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日銀は再度の総括検証必要、国債・ETF減額を=岩田一政氏
2017年8月8日 / 03:39 / 2ヶ月前

日銀は再度の総括検証必要、国債・ETF減額を=岩田一政氏

[東京 8日 ロイター] - 岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)はロイターとのインタビューで、物価2%目標の実現が依然として遠い中、日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)政策や量的緩和の効果などについて、あらためて総括的な検証を行うことが必要と語った。その際、信頼できる物価見通しを示したうえで、長期国債や上場投資信託(ETF)の買い入れを徐々に減額し、政策の持続可能性を高めることが重要とした。

 8月8日、岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁、写真)はロイターとのインタビューで、物価2%目標の実現が依然として遠い中、日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)政策や量的緩和の効果などについて、あらためて総括的な検証を行うことが必要と語った。写真は都内で2012年9月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

物価1%程度が確実な状況となり、デフレに後戻りしないことが確認された段階で、ゼロ%程度としている10年国債利回り(長期金利)の操作目標の見直しに着手してもいいと指摘。具体的にはゼロ%の対象年限を現行の10年から5年などに短くすることが有効との認識を示した。

来年4月に任期を迎える黒田東彦総裁の後任については、出口政策を円滑に進めるためにも、大規模緩和を推進してきた黒田氏の続投が最適と語った。

インタビューは7日に実施した。主な内容は以下の通り。

──日銀は7月の金融政策決定会合で物価2%目標の達成時期を「2019年度ごろ」に1年先送りした。

「金融政策はフォワード・ルッキングが極めて重要だが、日銀が物価安定目標2%の達成時期を6回も先送りしたことによって、展望リポートの数字を誰も信用しなくなってしまった。経済や物価の予測は、正確で信頼できるものにすることが重要だ」

「失業率がここまで下がっても賃金・物価がなかなか上がらないのは、労働市場の構造変化やIT技術の進歩などが重なっていると思う。今の情勢では19年度中の2%達成はなかなか難しい。物価2%を中長期の目標として置いておくことはいいが、まずは物価1%(の実現)をきちんと確認することが重要だ」

──目標達成が遠い中で、今後の金融政策運営はどうあるべきか。

「昨年9月のYCC政策の導入から間もなく1年が経過するが、物価2%の実現は遠いとみられるため、再び総括的な検証を行うことが必要。具体的には、量的緩和とマイナス金利を含めた現行政策の効果に加え、1%と2%の物価上昇率がどの程度の期間で実現可能なのかを正確な予測をもとに示すべき。そのうえで、持続可能なかたちに国債やETFなどの資産買い入れの減額を検討すべきだ」

──国債・ETF買い入れの減額の進め方は。

「YCCは金利政策であるにもかかわらず、年間80兆円の国債買い入れという量も同時に掲げていることに無理がある。すでに60兆円程度に買い入れを減らしており、金利政策主導であることを強調しながら、徐々に新規国債発行額程度の40兆円ペースに減らすべき」

    「ETFについても、どのくらいまでリスクプレミアムが縮小すれば買い入れを止めるのか、条件が明確ではない。そもそもETFの買い入れには、銀行株が入っていることによる利益相反の可能性や、市場の流動性への影響、コーポレート・ガバナンス上の問題など弊害がいくつもある」

「現在の1万9000円から2万円という日経平均株価の水準は、ファンダメンタルな株価に近いと考える。それなのに、年間6兆円ものETF買い入れを続ける必要があるのか。減額によって株価にマイナスの影響もあると思うが、多少下がってもファンダメンタルな株価の範囲内に収まるのであれば、大きな問題にはならないだろう」

──長短金利の操作目標はどうするのか。

「物価が1%よりも大きく下がらない、デフレに戻らないことが確実な情勢になれば、現在のゼロ%程度という長期金利の操作目標を見直してもいい。金融機関収益に与える影響としては、マイナス0.1%の短期金利よりも、10年までゼロ%になっていることの方が大きい。金融庁が地域金融機関にビジネスモデルの転換を促しているが、すぐに転換はできない。このままゼロ%の長期金利を続ければ、地域金融機関の経営に問題が出てくる可能性がある」

「長期金利の操作目標を見直すには2つの方法がある。1つは現在の0.1%の許容範囲(上限)を0.5%などに拡大すること。もう1つは、ゼロ金利の年限を現在の10年から、5年などに短くすること。私は後者が有効だと思う」

「今後、金融正常化の局面では、短期金利の将来のパスと整合的になるように長期金利を調整していくことが自然。そのために日銀がやるべきことは、コミュニケーションと透明性の改善という観点からも、米連邦準備理事会(FRB)のように短期の政策金利の見通しを示すことだ。これも次の総括的な検証の議題に設定すべきだと思う」

──黒田総裁は来年4月に任期を迎える。

「これまでの経緯をよくご存じの黒田総裁に最後までやっていただくのがいいのではないか。金融緩和の出口をきちんと見届ける、アベノミクスを最後までやり遂げるのに最適なのは黒田総裁だろう」

伊藤純夫 木原麗花

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