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焦点:韓国、THAAD配備でも北朝鮮ミサイルの脅威は消えず
2017年3月8日 / 09:35 / 6ヶ月前

焦点:韓国、THAAD配備でも北朝鮮ミサイルの脅威は消えず

 3月8日、北朝鮮による6日のミサイル発射は、同国が複数の中距離弾道ミサイルを正確に発射できることを証明した。写真はTHAADの配備作業、提供写真(2017年 ロイター/Yonhap)

[ソウル 8日 ロイター] - 北朝鮮による6日のミサイル発射は、同国が複数の中距離弾道ミサイルを正確に発射できることを証明した。専門家らは、北朝鮮のこうした攻撃戦術について、7日に韓国への配備が始まった米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の性能を試す機会になる可能性があるとみている。

北朝鮮のミサイル開発の進展には、日本政府も神経を尖らせている。政府に近い関係筋らは、複数のミサイルによる「飽和」攻撃が日本の防衛力を圧倒しかねないの懸念を示した。

北朝鮮は6日朝、同国西岸から弾道ミサイル4発を日本海に向けて発射した。北朝鮮国営メディアの写真には、最高指導者の金正恩・朝鮮労働党委員長がこの発射を指揮した様子が映っている。

米国は対抗措置として、中国の反対にもかかわらず、韓国へのTHAAD配備を開始した。

THAADは、敵の弾道ミサイルを飛行過程の最終段階(大気圏に再突入した段階)で迎撃・撃破するためのミサイル。

ただ、仕様は機密で、戦時に使われたこともないため、複数のミサイル攻撃に対抗できるかは不明だ。

軍縮問題の米専門誌「Nonproliferation Review」の編集者ジョシュア・ポラック氏は北朝鮮のミサイル発射について、複数のミサイルを使い、ほぼ同時に発射したことは、レーダーの圧倒を目的にした予行演習との見方を示した。

韓国の軍や情報機関当局者らは、北朝鮮の4発の弾道ミサイルをスカッドミサイルの射程を延ばした改良型「ER」スカッドと分析。

米ミドルベリー国際大学院のジェフリー・ルイス氏は「ノドンに対するERスカッドの利点は、ERスカッドがずっと安価な点だ」と指摘。「北朝鮮はTHAADを圧倒するために、より多くのERスカッドを作ることが可能になるだろう」と述べた。

国際戦略研究所のロケット専門家、マイケル・エレマン氏によると、大半の専門家は、THAADを無力化するには北朝鮮が4発以上、恐らくは10発の弾道ミサイルを同時に打ち込む必要があるとみている。

同氏は「4発のミサイル攻撃でTHAADが無力化されれば失望するだろう」と語った。

THAADを開発した米ロッキード・マーチン(LMT.N)はコメントを差し控えた。

米国防総省のロス報道官は「THAADが一度に対応できる脅威の具体的な数字は機密事項だが、複数のターゲットへの対応能力は証明済み」としている。

オールソース・アナリシスのアドバイザー、ジョゼフ・S・ベルムデズ氏は、北朝鮮は理論上、さまざまな種類の弾道ミサイルを少なくとも36発同時発射できるに足る発射台を保有していると指摘。こうしたリスクに対抗するため、韓国、日本、米国が異なるミサイル防衛システムを多層に構築し、脅威を減らすために協力することができると述べた。

「3カ国が力を合わせ、システムを統合すれば、多大な相乗効果が得られる」という。

韓国は新たなTHAADに加え、パトリオットPAC─3を配備。日本はPAC─3を改良中で、THAADまたは陸上配備型のイージス弾道ミサイル防衛システムの導入を検討中。

韓国に配備されたTHAADは移動可能な発射台、迎撃用ミサイル、高性能レーダー、射撃管制システムの4部分で構成。

ドイツのロケット工学情報処理専門家、マルクス・シラー氏は「迎撃ミサイルの数は限られており、1つのTHAADシステムが一度に対応できる数も限られている」と指摘。「THAADは試験ではうまくいったが、実際の戦闘で使われたことはない」と付け加えた。

一方、米ミサイル防衛局が「世界最大のXバンドレーダー」と呼ぶTHAADの早期警戒レーダーが対中関係の緊張を招いている。

韓国への配備が完了すれば、THAADは理論的には北朝鮮の先の中国領土の動きもモニターできるようになる。

ロシアも配備によって自国の安全保障が脅かされることを懸念している。

米太平洋軍は韓国へのTHAAD配備開始に伴う声明で、システムは「防衛のための装備」であり、「地域のほかの国に脅威とはならない」と強調した。

聯合ニュースによると、THAADは、構成する「最初の装備」が届いたにすぎず、残りは4月に届く予定という。

THAADがソウル近郊のオサンに配備されることは、ソウルが防衛範囲から外れることを意味する。

しかし、北朝鮮の従来型兵器の多くはもともとソウルに照準を定めており、北朝鮮は旧ソビエト時代の兵器を使ってソウルを「火の海」にするという脅しを実行することも可能だ。

(James Pearson記者)

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