環境特集:世界の排出量取引をめぐる動き
[東京 3日 ロイター] 排出量取引とは、国や企業といった二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出主体に排出の上限(排出枠)を設定し、上限を超えた分や余った分を売買すること。京都議定書では国同士が排出量取引を行うことを認めている。
排出量取引の代表的な形態が、工場や事業所などに排出枠(キャップ)を設け、過不足する分を売買(トレード)する「キャップ・アンド・トレード」方式。義務的な排出枠の設定がポイント。総排出枠をあらかじめ決めて企業に割り当てるため、企業は自分に割り当てられた排出枠さえ守ればよく、CO2排出削減の確実性で優れている。ただ、すべての企業が納得するかたちで排出枠を割り当てるのは難しい。
これに対して、「ベースライン・アンド・クレジット」方式は、企業が他の企業に省エネ設備を入れることでCO2排出削減プロジェクトを実施すると、何もされなかったとき(ベースライン)に比べて削減された分を排出枠(クレジット)として売買を認める。
日本企業が京都議定書の枠組みで、エネルギー効率の低い中国などで実施して排出枠を獲得しているのが代表例。個々のプロジェクトごとに排出枠を得るため、個別の企業の事情を勘案しやすい。しかし、省エネプロジェクトが実施されなかった場合の排出量の見通しと、実際の削減量を計測するのに手間と時間がかかる。理論的にはキャップの概念はないが、実際には日本企業が自主行動計画を設定するなど、排出枠の不足した企業がこの方式で調達するケースが多い。
各地域・国における排出量取引の実施状況や計画は以下の通り。
◎欧州連合(EU)
2005年1月からEU域内での排出量取引制度「EU―ETS」を開始。発電所、石油精製、製鉄、セメントなどエネルギー多消費施設約1万1500カ所を対象とした。EU各加盟国が対象施設に排出枠を交付。対象とする温室効果ガスは、これまでのところCO2のみだが、2013年以降に追加の予定。
2005―07年を対象期間とした第1フェーズでは、排出量の目標を3年間平均で05年比8.3%増と甘く設定。総排出枠に余剰が出ることが明らかになり、排出枠の価格は2006年後半から2007年にかけて急落。さらに、第1フェーズの排出枠は2008―12年を対象とした第2フェーズに持ち越しできなかったため、投げ売り状態となった無価値状態となった。 続く...












