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焦点:米債務上限問題、変動利付債導入で沈静化も
2013年11月5日 / 06:37 / 4年前

焦点:米債務上限問題、変動利付債導入で沈静化も

11月1日、米財務省が今週公表する変動利付債という新たな調達手段により、今後の財政をめぐる論争の緊迫感が幾分緩和されていくかもしれない。ワシントンの連邦議会議事堂で10月撮影(2013年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 1日 ロイター] -米国で10月に与野党の財政協議が行き詰まってデフォルト(債務不履行)の危機に陥った際に、政府は木曜日ごとに財務省短期証券(Tビル)で多額の調達を強いられる状況に不安を表明していた。短期でつなぐ資金調達はコストが安いが、債務上限に関する議論が続く中で投資家の米国債に対する信認が突然失われる事態にはもろいからだ。

しかし財務省が今週公表する四半期入札の詳細には、変動利付債(FRN)という新たな調達手段が盛り込まれ、今後の財政をめぐる論争の緊迫感が幾分緩和されていくかもしれない。

FRNの導入は、過去10年間で膨らみ続けた財政赤字の穴を埋めるために劇的に発行量が増えたTビルへの依存度を引き下げようとする財務省の取り組みの一環だ。

この計画では期間2年のFRNの入札が来年1月から定期的に実施される。利回りは3カ月物Tビルに連動して上下し、当初の調達資金は1年未満に償還期限を迎える債務の借り換えに充当する。

つまりFRNが米国の納税者の将来における利払い負担を高めることは恐らくないだろう。またライトソンICAPのエコノミスト、ルー・クランドール氏は、いずれFRNにより債務上限をめぐる議論に多少なりともゆとりが生まれる可能性があるとの見方を示した。

同氏は「時間が経過するにつれて、FRNプログラムは木曜日ごとに借り換えが必要なTビルの規模を実質的に減らせる」としている。

もっとも、政府のTビル依存度の大きさを踏まえると、そうした形が実現するまでには長い時間を要するだろう。

財務省は2009年以降、債務の平均償還年限(デュレーション)を長期化してきたものの、全体の約4分の1はなお満期が1年以内となっており、この割合は20年前の2倍だ。

6日には財務省が来年第1・四半期の具体的なFRN発行規模を明らかにするが、当局者が4月の段階で銀行や投資家に伝えたところでは、検討されているFRNの発行は月100億─150億ドルと、国債発行全体からみると極めて規模は小さい。

だから来年2─3月に予想される次の債務上限をめぐる議論においては、引き続き大規模なTビルの借り換えを想定することになる。

<投資家は食指動かすとの見方も>

米政府が債務のデュレーション長期化を熱望する一方で、投資家の間では短期債の需要が急増している。国際的に推進されている規制で世界各国の銀行は、すぐに換金できたり、金融取引の担保に使えるようなより低リスクの資産を保有するよう求められているからだ。

2年物FRNはこうした新規制の下での流動性や適格担保の基準を満たしそうで投資家を引き付けるだろう、とMRVアソシエーツのマネジングプリンシパル、マイラ・ロドリゲス・バラダレス氏は指摘する。同社は銀行に対して、新規制の実施に関する助言を行っている。

FRNを保有する投資家はTビルに比べて頻繁にポートフォリオの入れ替えをしなくても済み、海外の中央銀行や事業会社、マネー・マーケット・ファンド(MMF)などが購入すると見込まれている。

ロドリゲス・バラダレス氏は「世界的な需要があるだろう」と話した。

ただ、潜在的な買い手の中からはFRNの存在意義に懐疑的な声も出ている。

ダブルライン・キャピタルで530億ドルの政府債資産を運用するグレゴリー・ウィットレー氏は、3カ月物Tビルからは得られないほど大きなリターンを2年物FRNから得られるとは考えていない。もし投資家が現在のエコノミストと同様に向こう2年間で金利が上がる方向に賭けたいと考えるなら、3カ月物Tビルと2年物FRNの提供する運用利回りはほとんど変わらなくなるだろう。

ウィットレー氏によると、資産管理の点でも、コンピューター化されているので投資家もしくは財務省にとってTビルを数カ月ごとに乗り換えていく上で負担はかからない。さらに10月のデフォルト危機の真っただ中でさえTビルの札割れについて現実的なリスクは生じなかったので、財務省としてTビル発行を減らすメリットは、それほど大きくないだろうという。

それでもFRNは財務省のデュレーション長期化計画に沿っており、入札のスケジュールをより柔軟に組むことができる。

財務省のルーサーフォード次官補はロイターに対して、FRNは「わが国の債務のデュレーションを延ばすという現在取り組み中の目標を後押しする新たな手段を提供してくれる」と強調した。

(Jason Lange記者)

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