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焦点:消極的な「世界の警察」、シリア攻撃めぐる米大統領の憂慮
2013年9月2日 / 03:17 / 4年前

焦点:消極的な「世界の警察」、シリア攻撃めぐる米大統領の憂慮

[ワシントン 31日 ロイター] - シリアの化学兵器使用疑惑を受け、オバマ米大統領は31日にホワイトハウスで発表した声明で、同国に軍事介入すべきだと決断したと表明した。

8月31日、シリアへの軍事介入をめぐり、米大統領は限定的な行動を想定していると発表。議会の承認を得ることで、責任の一部を共有したい考えもあるとみられる。写真は30日、ワシントンで撮影(2013年 ロイター/Kevin Lamarque)

核兵器削減への取り組みなどで2009年にノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領だが、無人機による攻撃の指示も継続している。「恒久的な戦時体制は維持しない」と表明したのはたった3カ月前のことだ。

対シリア軍事介入をめぐって、オバマ大統領はこれまで、大規模な軍事行動や無制限の関与ではなく、限定的な行動を想定していると発表。議会の承認を得ることで、軍事介入の責任の一部を共有したい考えもあるとみられる。

大統領は31日の声明で、軍事介入への警戒を呼び掛ける意見を尊重すると述べた上で、適切な行動を取らないのであれば、「何もしないことで生じる損失を受け入れなくてはならない」と強調した。

約2年半にわたって続くシリア内戦では10万人以上が死亡している。オバマ大統領は内戦開始以来、民間人の殺害を繰り返し非難してきた。ただ一方で、米国がシリア内戦に巻き込まれることは回避するとの姿勢も明確にしてきた。

過去10日間、大統領は米国の軍事介入は限定的になるとし、シリア内戦の終結やアサド政権の崩壊を目指すものではないと強調している。

オバマ大統領は1年前、アサド政権による化学兵器使用は「レッドライン(越えてはならない一線)を越える」と明言した。アサド政権がこの一線を越えたことは今春の証拠によって明らかになったが、その時は米国は軍事介入に踏み切らなかった。ホワイトハウスの当局者は、シリア反体制派への武器供与を通じてこの問題に対処するとしたが、供与が行われたかどうかは不明だ。

オバマ大統領の側近や元側近の一部は、アサド政権に対する厳しい発言などが効果をみせていないことから、21日のダマスカス郊外での化学使用疑惑を受け、大統領にとって残された選択肢は武力行使以外にないとみている。米当局は、化学兵器はアサド政権側が使用したとの見方を示している。

オバマ大統領は対シリア軍事介入について、地上部隊の投入ではなく、ミサイル攻撃を数日間行うことを検討している。しかし専門家からは、このような限定的な軍事介入にはどの程度の効果が見込まれるのかと指摘する声も上がっている。

<誰もが避ける「世界の警察」の役割>

オバマ大統領とケリー国務長官は30日、軍事介入の正当性を主張するにあたり、人道的な理由と国家安全保障への懸念を挙げた。好むと好まざるとにかかわらず、米国が「世界の警察」を務めなくてはならない時があると受け入れたようにもみえた。

大統領は記者団に対し「国際社会がまひ状態になることは避けたい」とコメント。「われわれが現在直面している課題は、皆が対応策を講じるべきと考えているが誰もそれをやりたくないということだ」と述べた。

オバマ大統領が平和主義者であったり、そのように振る舞ったことはほとんどない。大統領選出馬の際は、反対を表明する戦争は「意味のない」戦争だけに限定した。そして手段こそ違ったが、前任者が始めた武装組織アルカイダとの戦いも継続してきた。

オバマ大統領は、ブッシュ前政権が開始した無人機攻撃プログラムを拡大した。5月には、無人機による民間人の犠牲や反米感情、米国内での同プログラムへの反発を受け、国外での無人機を使った攻撃を限定すると表明。米国が進めてきた「世界各地での果てしない対テロ戦争」を縮小する方針を明らかにした。しかし、その後も無人機攻撃は続いている。

<「一線」を越えたシリア>

中東の民主化運動「アラブの春」はシリアにも拡大した。同国が反政府デモの弾圧を加速させる中、オバマ大統領は2011年8月18日、英仏独などと共に、アサド大統領に退陣を呼び掛けた。

現在ではシリア内戦はオバマ外交の最も厄介な課題となっている。しかし2012年に内戦が悪化しても、オバマ大統領は武器が過激派組織に渡る可能性があるとして、反体制派への武器供与に応じなかった。

一部の共和党議員からは、シリア領空外からのミサイル攻撃による軍事介入は十分でないといった見方もある。マケイン、グラム両議員は共同声明で「オバマ政権が検討している対応策は、(シリアで行われている)残虐行為に相当するものではない」と指摘。「同国での軍事介入は、大統領の面目を保つ目的で行われるべきでない」と批判した。

オバマ大統領は、反戦を掲げる勢力の支持を得て、2008年の大統領選勝利と昨年11月の再選を果たした。しかしシリアに軍事介入すれば、同勢力との間で政治的問題が生じる可能性もある。

オバマ大統領と同様に反戦を掲げ、2006年に選出された民主党のクリス・マーフィー上院議員(コネティカット州選出)は、同州では「シリアへの軍事介入をめぐっては、反対意見が圧倒的だ。彼らの声に耳を傾けるべきだ」と語った。

(原文執筆:Matt Spetalnick記者、翻訳:本田ももこ、編集:梅川崇)

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