2017年3月10日 / 15:14 / 6ヶ月前

米雇用統計:識者はこうみる

 3月10日、2月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が23万5000人増と、市場予想を上回った。写真はニューヨークの就職フェア会場で2014年10月撮影(2017年 ロイター/Shannon Stapleton)

[10日 ロイター] - 米労働省が発表した2月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が23万5000人増と、市場予想の19万人増を上回った。

賃金も底堅い伸びを示し、連邦準備理事会(FRB)による来週の利上げを後押ししそうだ。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●年4回米利上げ示唆なら日経2万円へ=SMBCフレンド 松野氏

<SMBCフレンド証券 チーフストラテジスト 松野利彦氏>

2月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が23万5000人増と、市場予想の19万人増を上回ったが、ADP民間雇用者数が29万8000人の大幅増となっていただけにやや期待はずれだったのだろう。時間当たり平均賃金の伸びが鈍かったことも、期待に少し届かなかった部分といえる。

ただ、週明けの東京市場で株価がさえないのは、堅調な雇用統計だったにも関わらず米金利が上昇せず円高に振れているから、というよりも先週末の株高後の利益確定売りや今週の一連のイベントを控えてポジション調整が入っているという見方もできる。

今回の雇用統計の結果に関わらず、14─15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが確実視されている。市場の焦点はドットチャートが修正され年4回の利上げが示唆されるかに移っている。年4回となった場合、日米金利差拡大で円安進行期待が高まり、日経平均は中期的に2万円を目指す展開となる見込みだ。その場合は、いったん1万9700円─1万9800円ぐらいまで上昇することになろう。

利上げ回数の見通しに変化がなかったとすれば短期的に多少の失望売りが出るが、相場が崩れるような値動きとはならないだろう。

●リスク回避の兆し、ドル/円は強気になれず=シティG証 高島氏

<シティグループ証券 チーフFXストラテジスト 高島修氏>

米雇用統計は新規雇用の上振れ、失業率の低下に加え、平均時給の伸びも前年比2.6%から2.8%へ加速した。この結果は完璧と言え、今週14━15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げはほぼ確定的になった。

ただ、発表前に115円半ばだったドルは反落し、一時114円半ばまで下押しされた。欧米金利上昇の悪影響を意識したリスク回避の兆しが国際商品市況や新興国通貨にみられ、積み上がった円ショートポジションにも調整圧力がかかっているもようだ。

今後、日米経済対話が始まるが、これが日米二国間自由貿易協定(FTA)交渉の端緒となる。米国は為替操作禁止条項を盛り込むとしていることから、通貨政策の議論は避けられない。向こう数週間、ドルは112─115円を中心としたレンジ推移を想定しており、現在の水準からそれほど強気になれない。

●3月利上げ後押し、潜在的な賃金圧力は存在

<RBCキャピタル・マーケッツの首席米国エコノミスト、トム・ポーチェリ氏>

非常に堅調な結果だ。健全な労働市場の状況を示し、3月の利上げを後押しする内容となった。2月の賃金の伸びはやや精彩を欠いたが、1月分が上方修正されたことは朗報だ。現時点で賃金のスラック(緩み)は著しく縮小し、年内を通じ賃金押し上げの一助になるとみられることから、潜在的な賃金圧力は存在する。

●全般的に強弱まちまち

<シュワブ金融調査センター(ニューヨーク)の首席債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏>

全般的には強弱まちまちの内容だったといえる。市場はかなり強い数字を織り込んでいた。時間当たり平均賃金の伸びは予想を下回ったため、失望した投資家もいたかもしれない。ただ底堅い統計であることに変わりはなく、米連邦準備理事会(FRB)は今後利上げを推し進める見通しだ。来週の利上げは確実だろう。

●現在の雇用増は持続困難、すでに引き締まり

<アメリプライズ・ファイナンシャル・サービシズのシニアエコノミスト、ラッセル・プライス氏>

経済活動が底堅さを増し、信頼感水準も高まり、良好な気候となった。すべての要因が、年初から雇用増を押し上げたようだ。建設業の新規雇用が急増したことが示すように、天候の改善に伴う(雇用の)伸びは(この先の)増加が前倒ししたことを反映した公算が大きく、春にかけて幾分の調整がみられる可能性がある。

労働市場はすでにかなり引き締まっている。参加率の上昇にみられるように、労働市場の改善に伴って、求職活動をやめていた人が市場に戻りつつあるが、現在の雇用増ペースは持続不可能とみられる。

●失業率低下・労働参加率上昇はプラス

<ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティチュートのグローバルクォンティタティブ・テクニカルストラテジストのサミール・サマナ氏>

ADP全米雇用報告が大幅増になっていたため、さほど驚きはない。

労働市場の回復の裾野が広がっているという点で、失業率が下がる一方、労働参加率が上昇していることは勇気付けられる兆候だ。

市場は(3月)利上げを確実視しており、米連邦準備理事会(FRB)を阻むものはない。それでも年内は3月、9月の2度の利上げを見込んでいる。ただ12月の可能性は排除しない。

個人消費支出(PCE)価格指数が2%を下回っている限り、FRBは利上げに慎重姿勢で臨む。2.1%、または2.2%を上抜ければ、雇用よりも物価安定を強調すべき時期に来たと考えるだろう。

●賃金増なお精彩欠く、年内4度の利上げ予想は早計

<ウェスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏>

非常に力強い内容だが、市場の期待が事前に大きく高まっていたため、ドルは上昇できなかった。賃金の伸びはなお鈍く、利上げペースが加速するとの見方を後退させる。

今回の統計を受けて3月利上げはほぼ確実だが、年内3度を上回る利上げとの予想はやや早計だ。

●製造業の伸び注目、トランプノミクスは本物か

<フェデレーテッド・インベスターズのチーフ株式市場ストラテジスト、フィル・オーランド氏>

注目点の1つは大幅な伸びとなった製造業だ。また賃金も増加している。米連邦準備理事会(FRB)にとってはこの上ない内容で、来週の利上げは決まりだろう。

これを見込んで株式市場は過去4カ月に15%値上がりしており、「トランプノミクス」には一定の妥当性があるとの認識が出始めるかもしれない。

*内容を追加して再送します。

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