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政府が東電支援枠を9兆円に拡大、国民負担拡大の公算
2013年12月20日 / 04:07 / 4年前

政府が東電支援枠を9兆円に拡大、国民負担拡大の公算

12月20日、政府は原子力災害対策本部会議を開き、東京電力に対する支援拡大を決定。写真は同社のロゴ。2011年12月撮影(2013年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 20日 ロイター] -政府は20日、賠償や除染に関する東京電力(9501.T)への資金支援枠を現在の5兆円から9兆円に拡大することを決定した。

除染で出た土を保管する施設の建設費として1.1兆円の国費を投入するほか、2.5兆円の除染費用も国が肩代わりする。政府は保有する東電株を将来売却することで費用回収を図るとしているが、全額回収は困難とみられ、不足分はいずれ国民負担として転嫁される可能性が高そうだ。

同日午前に開いた「原子力災害対策本部会議」(本部長:安倍晋三首相)で決定した。安倍首相は会議の締めくくりで、「福島第1原発の事故収束に向けた取り組みを強化し、国が前面になって福島の復興を加速する」などと語った。

<支援拡大、東電要請に応えた安倍政権>

2011年3月に発生した福島第1原発事故を受け、民主党前政権が「原子力損害賠償支援機構法」に基づく東電支援策を決定。政府と電力業界が出資する「原子力損害賠償支援機構」に5兆円の交付国債を発行し、同機構を通じて政府は東電に資金支援を行い、東電が被害者に対する賠償金支払いに当たってきた。これまでに約3兆8000億円の資金支援が決定、3兆2000億円あまりが被害者に渡った。資金支援は、東電が自らの稼ぎを原資に将来にわたって返済する。

ただ、賠償費用が現在でも5兆─6兆円の規模に達すると見込まれ、5兆円の上限はいずれ引き上げが必要とみられていた。また、議員立法による特別措置法では除染費用や、除染ではぎ取った土を保管する中間貯蔵施設の建設費用も東電が負担する仕組みだが、東電上層部には除染費用の負担に対する抵抗感が根強い。

東電は昨年11月、10兆円を超える巨額な金額が見込まれる原発事故の費用負担について、「1企業のみの努力では到底対応できない」とし政府に支援枠の見直しを訴えた。また、今年春ごろから福島第1での汚染水問題が深刻化。安倍政権は、トラブル続出の事態を受けて、前政権以来続いた東電任せの姿勢を転換し、国が事故に伴う負担を分担する方針を打ち出したことが今回の支援拡大の背景だ。

<除染土壌の保管に税金投入>

新支援策では9兆円に拡大する資金支援枠を活用して国が除染関連の費用を肩代わりする。具体的には、実施済み分も含めて現在計画されている2.5兆円の除染費用については政府が交付国債の枠を利用して資金繰りを支援。政府の原子力損害賠償支援機構が保有する東電株を将来的に売却することで回収を図るとしているが、時期は未定だ。

また、中間貯蔵施設の建設費用1.1兆円分は、国のエネルギー特別会計の主要財源である電源開発促進税で賄うとしている。電促税は電力会社が販売する電気に課税される目的税で、立地対策が重要な原発推進の有力な財源だったが、今回の方針に伴い事故処理関連の財源としても活用されることになる。

<除染費用2.5兆円、厳しい東電株売却での回収>

政府は昨年7月末、原賠支援機構を通じて東電に1兆円を資本注入して、議決権ベースで50%超を確保した。ただ、資本注入の際に引き受けた優先株は、売却する場合は普通株に転換する必要があり、株式の大幅な希薄化により株価急落を招く可能性もある。

資源エネルギー庁の伊藤禎則企画官は会議後の記者会見で、株式売却による除染費用2.5兆円の回収について、「相当大変なことだが、原賠支援機構の企業価値評価では不可能ではないと聞いている」と説明。株式売却だけでは費用回収ができない場合は、原賠支援機構法68条に基づく資金交付も想定しているという。

同法68条は、電力事業者の円滑な運営に支障が生じ、国民に重大な支障が生じるおそれがある場合、必要な資金援助を政府が行えると定めている。同企画官は、株式売却による資金回収ができない場合は、「国民負担につながり得るおそれがある」と述べた。

(浜田健太郎)

*内容を追加して再送します。

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