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市場は「一件落着」とはいかず、地政学的リスク残り上値限定的
2014年3月5日 / 05:07 / 4年前

市場は「一件落着」とはいかず、地政学的リスク残り上値限定的

3月5日、ウクライナの緊張緩和を好感し、日本株やドル/円は上昇している。ただ、ショートカバーが一巡した後は、戻り売りに押される展開だ。写真は2012年11月、都内で撮影(2014年 ロイター/Issei Kato)

[東京 5日 ロイター] -ウクライナの緊張緩和を好感し、日本株やドル/円は上昇している。ただ、ショートカバーが一巡した後は、戻り売りに押される展開だ。

軍事衝突は避けられたものの、米国とロシアの緊張関係は続いたまま。オバマ米大統領の指導力低下も懸念されている。中国全人代は無難に開幕したが、昆明駅の無差別殺傷事件などもあり、リスクはまだ残っていると警戒されている。

<感じられない「雪解け」>

前場の日経平均.N225は200円を超える上昇となったものの、1万5000円の大台には届かなかった。ロシアのプーチン大統領がウクライナにおける武力行使は最終手段だと明言。日本株にも地政学的リスクの高まりを懸念して膨らんでいたショートポジションの巻き戻しが入ったが、「海外勢の戻り売りに押された」(大手証券トレーダー)という。

ウクライナとの国境付近で実施されていたロシアの軍事演習の参加部隊に撤収命令が発せられたこともあり、市場から最悪のシナリオとみられていた軍事衝突はいったん回避させる見通しとなった。ただ、米国側は依然として強硬姿勢を崩さず、「雪解け」はまだ感じられない。

オバマ米大統領は4日、クリミア半島におけるロシアの軍事行動をプーチン大統領が正当化していることについて「プーチン大統領は異なる解釈をする弁護士を抱えているようだが、それにだまされる者はいない」と発言。また米政府高官によると、ロシアがウクライナ問題で態度を変えなければ、オバマ米大統領はソチで6月に開かれる主要国(G8)首脳会議に出席しないと述べたという。

ドル/円も102円台前半とレンジを抜けきれずにいる。ウクライナ問題が鎮静化すれば、米経済指標などに焦点が移りやすいが、世界経済をめぐる不透明感は依然濃いという。「今回の件でオバマ米大統領の指導力低下が目立った。米景気回復を期待しながらもドルを買い上がれない大きな背景だ」とFXプライム取締役の上田眞理人氏は指摘する。

<中国の不透明感も強い>

中国をめぐる不透明感も依然強い。中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が5日開幕。2014年の国内総生産(GDP)目標を市場予想と同じ約7.5%増に設定し、この点に関しては安心感も広がった。

楽天経済研究所シニア・マーケットアナリストの土信田雅之氏は「事前には、経済構造の合理化を実現するために同目標を7.0%に定めるとの見方もあったが、景気動向に配慮した当局の姿勢がうかがえる。足元の中国経済指標は良くないものが目立っており、伸び率目標はやや高めな印象だが、今後景気対策に力を入れていくという見方につながるだろう」と述べている。

しかし、午前の上海総合指数.SSEC株は終始マイナス圏で推移。好感するそぶりはない。中国は、1日夜の雲南省昆明駅での無差別襲撃事件など、内政面で問題を抱えるほか、シャドーバンキングを含め、構造改革が今年の課題だ。経済成長とのバランスをいかにとっていくかはまだ読めず、市場では不透明感が嫌気されている。

<日欧の追加緩和に期待>

一方、不透明感が強くなる中で、市場の期待を集めているのが金融緩和だ。あすの欧州中央銀行(ECB)理事会や来週の日銀決定会合に向けて、追加緩和期待が高まっている。「国内勢は年度末が近付き動きにくくなってくるが、海外勢が期待した動きをみせている」(国内金融機関)という。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「期待を原動力にするアベノミクスにとって株価は極めて重要な指標だ。年度末の株価を気にするならば、タイミングはやや早めだが、日銀が追加緩和に動いてフォローする可能性もあるのではないか」との見方を示す。日経平均は昨年末の高値1万6291円(終値)に対し、約1350円(8.2%)低い位置にある。

政府の産業競争力会議で議員を務める慶應義塾大学の竹中平蔵教授は4日、都内で開かれた講演会で、2週間ほど前に日銀の黒田東彦総裁と会ったことを明らかにし、「消費増税により日本経済はマイナスの影響を免れないため、日銀は追加緩和を検討していると推察した」と話している。

「低金利に苦しむ運用機関は多い。昨年は世界的な株高で利益を稼げたが、今年は今のところ厳しい状態だ。金融緩和があれば、依然あふれる過剰マネーが株式などリスク資産に流れ込んでくる可能性は大きい」とアストマックス投信投資顧問・証券運用部シニアファンドマネージャーの山田拓也氏は指摘している。

伊賀大記 編集:宮崎亜巳

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