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焦点:インド版「サッチャー改革」へ、政権交代目指すモディ氏が描く未来
2014年4月7日 / 08:58 / 4年前

焦点:インド版「サッチャー改革」へ、政権交代目指すモディ氏が描く未来

[ニューデリー 6日 ロイター] -インド総選挙は10年ぶりの政権交代が濃厚となっているが、最大野党インド人民党(BJP)を率いるナレンドラ・モディ氏は昨年4月8日、小さな政府と民営化の必要性を訴える演説を行った。

4月6日、インド総選挙は10年ぶりの政権交代が濃厚となっているが、最大野党インド人民党を率いるナレンドラ・モディ氏(写真)の支持者は同氏にサッチャー英元首相の様な野心を期待している。アムロハで3月撮影(2014年 ロイター/Adnan Abidi)

同じ日、国営企業の民営化などで内外の保守派に影響を与えたマーガレット・サッチャー元英首相が死去。支持者らはモディ氏を「インド版サッチャー」だと呼んだ。

西部グジャラート州首相のモディ氏はまだ経済政策の詳細を明らかにしていないが、一部の側近や支持者の多くは、同氏にサッチャー元首相の様な野心を期待している。

こうした支持者たちは、12年前にグジャラート州で死者約1000人を出した宗教暴動をモディ氏が阻止しなかったという批判は相手にしていない。彼らにとって、モディ氏は経済を良くするために戦っているのだ。

ロンドンを拠点にする銀行家で、現在はBJPの資金集めをボランティアで手伝うデーパック・カント氏は「サッチャリズムを小さな政府や自由な企業と定義するなら、モディノミクスとサッチャリズムに違いはない」と語った。

モディ陣営は、カント氏と同様の価値観を持つボランティアスタッフを全国規模で数百人抱えており、彼らの中にはゴールドマン・サックスやJPモルガンで働いていた人もいる。

カント氏は「サッチャーは金融市場改革を行ったが、モディ政権下のインドではインフラ分野で同様のことを期待できる」と述べ、サッチャー氏の代名詞ともなっている1986年の金融ビッグバンを引き合いにモディ氏への期待感を表した。

モディ氏の側近には、著名なエコノミストや実業家もいる。彼らはモディ氏率いるBJPが、社会主義的な過去のインド政権とは一線を画し、社会福祉の削減やビジネスにおける政府の役割縮小に動くとの願望を共有している。

BJPが発表する経済政策には、製造業における大量の雇用創出や1兆ドルのインフラ開発計画の再始動など、大衆受けするテーマが並ぶとみられる。

ただ、モディ氏の最側近らとの会話からは、国の福祉プログラムの見直し計画など、総選挙のマニフェストから一段と踏み込んだアジェンダも見え隠れする。また陣営内では、エア・インディアをはじめとする一部国営企業の民営化も活発に議論されている。

モディ陣営のアドバイザーであるインドの著名エコノミスト、ビベック・デブロイ氏はロイターの取材に対し、「失業手当や助成金は必要ないというのが基本理念だ」とし、その代わり、政府はインフラ建設を通じた貧困緩和に注力すべきだと述べた。

<資産創造>

こうした内容についてモディ氏の事務所にもコメントを求めたが、まだ回答は得られていない。一方、モディ政権誕生なら財務相に就くと目されるBJP指導部のアルン・ジャイトリー議員は、同党は福祉プログラムを全面的に廃止するつもりはないと説明。「インドは少なくとも当面は何らかの貧困救済策が必要となるが、それらのスキームは何らかの資産創造に関連付けられる」と語った。

モディ新政権がどういった政策を採用できるかは、連立政権をどんな相手と組むかに左右される。最新の世論調査では、BJPは第一党に躍進する見通しではあるものの、過半数を獲得できるかは不透明な状況となっている。

しかし、モディ新政権誕生を見込み、海外で活躍する自由市場推進派が大勢帰国している。BJP指導部で政策協議に関わるトップアドバイザーの2人は、エア・インディアなど不採算国営企業の一部または完全な民営化が話し合われていることを認めている。

とはいえ、連立政権内で反発やインドの労働法などを考えれば、こうした一部政策の実現は時間がかかりそうだ。

エコノミストのデブロイ氏は「2014─15年に民営化を財務相が発表するかと問うなら、答えはノーに傾くが、いずれはというならイエスだ」と語った。

ジャイトリー議員はエア・インディア民営化の可能性について、難しい問題だと述べるにとどめた。

<福祉削減>

福祉削減に手を付けることは、イデオロギーの変化を意味することになる。

インドは20年前に自由市場改革に着手したが、現職のシン首相はここ数年、与党国民会議派のソニア・ガンジー党首の影響を受け、富の再分配に再び注力してきた。

BJPと国民会議派の舌戦はそのまま、インド出身の著名エコノミスト2人、ノーベル経済学賞受賞者のアマルティア・セン氏とコロンビア大学のジャグディーシュ・バグワティー氏の論戦に鏡写しとなっている。

モディ氏の経済学的思考は、規制撤廃を通じた経済成長による貧困削減を強く訴えるバグワティー氏の方に近い。同氏の同僚で、アジア開発銀行のチーフエコノミストだったアービンド・パナガリヤ氏は、モディ新政権で何らかの役割を果たすと言われている。

モディ氏とサッチャー元首相の類似点は、経済政策だけではない。

サッチャー氏と同様、モディ氏は政界の異端児であり、同氏をしばしば権威主義者だと責め立てる反対派を完全に無視してきた。州首相を務めるグジャラート州では、ワンマン政府だとの批判も聞かれる。

良かれ悪しかれ、インド国民の多くは、長年にわたる強いリーダーの不在に辟易しており、モディ氏が訴える実行力を評価している。

前出のカント氏は「われわれはアクション、実行者を必要としている。過去10年で日和見主義はもう十分見てきた」と語った。

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