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焦点:イタリア首相に留任論浮上、国民投票は改憲反対派が優勢
2016年11月28日 / 05:56 / 10ヶ月前

焦点:イタリア首相に留任論浮上、国民投票は改憲反対派が優勢

 11月27日、イタリアは上院の権限縮小などを盛り込んだ憲法改正の是非を問う国民投票を12月4日に控え、レンツィ首相(写真)に対し、たとえ改正案が否決されても首相の座に留まるよう求める声が高まっている。26日、ローマで撮影(2016年 ロイター/Alessandro Bianchi)

[ローマ 27日 ロイター] - イタリアは上院の権限縮小などを盛り込んだ憲法改正の是非を問う国民投票を12月4日に控え、レンツィ首相に対し、たとえ改正案が否決されても首相の座に留まるよう求める声が高まっている。

首相は改正案が否決されれば辞任する意向を示してきた。外交筋によると、今月18日に欧州の一部首脳がベルリンでオバマ米大統領とと会談した際にも首相は「国民投票で敗北すれば未練がましいことをするつもりはない」と口にしたという。

世論調査では反対派が優勢だ。否決されれば、英国民投票での欧州連合(EU)離脱派勝利、米大統領選でのトランプ氏勝利に続き、西洋諸国において有権者が「反既成政治」に反旗を翻す今年3度目の事例となる。

レンツィ首相が辞任すれば、単一通貨ユーロの廃止を主張する「五つ星運動」を率いる元コメディアン、ペッペ・グリッロ氏に追い風が吹くかもしれない。

否決後に銀行危機が本格化するリスクもあり、首相は考えを改めて辞任を思いとどまるべきだとの圧力は強まりつつある。オバマ大統領は10月に、レンツィ首相は投票結果にかかわらず留任すべきだと発言。ロイターが取材した複数の政府高官や財界関係者も首相が辞任すればイタリアは最悪の事態に陥りかねないと危機感を示した。

カレンダ経済振興相は25日にロイターとのインタビューで、「首相は留任すべきだというのが私の個人的な意見だ。イタリアにとって何が良いことかを考えなければいけない」と話した。

首相と定期的に接触している中道左派の複数の政治家によると、首相は否決ならば即座に辞任する意向で、いまさら前言を翻せば政治的なイメージが決定的に傷つくと恐れているという。

<直情的>

マッタレッラ大統領が首相の責任感に訴えて、議会からもう一度信認を得るように求める可能性はある。ただ首相のアドバイザーの1人によると、首相がこうした要請に応えるかどうかは投票での敗北の程度次第で、大敗北を喫すれば政界から身を引くこともあり得るという。

この当局者は首相の人柄について「若くて直情的だ。投票がひどい結果になれば区切りを付け、きっぱりと転身を決めるかもしれない」と語った。

12月第1週には銀行大手モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)が増資に着手するが、政治が混乱していれば投資家は尻込みしそうで、破綻を避けるため政府が即座に介入を迫られるだろう。

 11月27日、イタリアは上院の権限縮小などを盛り込んだ憲法改正の是非を問う国民投票を12月4日に控え、レンツィ首相(写真)に対し、たとえ改正案が否決されても首相の座に留まるよう求める声が高まっている。ローマで26日撮影(2016年 ロイター/Alessandro Bianchi)

産業界のトップは首相の改革を支持しているが、既存の政治に反対する勢力から怒りを買うのを恐れて口をつぐんでいる。しかし巨額の負債を抱えた状態でイタリア政治が再びマヒする可能性への警戒感は強まっている。

イタリアの高級ブランド、サルバトーレ・フェラガモ(SFER.MI)のフェルッチオ・フェラガモ会長は「国民投票で改正案が否決された場合に(首相が)辞任するのを心配している」と述べ、首相の辞任はイタリアにとって一歩後退だとした。

<セーフティーカー役は御免>

投票を2週間後に控えて世論調査の結果公表は禁止されているが、18日までの直近40件の調査では反対が賛成を最大11%ポイント上回っている。

レンツィ首相率いる民主党の関係者は25日、民間の調査結果によると有権者の4分の1はまだ賛否を決めておらず、その差は5%ポイントに縮まっていることから、まだ賛成派が勝つ可能性はあると話す。

当初、憲法改正案は支持率が70%に上っていた。しかし結果を楽観したレンツィ首相が昨年末に否決なら辞任する考えを示唆すると、野党がこの投票を事実上の信認投票と化した。

首相は投票を自分の去就と結びつけたことは失敗だったと気づき、8月に軌道修正を図った。しかし賛成派の支持率は回復せず、首相はこの2週間、否決なら辞任するとの姿勢を再び示す羽目になった。

辞任した場合、次の政治の動きがどうなるかはすぐには分からないが、素直に考えれば総選挙が前倒しされそうだ。

しかし国民投票の可決を過信していた首相は2015年、上院の権限は縮小されると見て下院のみの選挙制度改革を導入している。上下両院に異なる選挙制度が適用される事態を避けるため、議会は新たな選挙制度を策定する必要が生じ、その作業には17年いっぱいを要するかもしれない。

マッタレッラ大統領が首相に対し、「単一目的政府」を率いて選挙制度改革を見届けるよう求める可能性もある。しかし首相の側近によると、レンツィ氏がそうした限定的な使命のために首相にとどまることは決してないという。

民主党議員のマッテオ・リチェッティ氏は自動車レース「F1」で事故の後にレースを先導する車を引き合いに、「レンツィ氏が『セーフティカー』役を務めることはあり得ない」と述べた。

(Crispian Balmer記者)

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