に対して冷静な判断を下しているとの印象を持った。

さわさりながら、足元の米景気指標が良好なことや世界経済が落ち着いていることなどから、方向性として、金利を「上げられる時に前倒しで上げておく」というスタンスが今回の利上げにつながったとみている。

FRB内部では、年後半に財政出動が実現するとすればその時点で、改めて金融政策のかじ取りを調整するという雰囲気なのではないかと推察する。

ユーロ/ドルは、きょうのオランダ下院選など政治リスクがあるものの、米利上げ決定後に強含んでいる。政治リスクでユーロが売られるとの見方があるが、ポピュリズムに傾斜したとしても、それで経済の流れが変わるわけではない。FRBとの比較では、FRBがトランプ政権の不透明性に配慮して慎重になる一方で、欧州連銀(ECB)の出口戦略はより鮮明に見える。

●米金利、昨年ピーク超えの危機去る

<みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏>

安全運転に徹したとの印象だ。そもそも経済見通しの数字が、ほとんど動いていないことに加え、トランプ政権の政策に対する不透明感が強い状況で、急に利上げペースを上げるというのは、不整合だった。

3月の利上げに踏み切ったのは、5月がフランスの大統領選挙の決選投票の直前で、6月であれば米株式相場がどのようになっているか分からないということが影響したようだ。早めに前倒しで、今年の1回目を実施しておこうという考えにあったのではないか。

物価について声明文をみると、「総合」と「コア」と分けている。「コア」については2%に届いていないことをあらためてリマインドしている。これはハト派姿勢の象徴と受け止めている。債券市場には安心材料と思われる。

米10年債利回りに関しては、昨年ピークの2.64%を超えるのではないかという危機にあったが、連邦公開市場委員会(FOMC)のメッセージを受けて、とりあえず危機は去ったように見える。経済指標をみながら当面はレンジの中で推移しそうだ。

●6月利上げは米経済次第、3月末に1万9900円近辺へ

<三井住友アセットマネジメント シニアストラテジスト 市川雅浩氏>

基本的にはハト派という解釈でいいと考えている。緩やかなペースでの利上げが適切だという従来からの姿勢が確認された。ドットチャートは2017年、18年は年3回の利上げペースで変化はない。米長期金利とドルの反応は一時的な利益確定の動きだとみており、あまり心配する必要はないだろう。東京市場もリスクオフで総崩れという展開は見込みにくい。

年内で残り2回の米利上げが考えられる中で、6月の利上げも可能性としてはゼロではない。これは米国の経済情勢次第だ。さらに今後は米国の景気対策について、年内でどの程度実行できるのか、というのもポイントになってくる。ただ実行が遅れたとしても、足元で米国経済はしっかりとしている。ハト派的なFOMCで米国株が上昇したことを考えると、日本株もしっかりとした地合いが続くだろう。

緩やかな利上げペースとはいえ、基本的にはドル高/円安基調が続く。1ドル110円を超える水準であれば、日本株にとって悪い材料ではない。日経平均は3月末の時点で1万9900円近辺で着地するとみている。その後は2万円を試す展開も考えられるが、17─18日には20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議があり、ムニューシン米財務長官が初参加となる。為替面での米国側の意向がどの程度反映されるか気掛かりだ。内容次第では円高が進み、日本株の上昇の勢いが弱まることも考えられる。

春先以降は、米国でのオバマケア廃止と代替法案の成立可否、税制改革の行方などに関心が向かうこととなる。フランス大統領選の動向も合わせて、このあたりで混乱が生じれば、4─6月中にリスクオフ的な動きが予想される。その際は、日経平均が1万9000円を割れる展開も想定される。国境税への懸念も大きい。ただ年内に導入されないという見通しがはっきりすれば、自動車を中心とした日本企業の業績への懸念が後退する形となり、日本株上昇のカタリストになるとみている。

*内容を追加します。

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