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インタビュー:日本株は割安、低ROE修正なら5割高も=AB 堀川氏
2017年3月2日 / 05:46 / 7ヶ月前

インタビュー:日本株は割安、低ROE修正なら5割高も=AB 堀川氏

 3月2日、米資産運用会社、アライアンス・バーンスタインの日本バリュー株式共同最高投資責任者の堀川篤氏は、日本株はグローバルでみて割安であると指摘。写真は都内の株価ボードを眺める男性。2015年8月撮影(2017年 ロイター/Thomas Peter)

[東京 2日 ロイター] - 米資産運用会社、アライアンス・バーンスタインの日本バリュー株式共同最高投資責任者の堀川篤氏は、日本株はグローバルでみて割安であると指摘。ROE(株主資本利益率)が世界平均並みに修正されれば、グローバル市場に対し50%のアウトパフォーム(OP)も可能との見方を示した。

ロイターのインタビューに1日、応じた。

昨年12月末時点で、同社の受託資産残高は約57兆円(4900億ドル、116円で計算)。グローバル・バリュー株式ファンド全体の受託資産残高は1兆3451億円。日本株プロダクトの運用資産残高は1192億円となっている。

──日本企業の評価は。

「日本企業は徐々にだが変わってきている。以前は利益重視ではなかった企業も多くあった。しかし、3年ほど前からコーポレートガバナンスへの関心が高まってきており、一部の企業は行動を変えつつある。改善の可能性のある企業に投資していきたい」

──改善の可能性とは具体的にどういう点か。

「日本企業のROEは低い。足元で8─9%程度と、世界平均の12─13%に対し、4─5割下回っている。日本株は、PER(実績ベース)でみて約2割、PBRでは約4割、世界のレベルから割安になっているが、その要因の1つはここにある。特にPBRはROEの低さが反映されている(PBR=PER×ROE)」

──ROEが低い要因はどこにあるのか。

「ROEが低いのは、バランスシートが効率的ではないからだ。キャッシュをたくさん持ちすぎている。また利益重視の意識も低かった。しかし、逆に言えば改善のポテンシャルが大きいということであり、投資のチャンスもそこにある」

「単純計算だが、ROEが8%から12%程度に改善すれば、1.5倍だ。それだけで為替動向に関係なく、株価はグローバルマーケットに対して50%、アウトパフォームすることができる」

──成功例はあるか。

「ある半導体関連企業は、3年前は経営陣に利益改善の意欲があるのかないのかわからないような会社だった。業界トップ企業の売上高営業利益率が15─20%もあるのに、その会社は3%。しかし、当社との対話の中で、利益重視の姿勢に変わってきた。主力製品の1つである半導体洗浄装置を汎用型から個々の顧客ニーズに合せた作りに変えることなどにより、コストと利益のバランスが改善、利益率は今年12%まで改善した」

──投資家との対話がうまくいかない企業もあるのではないか。

「確かに、利益改善に後ろ向きと言わざるを得ない企業も少なくない。自分たちの業界というか世界に固執して、マーケットも気にしないタイプの企業だ。だからこそ、我々は、日本株を『やや』オーバーウエートとしている」

──日本のグローバル企業にとってはトランプ米大統領の政策もリスクだ。

「ポイントは、雇用などで不満を持っていた支持者を満足させることができるかどうかだ。満足させることができれば(景気拡大などを通じて)日本も恩恵を受けるだろう。満足させることができなければ、ポピュリスト的な政権であり、『敵』をつくることで不満のはけ口とするかもしれない。その際、ライバルである中国が対象となりそうだが、日本も巻き添えを食うリスクがある」

「国境税が実施されれば、輸出セクターは影響を受ける可能性がある。国境税は売上高にかかってくるのに対し、法人税減税は利益にかかる。その影響度は、国境税の方が大きいだろう。自動車株のウエートは米大統領選直後からやや落としている」

──今回のトランプ大統領の議会演説をどうみたか。

「今回の議会演説では、敵を探すような発言がなかった。その点では良かったのではないか。一方、掲げる政策を実行できるかには依然として不透明感が漂う。行政スタッフの陣容さえ固まっておらず、政策実行力に関しては信頼感はまだ低い」

──米国の為替政策はどうなると予想するか。

「米国はサービス産業の割合が高く、ドル高の方がプラスだとみている。多少、ドル安になったとしても米国の車が日本で急に売れるとは考えにくい。無理やりドル安にすればインフレもしくは輸入物価が上昇し、消費者、つまり支持者の懐を圧迫する。ドル高志向であれば日本株にもプラスだ」

──海外投資家の様子はどうか。

「1月に、欧州に出張してきたが、日本がインフレになるかに興味を示す投資家が多かった。これまで女性がパートで働くことで賃金の上昇率を抑えていたが、それにも限界がみえてきた。今後は賃金に上昇圧力がかかってくるだろう。インフレになれば、個人や企業の行動も大きく変わってくる可能性がある」

*誤字を修正しました。

伊賀大記、植竹知子

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