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リスクオンは新興国市場で急減速、堅調な米雇用統計で流動性縮小懸念
2013年7月8日 / 08:58 / 4年前

リスクオンは新興国市場で急減速、堅調な米雇用統計で流動性縮小懸念

7月8日、堅調な6月米雇用統計で強まったリスクオンムードは、新興国市場で急ブレーキがかかった。写真は昨年9月、東京証券取引所で撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 8日 ロイター] - 堅調な6月米雇用統計で強まったリスクオンムードは、新興国市場で急ブレーキがかかった。米国市場では沈静化していた米金融緩和の縮小懸念が週明けのアジア市場で広がったためだ。

投資マネーの巻き戻しが進むとの不安からアジア株が軒並み下落。米株安と円安を享受していた日本株にも、一転して利益確定売りが強まった。今のところ米金利上昇による日本への影響は日銀の大量国債買入れ効果もあって限定的だが、マネーフローの変化には警戒感も出ている。

<アジア市場でムード一変>

これまでは経済指標が良かったとしても、米金融緩和の縮小観測が強まれば、株式市場ではネガティブに受け止められることも多かった。だが、前週末5日に発表された6月米雇用統計を受けたマーケットは指標の改善を素直に好感。米ダウ.DJIは147ドル高となった。市場では「量的緩和第3弾(QE3)の縮小によるネガティブ・インパクトは株式市場では相当程度織り込まれ、経済指標に素直に反応するようになってきた」(外資系証券)と、金融相場からの脱却を指摘する声も出るほどだった。

しかし、週明けのアジア市場が開くとムードは一変。米市場では騒がれなかった流動性縮小懸念が広がり、上海総合指数.SSECや香港ハンセン指数.HSIが急落。「米株には資金が流入するとしても、資金が流出する新興国では大問題」(国内証券)というわけだ。新興国の株価や債券は6月25日付近を底に反転基調に入っていたが、再び不安定化。QE3の縮小観測に加え、中国やエジプトなど新興国の問題が噴出しており、市場では新興国市場について「かつてないほど弱気」(米金融機関)との声も出ている。

調査会社EPFRグローバルが5日公表したデータによると、7月3日までの1週間に新興市場国の債券に投資するファンドは、流出額が過去最高だった前週の56億ドルから9億5600万ドルに縮小したほか、新興国株式に投資するファンドも16億5000万ドルの流入と、資金流出はやや落ち着いていた。だが、堅調な米雇用統計によるQE3縮小観測の強まりで、資金流出が再開した可能性がある。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの矢嶋康次氏は「米経済は緩やかな回復路線をたどっており、その面では心配はないだろう。ただ、強い痛み止めとも言える量的緩和を5年間近く続けてきた反動はどこかに出る」と警戒感を示す。QE3縮小による新興国への悪影響を吸収できるほど米経済が拡大するかはまだ不明だ。

<米株と新興国株の狭間で揺れる日本株>

日本株は堅調な米株と軟調な新興国株の狭間で揺れ動いた。日経平均.N225は序盤、円安と米株高を背景に一時200円近く上昇し、一時1万4500円に接近したが、アジア株が軒並み安になると急速に軟化、200円安まで下げ幅を拡大し安値引けとなった。

「新興国から投資マネーが巻き戻され、米株やドルに向かうとの懸念が強まったようだ。日本株は米株と新興国株の狭間で揺れているが、これまでの急ピッチな上昇で過熱感があったため、新興国株の下落が利益確定売りのきっかけになった」(東洋証券・投資情報部ストラテジストの土田祐也氏)という。

日経平均.N225は6月26日の1万2834円から5日まで7営業日で約1500円上昇。日経平均は5日時点で25日移動平均線とのかい離率はプラス7.60%と過熱を示す7%を超えていた。今期ベースの予想株価収益率(PER)は一時16倍台に上昇、割安感は後退している。海外勢の日本株買いへの期待は大きいものの、市場では「一段の円安にならないと上値追いは難しい」(国内証券)との声も出ている。

<米金利ほど上昇しない円債金利>

堅調な米雇用統計は米10年国債利回りを2.7%まで上昇させた。米金利上昇はドル高・円安要因であり日本株にとってはポジティブな面もあるが、世界の「基準金利」である米金利の上昇は円債市場にも影響を及ぼす可能性があるため警戒が必要だ。

米経済は回復基調にあるほか、金融緩和策で金利が低位に抑え込まれていたこともあり、3%程度までの長期金利上昇は「許容範囲」との見方も市場にはあるが、米債離れは一段と加速している。

世界最大の債券ファンド、PIMCOトータル・リターン・ファンド(PTTRX.O)の6月の運用総額は8.5%(96億ドル)減と、1993年の調査開始以来最大の流出超となった。日本でも、6月の対外中長期債投資(指定報告機関ベース)が2兆9578億円の処分超と2005年1月の統計開始以来、過去最大の売り越しとなっている。

ただ、円債市場で10年長期金利は0.88%と金利は米国ほど上昇していない。日銀の大量国債買い入れに加え、金融政策の方向自体が依然緩和的であり、「出口」に向いた米国とは異なる。さらに円債市場ではアベノミクスへの期待感が低いことも特徴だ。「過度な円高が修正されるなか、景気もいったん持ち直しているが、持続的な成長には依然自信を持てない市場参加者が多いようだ」(三井住友アセットマネジメント・債券運用グループ・シニアファンドマネージャーの深代潤氏)という。

伊賀 大記 編集:山川薫

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