環境特集:主要排出7カ国でセクター別を実践、中印にも浸透
[東京 26日 ロイター] 二酸化炭素(CO2)排出量を削減する手法として、日本の産業界が推進する「セクター別アプローチ」。先進国から途上国への技術移転を通じて、省エネルギーや環境に関する先端技術を普及させることで排出量の削減を図る。
すでに経済産業省と産業界は、主要排出国の7カ国の枠組みで、中国やインドと実践的にセクター別アプローチを展開している。その最前線を追った。
ポスト京都の枠組みの国際交渉でし烈な駆け引きが繰り広げられる一方で、日本経団連・地球環境部会長の猪野博行・東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)副社長は「セクター別アプローチに対して中国・インドの理解を得るのは難しくない。途上国の理解は徐々に浸透している」と話す。すでにAPP(クリーン開発と気候に関するアジア・太平洋パートナーシップ)の枠組みで、産業別の協力活動が現実的に進んでいるからだという。
APPは、2006年に省エネ・環境技術を協議するために活動を開始した官民協力の国際機関。構成国は、日本、米国、中国、インド、豪州、韓国、カナダの7カ国で、全世界のCO2排出量の約54%(146億トン)を占める。米国が京都議定書の対抗として打ち出した色が強く、日本が提案するセクター別アプローチよりも先行してスタートしたが、産業界では、国境を越えた省エネ・環境の技術協力の協議が進められてきたため、セクター別アプローチの実践の場として意識されている。APPの中には、電力、鉄鋼、セメントなど8業種の作業部会が置かれ、日本は、鉄鋼とセメントで議長ポストを手に入れた。
この鉄鋼作業部会の活動を通じて日本の鉄鋼業界は、昨年末から中国とインドの製鉄所に技術者を派遣。省エネルギーの程度に関する診断・調査を行った。新日本製鉄(5401.T: 株価, ニュース, レポート)、JFEホールディングス(5411.T: 株価, ニュース, レポート)、住友金属工業(5405.T: 株価, ニュース, レポート)、神戸製鋼所(5406.T: 株価, ニュース, レポート)に日本鉄鋼連盟が加わる構成で、昨年12月中旬に中国の太原鋼鉄(山西省)、済南鋼鉄(山東省)、江陰興澄特種鋼鉄(江蘇省)の3製鉄所、今年1月中旬にはインドの鉄鋼公社(セイル)(SAIL.BO: 株価, 企業情報, レポート)の製鉄所を調査団が訪れた。
<途上国は省エネ技術に関心>
調査団長を務めた神戸製鋼環境防災部の下里比佐志さんは、実際の診断・調査の結果、CO2の排出を抑える省エネ設備の改善余地が思いのほか高いことに驚いた。調査の結果、エネルギー効率の改善余地は10%前後にも上るとわかったからだ。中国の済南鋼鉄は新鋭の設備で合理化が進んでいると事前に聞いていたが、それでも事前の予想に比べて、改善余地は相当に大きいと感じた。これが小規模な古い製鉄所であれば、さらに非効率なエネルギーの使われ方になっていたのではないか、と感じられた。
インドのセイルは、タタ製鉄(TISC.BO: 株価, 企業情報, レポート)と並ぶ規模の最大手の鉄鋼メーカーだが、設備の合理化や近代化が進んでおらず、中国よりも効率が悪いことが確認された。こうした中国やインドでの調査を踏まえ、世界的にCO2を削減するにはセクター別アプローチが「非常に効果がある」手法と認識したという。 続く...













