環境特集:地球の危機が現実化、混迷する政治に変化の兆し
[東京 19日 ロイター] 今年7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)でメーンテーマとなる地球環境問題が、金融・資本市場の行方にも大きな影響を与えだした。問題の解決に向け、国際政治の舞台で大きな枠組みを作る動きが本格化する一方、民間レベルでも二酸化炭素(CO2)の削減に向けた取り組みが幅広く始まった。
ロイターは日本やその他主要国の取り組み、排出量取引に代表される新たな市場メカニズム、新技術の開発にビジネスチャンスを求める企業の動きなどを5回シリーズで検証する。
<50年後の東京は鹿児島並みの暑さに>
ギラギラと照りつける太陽がアスファルトに跳ね返り、気温は午前中だというのに35度に接近した。テレビのニュースでは「きょうも熱中症で病院に運び込まれる人が続出し、救急車の出動が増えています」というアナウンサーの絶叫調の声が流れ、冷房のフル稼働で電力の供給不足が危ぶまれる──。50年後の東京で猛暑を通り越し、中東並みのしゃく熱の夏がやってくるということが、空想ではなく現実に近づきつつある。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が昨年発表した第4次報告書は、今世紀末までに経済成長社会では約4度(2.4度─6.4度)、経済と環境を両立する社会で約1.8度(1.1度─2.9度)、気温が上昇すると予測した。人類は、石炭や石油、天然ガスといった化石燃料を燃やし続けることで文明を拡大させ、繁栄を享受してきた。だが、今のようなペースで化石燃料の利用を続けると地球温暖化がさらに進行し、干ばつや大洪水など異常気象が増大、人類への脅威が確実に高まる。科学者たちの警告は、今では世界の共通認識として広がっている。
今世紀末までに約4度気温が上昇するとどうなるか。中間時点となる50年後の東京は、年間平均気温が2度上昇して鹿児島市並みとなる。国立環境研究所・温暖化リスク評価研究室長の江守正多博士は「35度以上の猛暑日が現在の年間3日から20日に急増、最低気温が25度を下回らない熱帯夜は、30日から2倍近い54日になる。夏は1カ月長くなり、熱中症患者が急増。暑さで死亡する人が急激に増える」との予測を示す。
怖いのはそれだけではない。日本のような雨の多い地域では、集中豪雨が多発して洪水や土砂崩れなどの災害を増やす可能性が高い一方、少雨の地域は気温上昇で一段と乾燥化し、世界の穀倉地帯での干ばつによる食糧危機の可能性が一段と高まる。
シロクマの命を奪っている北極の氷減少は、さらに深刻だ。1979年から2000年までに氷は20%減少、さらにそのスピードが速まる可能性がある。グリーンランドの氷床は予想以上の速さで溶け始めており、溶けないとの学説もあった南極の氷もこの数年で減っていることが人工衛星での観測でわかった。江守氏は「どれくらいの確率で起こるか分からない」と断りながらも、「氷が溶け始めて流れ出して止まらなくなることは、あり得ないことではない。グローバルな海面上昇を起こし、深刻だと思う」と警告している。 続く...












