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コラム:「衝撃と畏怖」与える時期逃したECB
2016年3月9日 / 04:11 / 2年前

コラム:「衝撃と畏怖」与える時期逃したECB

 3月8日、欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏に「衝撃と畏怖」を与えるには、1カ月ばかり遅い。写真はドラギECB総裁。ブリュッセルで2月撮影(2016年 ロイター/Yves Herman)

[ロンドン 8日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏に「衝撃と畏怖」を与えるには、1カ月ばかり遅い。ECBは低迷するユーロ圏経済をテコ入れする必要があり、最も苦境にあえぐ国の国債購入を拡大することが痛みを和らげる最善の方法になる。だが、行動を起こす絶好の機会は過ぎ去ってしまったようだ。

ECBは10日の理事会で追加の景気刺激策を打ち出すことが求められている。物価は好ましくない方向に進んでおり、ドイツとフランス、スペインでは2月にマイナスを記録した。直近の世界的な金融市場の混乱が起きる前でさえ、ECBが国債を買い入れて政策金利をマイナスにしたのに、ユーロ圏の景気回復の勢いは鈍っていた。

最強の支援策は、イタリアやスペイン、ポルトガルといった南欧諸国の国債をもっと積極的に買い入れ、ユーロ圏で最も急速に上がっているこれらの国の借り入れ金利を押し下げることだろう。あるいはECBが銀行債を購入し、最近の銀行の資金調達金利の上昇を抑えることもできる。

いずれの手段も議論を呼ぶことにはなる。ECBは現在、加盟国の国債を出資比率に応じて買い入れている。これが各国政府へのファイナンスだとの批判をかわす根拠になっていた。一方、銀行債を買えばユーロ圏の銀行監督当局としての役割を果たすのは難しいだろう。

1カ月前の市場が混乱していた時期に、ドラギ総裁が南欧諸国の国債購入増額か銀行債買い入れを提案していたなら、今よりもすんなりと実施できたかもしれない。2月にはイタリア国債とドイツ国債の利回りスプレッドが50ベーシスポイント(bp)も跳ね上がったからだ。ただ、足元までにスプレッドはその半分まで下がっている。

一部の銀行の資金調達コストはまだ非常に高いものの、マークイットiトラックス欧州シニア金融債CDSインデックスが示す平均スプレッドは95bpと、2015年のピーク近辺にとどまっている。

そうなると今回はより無難な措置が打ち出される可能性が大きい。ドラギ総裁は中銀預金金利のマイナス幅をさらに拡大するか、毎月600億ユーロの債券買い入れ規模を、今まで通り出資比率に沿う方式で増やす可能性がある。とはいえ、マイナス金利の拡大は銀行の収益を損なうし、現行の枠組み内での債券買い入れ増額は、ECBが自主的に定めた制限に抵触しかねない。ECBは1国の国債ないしは国債の単一銘柄の発行残高の33%を買い入れの限度としている。

ドラギ総裁にとって一番実行しやすいのは、銀行の超過準備に課している手数料を減らすか、銀行により長期で条件の緩い形で低利資金を供給するかだ。どちらも南欧の銀行が置かれている状況を幾分かは改善できる。それでもユーロ圏経済がますます必要としているような刺激策の投入とは言えないだろう。

●背景となるニュース

*ECBは10日に理事会を開く。

*イタリアとドイツの10年国債利回りスプレッドは1月4日の0.99%ポイントから2月11日には1.55%ポイントまで拡大した。足元は1.25%ポイント。

*マークイットiトラックス欧州シニア金融債CDSインデックスによると、欧州金融機関が発行する債券利回りの平均スプレッドは、1月初めの75bpから2月11日に138bpに広がった。足元は100bpで推移している。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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