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バーナンキ米FRB議長の会見要旨
2012年12月12日 / 20:12 / 5年前

バーナンキ米FRB議長の会見要旨

12月12日、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は12日、連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見を行った。ワシントンで同日撮影(2012年 ロイター/Kevin Lamarque)

[ワシントン 12日 ロイター] バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は12日、連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見を行った。 発言内容は以下の通り。

<潜在成長率は多少鈍化の可能性>

少なくとも一時的ではあるにせよ、金融危機に伴い米経済の基調的な潜在成長率は多少鈍化した可能性があると認識している。すなわち起業や投資、技術革新などが損われ、最低でも一定の成長率鈍化の部分要因になっていると考えられる。

<「崖」の影響すでに表明化>

「財政の崖」はまだ転落が決定的になる時点に到達していないとはいえ、その影響はすでにはっきりと表れており、先行き不透明感や悲観的心理という形で企業の投資や採用決定に影を落としている。

<予測は一般の認識と概ね一致>

われわれの予測は、一般の認識、公開情報と概ね一致するとみている。したがって、信頼性の問題には対応できると考えている。ただ、われわれの決定にとって重要な予測は、委員会が集団でまとめた予測だ。

<FOMCとビジネス界の予測の整合性>

現時点では、ビジネス界とFOMCの予測は非常に整合性がとれている。金融市場の指標、将来のFF金利の進路を見ると、これまでわれわれが提示してきた2015年半ばというガイダンスとかなり一致している。

<資産買い入れの住宅ローン金利への効果波及>

われわれの分析では時間がかかる。MBSの利回りが住宅ローン金利に100%波及するとはみていないが、われわれの実証的・理論的な分析──われわれはこの問題でかなりの研究を行っている―─時間の経過とともに、MBS利回りの低下分の大部分が住宅ローン金利に波及している。

したがって、時間の経過とともに、完全な恩恵が、もしくは恩恵の大半が、個人顧客に感じられると予想している。実際、9月以降、個人向けの住宅ローン金利はかなり大幅に低下している。

<6.5%という失業率の基準について>

冒頭で述べたように、6.5%という数値基準は目標ではない。緩和縮小を開始する可能性のある時期に関する道標だ。実際にはそれより遅くなる可能性もあるが、少なくともそれまでは、それよりも早い時期には(始まらない)というものだ。したがって、反応関数やテーラールールに近いものだと言ってもいいだろう。

<経済成長の過大評価>

われわれが、景気回復期の初めから、成長ペース、総生産の伸び、GDP(国内総生産)伸び率を過大評価してきたと言うのが適切かもしれない。このため、成長予測の下方修正を続けることが必要だった。

<議会の行動>

議会は最低でも悪影響を及ぼさないよう努めるべきだというのが私の立場だ。この時点で景気の回復を大幅に遅らせたり、景気回復の腰を折るような政策を避けるよう努めるべきだと考えている。

<出口戦略に変更なし>

出口戦略は主に、どのようにしてバランスシートを徐々に正常化させるかというものだったが、現時点で、われわれはこれを大幅に変更してはいない。

FRBのバランスシートのある程度の拡大は、1年半前に議事録の中で示した全般的な見通しと、今も整合性が取れている。

こうしたことを踏まえると、バランスシート(の規模)が拡大し尽くした場合、FRBは(買い入れの)ペースやタイミングを再考しなくてはならなくなる可能性もある。

<数値基準は金利がたどるべき道筋と一致>

われわれが示した数値基準は、金利(水準)がたどらなくてはならない道筋に関する、われわれの長期的な見解と完全に一致している。これは、インフレ率を目標近辺にとどめながら、労働市場を改善させるために金利がたどる必要のある道筋だ。

<利上げのスピード>

インフレが引き続き非常に抑制されていれば、私はそうなると予想しているが、利上げペースは緩やかだろう。

<経済見通しは財政の崖問題の解決が前提>

FRB当局者全員が明確に示しているわけではないが、引き締めの影響は依然残るものの全面的な緊縮措置は回避するといった中庸な着地点で財政の崖問題が解決されるとの前提に立って、当局者は見通しを立てていると思う。

そのため、財政の崖は解決されるとの見方が、大半の当局者の経済予想の根底にあると考える。

<段階的な緩和解除>

私見では、緩和の解除はどの時点が出発点になろうとも、相対的に段階的なものになると予想している。速いペースになるとは思わない。インフレ水準やその他の条件次第であることは言うまでもない。

<長期失業率>

長期の持続可能な失業率について正確な予想はない。きょうの経済見通しのなかで示されている(長期)予想はしばらく変わっておらず、5.2―6%となっている。長期的には6.5%を大きく下回る可能性があるということだ。

<経済が「崖」から転落した場合の資産買い入れ拡大の可能性>

経済が実際に「財政の崖」から転落した場合、われわれの分析や議会予算局(CBO)の分析、外部機関の予測ではいずれも、経済と失業率に極めて大きな悪影響が及ぶと予想している。

