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米FRB議長が議会証言、追加緩和の具体的な手掛かり示さず
2012年7月17日 / 15:37 / 5年前

米FRB議長が議会証言、追加緩和の具体的な手掛かり示さず

7月17日、米FRBのバーナンキ議長は上院銀行住宅都市委員会で半期に一度の金融政策報告を行い、米経済支援に向け追加緩和を行う用意があると述べた。新たな手掛かりについてはほとんど示さなかった。写真は同委員会で証言する議長(2012年 ロイター/Yuri Gripas)

[ワシントン 17日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は17日、上院銀行住宅都市委員会で半期に1度の金融政策報告を行った。その中で議長は、米経済の見通しについて慎重な見方を示したが、FRBが追加緩和の実施に近付いているかどうかという点については具体的な手掛かりをほとんど示さなかった。

議長は、欧州債務危機や米財政政策をめぐる懸念が景気回復の足かせになっていると述べたほか、国内の雇用市場について不安感を強調した。

その上で景気支援に向けて活用可能な一連のツールを検討していると語ったが、「失業率の低下ペースの遅さ、および経済成長への下方リスクをめぐる懸念を反映し、FOMCは6月会合の声明で、追加措置を講じる用意があると明確に表明した」と述べるにとどめ、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)声明で示した状況注視の姿勢は崩さなかった。

市場では、FRBが景気てこ入れのため量的緩和第3弾(QE3)に近付きつつあることをバーナンキ議長が示唆するとの期待が一部で浮上していた。

米株式市場は議長の証言直後には下落したが、その後は一部企業の予想を上回る業績見通しを好感してプラスに転じた。米国債の価格は下落した。

コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジの首席市場アナリスト、オマー・エシナー氏は「市場はFRBによる早期の政策措置に関する何らかのシグナルを期待していたが、明らかにそれは得られなかった」と話した。

<「雇用市場のぜい弱さは単に季節要因だけでは説明できない」>

FRBは2008年12月以来、事実上のゼロ金利政策をとっており、長期金利の押し下げに向け、2兆3000億ドル相当の政府債やモーゲージ関連証券の買い入れを実施した。それでも景気回復の足取りが重いことを踏まえ、FRBは超低金利を少なくとも2014年まで継続すると約束。6月のFOMCでは、ツイストオペの延長を決定した。

次回のFOMCは、7月31日─8月1日に予定されている。次回会合で追加的な刺激策が決まると予想するエコノミストは少ないが、早ければその次の9月会合で追加緩和が行われると予想する向きは多い。

ルービニ・グローバル・エコノミクスのヌリエル・ルービニ会長は「追加的な量的緩和は、それが実施されるかどうかという問題ではなく、いつ行われるかという局面に入っている」との見方を示している。

FRBの積極的な景気支援策にもかかわらず、米経済の成長はぜい弱で、失業率を低下させるには至っていない。第1・四半期の米国内総生産(GDP)は前期比年率で1.9%増とさえなかった。エコノミストは、第2・四半期の成長率は第1・四半期を下回ると予想している。

バーナンキ議長は、インフレ率が急上昇するリスクは低いと指摘。物価が広範囲に下落するリスクが小さいながらある、との見方を示した。

議長は、労働市場に改善が見られないことが明確になった場合、あるいはデフレリスクが生じた場合に、FRBとして一連の追加景気刺激策を検討すると言明。選択肢として、米国債やモーゲージ担保証券(MBS)などの追加買い入れに加え、連銀窓口貸出や超過準備金利引き下げ、時間軸政策などコミュニケーションツールの利用などを挙げた。

このところの雇用市場の悪化については、現在8.2%の水準にある失業率が極めて緩慢にしか低下しない可能性を示唆していると指摘し、雇用市場のぜい弱さが単に季節要因だけでは説明できないことを初めて認めた。

JPモルガンのエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は、議長が今回示した景気認識について、先週公表された6月FOMC議事録の内容よりも「若干ながら、よりダウンビート(悲観的)」との見方を示した。

<国内外に問題山積>

国際的な指標金利であるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)を銀行やトレーダーが操作したとされる問題については、金融市場に対する信頼感を損なうと指摘し、各行が借り入れコストの推定を申告する形で行われているLIBOR算出方法には「構造的な欠陥」があるとの認識を示した。

ただ、LIBORは英国銀行協会(BBA)が算出しているため、FRBが改革を進める権限は限られているとした。

年明けに減税失効と歳出の自動削減開始が重なる「財政の崖」問題をめぐっては、議会が行動しなければ米経済はリセッション(景気後退)に陥る公算が大きいとして、あらためて懸念を表明。急激な歳出削減や増税を短期的には回避しながら、信頼ある長期の財政再建計画を策定することの重要性を強調した。

また財政政策をめぐる不透明感に加え、中小企業や消費者向け融資状況のひっ迫が回復を阻害していると述べた。

欧州問題にも言及し、「欧州の金融市場および経済はなお著しい緊張下にあり、米国も含め、域外の金融市場や経済に影響が及んでいる」との見方を示した。

その上で、FRBは欧州当局者と緊密に連絡を取っているとし、米金融システムが衝撃への耐久性を引き続き維持することを確実にすると述べた。

*内容を追加しました。

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