したがって、周辺的な取り組みとしてFRBは可能な措置を講じるよう努める。(資産買い入れを)若干拡大するかもしれない。しかし「財政の崖」による全ての影響をFRBとして相殺することはできないという点をあらためて明確にしておきたい。現時点でわれわれが利用できる手段や政策手段の限界を踏まえると、影響は大き過ぎる。

<「財政の崖」の影響を相殺する手段をFRBは持たず>

「財政の崖」が現実にならないことを願っているが、現実になった場合、何度も述べてきたように、相殺できる手段をFRBが有しているとは思わない。

<刺激策の規模>

緩和の規模が、前月と比べて大幅に拡大したとは考えていない。これは少なくとも私自身、および多くのFRB当局者の見解でもあるが、重要なのは(FRBの)バランスシートの資産の欄に、どのような種類の資産が記載されているかということだからだ。

重要なのは、FRBが米国債、およびモーゲージ担保証券(MBS)を買い入れ、市場から取り除くことにより、強制的にこれらとの関連性が強い他の資産に投資させているということだ。

(景気は)こうしたことにより刺激されるもので、バランスシートの規模そのものによる刺激効果はそれほどではない。

私自身の判断によれば、刺激の程度はおおむね同等だ。9月以降行われていることが、単に継続されているだけだ。

<数値基準での合意>

前回の会合で数値基準というアプローチをめぐり非常に踏み込んだ議論を行い、実施・発表の準備ができていると考えた。数値基準というアプローチについて様々な見解や側面がある一方、金利政策と経済情勢の間により明示的な関連付けをすることは、期日に基づくガイダンスよりも透明性が高く、市場や国民にとってより有益との意見で多くの一致が見られた。このため、少なくともある時点でそのようなガイダンスに変更すべきとの一般的見解があった。数値基準のアプローチがより有益となり、今後われわれがどのような対応を講じるかについて市場により多くの情報を提供できることを望んでいる。

<金利ガイダンス>

政策金利の引き上げについてはよく理解されており、われわれは利上げと経済の状態との関係を理解している。このため一段と量的で具体的なガイダンスにすることが可能となっている。

<財政政策>

しかし、何度も強調しているように、金融政策には限界がある。民間・公共部門が協力して初めて米経済は完全に軌道に戻る。とりわけ財政政策立案者が早期に一丸となり、進行中の景気回復を妨げる政策をとることなく長期的な財政の持続可能性を実現することが不可欠だ。

<資産買い入れ>

資産買い入れは、あまりよく理解されていない手段だ。われわれは時間をかけてその効果や、生じ得る意図しない影響という点でどういったコストを伴うのかを学んでいく。ほかにも、例えば達成したいと考える失業率の水準への影響という点において、どういったことが経済に起こるのかを見ていく。

こういった理由から冒頭に述べたように、われわれは現時点で資産買い入れの基準は質的な基準(訂正)とすることを決めた。

<資産購入プログラム・金利ガイダンスの目的>

資産買い入れプログラムの目的は、一段と緩和的な金融情勢をつくり出すことで、経済の短期的な勢いを加速させることだ。

金利ガイダンスの目的は、FOMCが緩和(政策)の巻き戻しを検討する将来の状況に関する情報を提供することだ。

<インフレ見通し>

FOMCは、インフレの数値基準について、現時点でのインフレではなく、むしろ1─2年先のインフレ見通しを採用することにした。

こうしたアプローチをとったのは、国際的に取引されるコモディティ(商品)価格などに起因するインフレの単に一時的な変動には大まかに目を通す一方で、基調的なインフレトレンドに注目するためだ。

<「いかなる単一の指標」も不十分>

いかなる単一の指標も労働市場の完全な評価を提供できないことをFOMCは認識している。したがって、労働市場の状況に関するより広い文脈の中で失業率の変化を検証する。

一例を挙げると、失業率の一定の低下を評価する際、その低下が、例えば意欲を失った労働者の増加や労働参加率の低下ではなく、雇用や労働時間の増加とどの程度関連しているかという点もFOMCは考慮に入れる。失業率の改善が持続可能に見えるかどうかも考慮する。

<金融政策の透明性向上>

将来的な金融政策を経済情勢に一段と明確に関連付けるわれわれのこの政策ガイダンスは、金融政策の透明性と予測可能性を高めることにも貢献する。

<政策は自動操縦ではない>

修正されたガイダンスは、決して金融政策を自動操縦のように行うものではない。FOMCは現在の低金利政策について、少なくとも設定された基準値が満たされるまで適切である可能性が高いと考えている。しかし、基準値の1つに達すれば自動的に政策の緩和度合いを直ちに弱めるということではない。

<緩和的政策>

失業率が高水準でインフレも抑制されている経済状況の下で、FOMCは非常に緩和的な政策を維持していく。

<FRBの柔軟性>

より一般的に、FOMCは、見通しに関する情報および(買い入れ)プログラムの効果とコストに関する情報に基づき、証券買い入れペースの変更について柔軟に対応する意向だ。

<労働市場の著しい改善確認する必要>

第一に、資産買い入れは物価安定の下で労働市場の著しい改善を確認するまで継続すると予想している。(改善の)進展状況を評価する上で、FOMCは失業率や雇用者数、労働時間、労働参加率など一連の雇用指標を検証する。

*内容を追加して再送します。

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